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高校1年生になったばかりの春。
私は今日から知らない家で暮らす事になった。
「…本当に、ここでいいんですか?」
玄関の前で立ち止まり、私は母の友人ー美咲さんを見上げた。
「うん。貴方のお母さんと約束したの。高校を卒業するまでの、3年間貴方をさずかるって」
その言葉を聞いても、胸の奥にある寂しさは消えなかった。
私の、父は私が小さい頃に亡くなった。
そして私が、高校になったばかりのある頃、今度は母まで亡くなった。
家族と呼べる人が、いなくなった。
だから今日から私は、美咲さんの家で高校生活を送る。
「大丈夫。ここは遠慮しなくていいからね 」
美咲さんが笑って、玄関のドアを開けた。
「ただいまー 」
「…お邪魔します」
小さな声で家に入る。
するとリビングには5人の男の子がいた。
一番手前にいた男の子が、ちらっと私を見る。
「…誰?」
「今日から一緒に住むことになった子よ」
美咲さんが説明すると、5人の目線が一斉にこちらに向いた。
その瞬間、空気が重たくなった気がした。
「…ふーん」
そう言ったのは3年の勇斗先輩だった。
それだけ言うと、興味がなさそうにスマホに目を向けた。
「俺、仁人。3年」
短く自己紹介をした後、仁人先輩はそれ以上何も言わない。
2年の柔太朗先輩は、私を見た後、
「…よろしく」
とだけゆって、目をそらした。
大智先輩も、
「…荷物、そこに置けば」
それだけ。
そして最後に、同じ1年生の瞬太。
「…同級生なんだ」
少し驚いたように言ってくれてたけど、笑ってくれるわけでもなかった。
「…うん」
私が答えると、瞬太は、
「…そっか」
それだけ言ってテレビの方を向いた。
…思ってたより、冷たい。
もちろん、急に知らない女の子が来たんだから仕方ない。
私は、そう自分に言い聞かせた。
「部屋は二階ね、分からない事があったら、皆に聞いてね」
「…はい」
荷物を持って階段に登る。
だけど、途中で足が止まった。
後ろから聞こえた。
「急に一緒に暮らすって言ってもな…」
勇斗先輩の声だった。
「まぁ3年間だけだし」
仁人先輩が続ける。
「俺たちが無理に仲良くする必要もないでしょ」
その言葉に、胸が少し痛くなった。
…そうだよね
私はこの家の人間じゃない。
3年間だけ、お世話になるだけ。
そう思いながら、自分の部屋に入った。
静かな部屋。
窓から見える外は春なのに、少しだけ寂しく見えた。
「…お母さん」
小さく呟く。
もう返事は無い。
涙が一粒、頬を伝った。
その日の夜
私は一人で布団に入った。
これから始まる3年間が、どんなものになるのかなんて、この時の私はまだ知るよしもなかった。
この家で、出会った5人との距離が、少しずつ変わっていくことも。
そしてー
「…3年間だけ」
そう思っていた私の気持ちまで、大きく変わっていくことも。
コメント
1件
うわ、これは…出だしから胸がぎゅってなるやつだ。親を亡くした寂しさを抱えたまま、知らない家に飛び込んで、しかも5人の男の子たちに冷たくされるって、主人公の心細さがひしひし伝わってきた…。特に「3年間だけだし」って裏で聞こえたシーンはグサッときたわ。でも最後の「この家で出会った5人との距離が、少しずつ変わっていく」って一文に希望を感じた。これからどう変わっていくのか、めちゃくちゃ気になる!続き楽しみにしてる🔥
るあ
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