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第2話【あせあせ】
私は、昨日キヨと会ったというすごい事件をすぐ動画にしてupした。コメント欄はいつもより3倍ぐらいの量で、全て読むのが大変だった。
コメント欄
〈えー‼️うらやましい😳〉
〈自慢キツ😅〉
〈ヒロイってほんとキヨすきだよねwww〉
〈キヨ好きが伝わる〉
〈キヨが好きなら顔出ししたら?〉
↪︎わかる!して欲しい!
↪︎絶対かわいいよね
…顔出し、か。
1度、試そうと思ったことはある。でも、私が怖いと思っているのは友達からの身バレだ。友達にその話題を出されたりしたりするのが怖い。1度、1人にバレたことはあるがその子はばらさない子だったから幸い良かった。けど、顔出しは…。まあ、して見ないとわかんないか…。YouTube配信で、顔出ししてみる…?
ーここからキヨ視点ですー
俺は、昨日小柄の女の子にぶつかった。髪は短めで、なんていうんだっけ、まえさがりぼぶ?みたいな髪型。身長は小さめで俺より30cmぐらいありそう。俺がでかいだけか!そして、顔はまあ、世間的には可愛い方。俺はわかんないけど。佐々木希が1番なんで!でも、ほんと 小人みたいであわあわしてて結構印象深いな。
フジにでも話してみるか。
『よぉフジ!おつかれ!』
《なに》
『なんでそんな塩なんだよ(笑)』
《お前からの電話毎回怖いんだよ!》
『はーん(笑)ちょ、今回はがちの世間話なんだけど』
《へぇ、珍しい。なんだよ》
『俺昨日、すっげえ小さい女の子と深夜コンビニでぶつかってさ』
《セクハラじゃん》
『はぁ!?あっちからぶつかってきたんだよ!(笑)』
《(笑)ほんで?》
『で、ぶつかった時に俺の顔見てびっくりしててさ、俺のこと知ってるのかな?って思ってさ。で、その子ビビりながら外出たのよ。まじおもろくて(笑)』
《お前身バレしてよくそんなホワホワできるな》
『まあな!俺イケメンだしすぐわかるだろ』
《黙れ(笑)で、続きは?もうないの?》
『あるある。それで、俺もレジ済ませて外出たら近くのベンチで足バタバタしながらコーヒー飲んでてさ。変な子だよほんと』
《お前の視聴者変なやつしかいねえじゃん》
『どーだろな(笑)まあ俺がさっきの人だーって思って話しかけたら、ビックリしたのか体カエルみたいに飛び跳ねてさ(笑)ガチで笑ったわ。しかもその後腹にコーヒーこぼしたんだぞ?どんだけ鈍臭いんだよ(笑)』
《変な子だなぁ、てかお前すっげー楽しそうに話すじゃん。》
『久しぶりにいいもん見たからな』
《ふーん。ま、お前からいい話が聞けて嬉しいよ。じゃ俺動画撮ってくるわ》
『おっけおっけー、おつかれーい』
《はーい 》
30分ぐらい話した電話をあっという間に切り、お気に入りのソファに寝そべる。寝転んだ後すぐ、俺の頭に睡魔が襲ってきた。目は勝手に閉じられて、俺の頭は夢へ吸い込まれた。
…
起きた時には21時、夕飯の時間はとっくに過ぎていた。スマホの画面を開き、通知を確認したら30件ほど来ていた。すべて最俺のLINEのグループチャットだ。
全て確認したあと、いつものゲーミングチェアに座り、パソコンの画面を開いてdiscordのアプリを押す。すると、もうメンバーは集まっていた。通話をワンタップし、俺も通話に乱入する。
『おすおす!』
コースケ《お、きたきた》
フジ《キヨ遅いぞー》
ヒラ《キヨどーしたの?遅刻なんて珍しいね〜》
『寝てたわ!(笑)』
いつものみんなとギャハハと笑いながら、しばらく一緒にゲームをしていた。
時間が経ち、ヒラが口を開いた。
ヒラ《僕ね〜最近ハマってるYouTuberがいてね〜 》
フジ《ラーヒーが?へ〜?誰?》
ヒラ《【ヒロイ】って検索したら出てくると思う〜》
フジ《あー!この人か!俺も最近見てる!実況の反応とかマジで面白いよね(笑)》
『そんなにいいの?』
コースケ《ついていけねぇな》
フジ《コースケとキヨも見てみなよ!普通に面白いし。てかこの人、キヨの大ファンだよ!(笑)》
『うっそ(笑)なんか嬉しいなぁ有名なんでしょ?俺さらに有名人じゃん!』
コースケ《腹立つな!俺らの話は?》
ヒラ《たまに話してくれるよ〜今日は最俺が動画に出ててめっちゃ面白かった〜って(笑)》
コースケ《えぇ〜!俺も見ようかな》
キヨ『ふーん。』
俺のファンでもあり、最俺のファンか。まあ、ちょっと嬉しいかも。気分が良かったら見るか
フジ《あ、俺そろそろ寝るわ》
ヒラ《フジが寝るなら僕もー》
コースケ《キヨは?どーすんの?》
キヨ『みんなが集まった時にまたしようぜ。俺も一旦辞めるわ!おつかれー』
最俺《おつかれー!》
ぴろん、と約3時間の通話は途切れた。俺は、さっき少しだけ昼寝を挟んだから目は冴えていた。しばらく動画見て回ろうかとYouTubeを開き、おすすめ動画を見まわる。
すると、ちょうどさっきフジ達と話した【ヒロイ】という人の動画がおすすめ動画にでてきた。(暇だし、見てみるか)俺は、マウスを動かしてヒロイという人のポケモン動画実況を見る。
〈みんなおつおつ〜、ヒロイです!今回はポケモンのバイオレットの続きしていくよ〜〉
〈パーモットに進化した!えええぇめっちゃ可愛い…!〉
〈そーいえば、今日ね!キヨの動画2分前に見れたんだ〜…!ほんっっとに嬉しい、スマホ握ってて良かった〜ほんと!!(笑)〉
確かに、フジ達が言うぐらいではある。話題が途切れないし、声質もいいし、ゲームも上手いし、面白い。
んで、この子、俺の事めっちゃ好きじゃん。 一応面白そうな動画は色々見てきた。そして、最後に見ようと思った動画は『推しにあってしまった』。
俺、ヒロイと会ったことあんの?こんな声の人、聞いたことないけど…
まあ、見るか
〈みんなみんなみんな!!!マジでやばいの!さっきコンビニ言ってたんだけど、キヨらしきお兄さんにあっちゃった…!!!ほんとにやばいどうしよおおおお!!!緊張してまじで話せなかった!!!!身長高くてマッジでイケメンだっt〉
…、あいつかぁ〜…!!!
俺は、一瞬で誰か悟って、動画の再生を止めた。
コンビニの近くのベンチでコーヒーこぼしていたかわいい女の子という印象だったが、まさかYouTuberとは…。ハンカチもあげたし…。ああいう動画をあげるんだから、よっぽど俺のことが好きなのだろう。リアコのファンだったら…という考えをして、 身の危険を感じた。今度からは周りに注意して動こう。そうしよう。
俺は、そっとYouTube画面を閉じ、寝室へ向かった。