テラーノベル
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サークルの忘年会は、居酒屋の奥のテーブルで賑やかに進んでいた。大勢のメンバーが笑い声を上げ、ジョッキを重ねる中、優希は自分のグラスを握りしめ、先輩の様子を観察していた。先輩はすでにかなりお酒が入っていて、声も少し高く、仕草も大げさに見える。
「ねむーい、酔っちゃったー」
先輩は突然、俺の肩に寄りかかってきた。肩が触れ合う感覚に、思わず息を止める。普段なら冗談で肩を叩かれる程度なのに、今は体温が伝わる距離感に心臓がどきどきした。
「せ、先輩……?」
声を出しても、先輩は片手で優希の肩を軽く抱え、もう片方の手で自分のグラスを持ったまま笑っている。その笑顔は天真爛漫で無邪気。優希はどう反応すればいいのか分からず、ただ目を合わせて固まるしかなかった。
「優希くん、肩あったかいねー」
酔った先輩がふわっと呟く。
(先輩って、こんなに酔う人だったっけ……?)
ふと昨日の言葉が、頭によぎる。
(「浮気しちゃう?」……)
疑問に思うが、優希は心の中で小さな動揺が隠せなかった。これは冗談だ、まだ何もない…と自分に言い聞かせるが、先輩の距離感と酔った無邪気さに、理性が少しずつ揺さぶられる。
その後も、先輩は優希の隣にぴったりと座り、肘が触れるたびに軽く笑う。会話の合間に、「えー、優希くん今日優しいー」と声をかけたり、肩越しに軽くグラスをつついたりして、自然にボディタッチが増える。
頭の中はぐちゃぐちゃだ。
飲み会が終わりに近づくころ、先輩の酔いはさらに深刻になっていた。足取りはふらふらで、駅まで自力で歩くのは難しそうだ。
「わたし……駅まで行けないかもぉ……」
先輩は甘えた声でつぶやき、優希の肩にさらに体を預ける。居酒屋から優希の家が近いこともあり、仕方なく自宅まで送ることにした。
途中、先輩の無邪気な酔いぶりに翻弄されながら、優希は内心で動揺を隠せない。
(無防備すぎる……)
普段の先輩とは違う、少し乱れた姿。
服は胸がはだけていて、何度も視線を送りそうになる。
家に着いた途端、先輩は床に寝転んだ。
「お布団敷いてくれるー?」
ふわりと笑う先輩に、優希はただ頷く。胸の奥のざわつきは、さらに大きくなっていた。まだ何も起こっていない。でも、先輩の酔った無邪気さに、理性は少しずつ揺れ動き始めていたのだった。
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