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夏の輝かしい小説リレーです
勇者ドイツの異世界旅
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燦々と照る太陽。毎年暑くなる夏の日。他の奴らからはここはまだ涼しいだろう、と突っ込まれても、暑さを実感する日々である。
『ドイツさん。パソコンの方にデータ送っておきました。』
ピコンと表示されたスマホから見えるメッセージ。部下から確認して欲しいというものであった。
「それにしても今日はいつもより暑いな。」
最高気温を更新したと見える電光掲示板に眉を細め、片手間の返信を行った。
ホーム画面に戻れば知らないアプリが視界に入る。もしや何かのウイルスかもしれない。
くるくると頭が警告を行うのに手は言うことを聞かず、そのアプリを押していた。
真っ白な強い光が焼き付く。
反射的にぎゅっと目を潰ればそこで意識は途絶えた。
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ピロピロリーン。
安っぽいメロディが響いて邪魔をする。
気づけば知らないところにいて、中世のような、無駄に豪奢な部屋の真ん中に寝そべっていた。
「は、?」
寝ぼけているのかと目を擦れど抓れど変わらない。
何も分からないまま王座に座る太った男をみた。
「おお。これが勇者であるか。」
大層に気持ち悪い声を出す。
長ったらしい話を聞けばやっとここにいる意味がわかった。
ここは己のいた世界とは別で、俺を勇者として召喚したと。きっとあのアプリはその召喚として表示されていたものだったのだろう。
魔王を倒してくれるならお金を出す。私たちにはどうにも出来ないからどうにかしてくれと。
随分ともまぁ王道すぎる物語である。
しかしあまり悪い気はしなかった。
勇者になる気はあまり無かったが、人助けをしたと思えばそれもまた楽しいであろうと。
「引き受けよう。しかし期限は決めさせてもらうぞ。」
多少嫌な顔をされたがこちらに随分と有利な条件を飲んでくれた。
満面の笑みで臭い豚のいる部屋から出る。
条件に出したように初期装備を揃えてくれるらしい。明日まで待て。ムチ首にしたい程気色の悪い。早く装備を整えろと念を押し睨んで置いた。
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市場の方に出てくれば祭りでなくても屋台はある。
適当なものを食べようとソーセージを買った。
来ている服、動作。
ここも、貧富の差が酷いのだろうと何となく察しが着いた。
「そこのソーセージを2つ頼む」
「はいよ」
気さくで、笑顔が多い民。
全くもって悪い気はしない。
ドンっ。
「!すまん、」
はたり、と尻もちを着きそうになる子供の腕を掴む。
びくりと体がゆれ、
ペコペコと頭を揺らした。
怪我は無いかと顔を覗き込もうとするがそれは出来ず、落ちかけたフードを深く被った。
「、__!ぉーぃ!日本!!どこいるんね!」
この子を呼んでいるのだろうか。
声のする方向に向かって、走っていった。
荷物のかるさに違和感を覚える。
、!?
気を取られていた。
ぺたぺたと体を触るが財布がどこにもない。
スリに盗られた。
油断しすぎたな。
思考を回し犯人を探す。
スられたとしてまだ2分も経っていないだろう。だとしたら?
ぶつかった相手は一人しかいない。
あいつか。
手を差し伸べたタイミングか、はたまたぶつかったタイミングかもしれない。
周りを見渡し探し出す。
小さいが足が特段早かったわけではない。
フードを被っていたのだから視界不良のはずだ。
ならどこに?
近い路地。
そういうもの。
日本。
妙に見知ったような名前である。
ならきっと近くにいるなら彼であろう。
外れた路地に入れば、フードを被った小さな子供と、ヘラヘラとなぜシャンとできないのか分からない、少年が話していた。
「今日ご飯食べれますよ」
「どこいったか心配だったんねぇっ、、」
「話聞いてますか。イタリア君」
いや絶対聞いてないだろ。そいつ。
声をかけるタイミングを見失いながら観察を続ける。
「結構入ってますよコレ。」
じいっと硬貨が入った袋を見つめながら言う。
驚かせはしないように、そっと近くによった。
「ああ。さっき貰ったばかりだ。返してくれ。」
「「びッ”“!?」」
「だからそれは俺のだ。早く返してもらおう。」
できるだけフレンドリーに微笑み返すよう促す。
効果はいまひとつのようだった。
ワンテンポ遅れた様子で反応が来る。
「えっ!?えっ!??」
「…はゎ、っ」
目をぱちくりさせながらそっと渡される。
1枚とったのが見えたが別にそこを責めたりはしない。
「しかしここは貧富の差が大きいのか?王族にさっきあったがまるまると豚のように太っていたぞ。」
「…、」
「えっと、お前?何もんなんね、、?」
「ドイツだ。」
「…、にほん、知ってる?」
「…すりで財布盗んだ方ですよね。」
「盗まれた、な。」
「「…」」
「この世界に警察というものはあるか?警備団でもいい」
「…騎士さまに売り渡すのですか!?」
「悪いことは反省してもらわなければならんだろう。」
「えっ普通に嫌なんね。」
「というかお前らは未成年か?似てもいないので孤児か?」
「全然立派な大人ですけど。?孤児は別に否定しませんが」
「…そうか。」
考え込むようにして相手の身なりをみる。
継ぎ合わせたローブ。
イタリアはナイフ。
そして日本の腰にかけられた長い鞘はきっと日本刀であろう。
警戒心はあれど、こちらに好感があるのか薄い。金を積めば絶対にこちらに来る。
じっと見つめていることがバレたらしい。
ぷるぷると食べられるのではないかと震え始めている。
そんな彼らにもったいぶっても仕方がない、と告げた。
「仲間にならないか。」
「「…は、?」」
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宇宙猫のような奴らを飯屋まで連れいくのは地味にストレスであったと伝える。
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1番最初。
つぎは浅はか御右衛門さん。
あの人すごく絵が上手い。