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#異世界転生
ひより
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夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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臣桜
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(……前みたいに、近づきたいって思うの、私だけなのかな)
床に落ちた影を、ぼんやり見つめる。
妊娠中は、そんな余裕はなかった。つわりで、体調も気持ちも、ぐちゃぐちゃで。
(……陽一さんはどうなの?)
胸の奥が、ざわつく。
(私じゃなくても、いいのかな……?)
すぐに、首を振る。違う。そんな人じゃないって分かってる。でも、この空白だけが埋まらない。
彼は疲れて帰ってきて、それでも家事と育児を手伝ってくれる。これ以上、自分のことで負担をかけたくない。
(私が、我慢すればいい。それだけなのに)
「……どうしたの?」
声をかけられて、彼の袖をつまんだ。
少しだけ、自分の方に引き寄せる。
「あのね、私――」
彼が、ゆっくりと顔を上げた。視線が、絡む。久しぶりすぎて、心臓の音がうるさい。
あと少し。あと、指一本分。唇が触れそうな、その距離で――
「ふえぇぇぇん!」
寝室から、ゆずの泣き声が響いた。
「……行かなきゃ」
一瞬で現実に引き戻される。慌てて体を離した。
(……そうだよね)
(私はもう、お母さんだから。今は、この子のことを一番に考えなきゃいけないよね……)
「……僕が見てくるよ」
彼が、すっと立ち上がった。
ドアに手をかけたとき、ほんの一瞬だけ彼が振り返る。
部屋にはさっきまでの空気がまだ――触れかけた想いだけが、そこに置き去りにされている気がした。
***
パタン、とドアを閉めた瞬間、さっきの距離を思い出して身体が熱くなった。
心臓の鼓動が、まだ収まらない。
(……危なかった)
(彼女は毎日頑張ってくれてるのに)
(……これ以上、彼女にタスクを増やしてどうするんだ)
でも心のどこかで思っていた。
(……あと少し、だったのに)
コメント
1件
うわ、この「あと少し」で中断される感じ、めっちゃもどかしくて切ない……! お互いに負担かけまいとして遠慮し合ってるのが痛いほど伝わってきて、胸がぎゅっとなったわ。特に「私が我慢すればいい」っていう彼女の心中とか、彼が振り返る一瞬の描写とか、細かい感情の機微が本当にリアルで刺さった。育児と向き合いながらも消えない夫婦の距離感、続きが気になりすぎる🔥