テラーノベル
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「おい!お前達!基地司令がお呼びだ!来い!」
兵士の一人がLAVに近づいてきて叫ぶ
「俺達か?」
銃座についていたアウリスが聞き返す
「お前達以外に誰がいるんだ!」
兵士は苛立ったように急かす
「車両はどうするんだ!」
アウリスはLAVを叩きながらその兵士に聞く
「置いていけ!」
「わかった」
アウリス銃座から降りる
シュバルツァーも運転席から降りて、ドアを閉め、鍵をかけた
「ずいぶんと雑だったな」
シュバルツァーは笑いながら呟く
「仕方ないだろ、客か敵か分かってないだろうからな」
アウリスはスタスタと歩きながらシュバルツァーに返す
二人は兵士の後を追った
案内された先にあったのは基地内でも一番堅牢そうな建物であった
窓がない
そして建物の周りには兵士が何人も配置されていた
「ずいぶんと騒々しいな」
シュバルツァーが呟く
「さっきも言ったが、客か敵か分かってないだろうからな」
アウリスがそう返す
兵士が入り口の前で足を止めた
「入れ!基地司令がお待ちだ」
「よく…来てくれたな。まずは聞かせてくれ、貴様らは敵か?味方か?」
基地司令はそう問いかけ、二人の返答を待った
「少なくとも、俺達はアンタらを撃つつもりはないね」
シュバルツァーは答えを返す
「そうか…」
基地司令は短く答えた
「では質問を変えよう、貴様らはどこの所属だ?CIAか?MI6か?」
「どっちでもないな」
シュバルツァーは少し考えるように間を置いた
「あぁ、俺達はナシル連邦海軍陸戦隊特殊作戦コマンド、第1大隊第4中隊第404小隊ヘルハウンドチーム1特殊分隊所属の一般兵だよ」
「………………」
司令官は困惑したように黙り込む
だが、すぐに口を開く
「海軍陸戦隊特殊コマンド?」
「そうだよ」
シュバルツァーは笑いながら返す
「なぜ一般兵と?」
司令官は怪訝そうな顔をしながら問う
「今回の作戦は捨て駒みたいなもんだったからな」
アウリスが間に割って入る
「そうか…とりあえず敵ではなさそうだな」
司令官は少し安堵したように呟く
だが、すぐに表情を引き締めた。
「貴様らはこの世界については無知なんだろう?」
「そうなるな」
シュバルツァーは少し悩んだ後、言葉を返す
「ならば説明しよう」
司令官はそう言いながら一枚の写真を渡してきた
「これは?」
アウリスが聞く
「現在確認されている敵対生命体だ…そもそも生きてるか怪しいがな」
司令官は疲れ混じりに苦笑しながら答える
「この写真は…さっきの奴か?」
アウリスが問いかける
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「あぁ、人型…まぁいわゆるゾンビだな」
司令官が答える
「こいつは何よりも数が多い、人間に噛みついて仲間を増やす。クソみたいだろ?」
そして、新たに一枚の写真を渡してきた
「あの飛行型だ」
「エイみたいな奴か」
アウリスが呟く
「グロかったよな」
シュバルツァーが割って入る
「こいつは厄介で、徘徊型兵器と同じ行動をとっている、マザーシップの奴を除いてな」
司令官はどこか遠くを見るような目をしていた
「そうだ、聞きたかったんだよ、そのマザーシップ?と言うやつを」
シュバルツァーは、ハッと思い出したように問いかける
場に沈黙が流れる
十数秒後、司令官がやっと口を開く
「マザーシップ…こいつのせいで世界が滅びかけた」
「そんな大袈裟な」
シュバルツァーは茶化そうとする
「あいつはとても恐ろしい」
司令官の声には先ほどの疲れとは違うものが混じっていた
恐怖、底知れぬほどの恐怖を感じさせてくる
そう言いながら写真を渡してくる
その写真は、どこか蜘蛛を思わせるシルエットだった。
八本の巨大な足
異様に巨大な胴体
そして全身を覆う赤黒い肉
生き物だとしても、そう思いたくない
「これが……マザーシップか?」
シュバルツァーが問う
「長さ100メートル、幅60メートル、高さ60メートル、図体がデカいだけならよかった」
司令官が答える最中
「物理ってどこにいきました?」
シュバルツァーがまたしても茶化そうとする
「死んでもいいなら対話してこい」
司令官は苦笑しながら言葉を返す
「………」
シュバルツァーの笑みが消えた
「冗談だよな?」
「半分はそうだな」
司令官は写真へ視線を戻す
「だが半分は本気だ。
対話ができるならしてきてもらいたいものだ」
シュバルツァーは写真を見つめ直す
「何がそんなにヤバいんだ?」
アウリスが問いかける
「写真をよく見ろ」
司令官がそう言うが…鱗?、いや鱗では無い
「この鱗はなんですか?」
シュバルツァーが問う
「鱗じゃない…対空兵器だ」
司令官が真剣な目でこちらを見る
「よく見てみろ、お前達も見たであろうエイに似てるだろ?」
そう言われて、目を凝らす
たしかにエイみたいな形をしている
「たしかにエイみたいだが…」
アウリスは怪訝そうな顔をする
「こいつはマザーシップが動ける間は、背中に寄生しているが…歩けなくなったら飛んでくるんだよ」
司令官はそう答える
「飛んでくる?ただの鱗だろ」
シュバルツァーは少し茶化す
「鱗じゃないんだよ、マザーシップが死んだら一斉に飛び立って空爆してくる」
司令官の表情が険しくなる
「こいつはレーザーを撃ってくる、新型の重装機械歩兵を出してもこいつだけはどうにもならない」
「そうか…空爆と言ったか?」
アウリスが聞き返す
「そうだ、空爆だ」
「生物兵器だろ?レーザーだとしても空爆なんて…ありえない」
「それがありえるんだよ」
司令官は返す
「そしてこいつはECMを常時出している…誘導兵器がまともに動いた試しがない
そして最悪なことにドックファイトしようとしても的が小さい」
「だが…さっきのマザーシップは普通の飛行型だろう?」
アウリスが聞く
「それは普通の奴だ。
レーザー級は全長4メートル翼幅8メートル全高50センチ、撃っても当たらん」
司令官は乾いた笑いを見せた
「じゃあ、どうやって落としてるんだ?」
シュバルツァーが聞く
「数で押す、短絡的だが効果的だ」
司令官は答える
「撃墜率は?」
「すこぶる悪い」
司令官は苦笑する
「悪いのか…」
シュバルツァーが呟く
「撃たなければ死ぬがな」
司令官の瞳がどこか濁って見えた
「1機落とすのにどれだけ食うんだ?」
アウリスが聞く
「知らないな…数えた試しがないからな」
「そうか…」
シュバルツァーはさっきまでの軽口を叩いてた時とは打って変わって、真剣な目つきになる
「近接信管は使ったのか?」
「近接信管?そんなモノはない、古今東西、時限信管だ」
司令官は当然のように答えた
二人は数秒黙り込む
そして、顔を見合わせる
「ハッシュ…今、なんかすごいことを聞いた気がする」
アウリスが呟く
「時限信管なんて骨董品、久々に聞いたよ…信管調整器で手動か?」
シュバルツァーがやや気さくに聞く
「手動でやってたら…すぐに殺される」
司令官は凄い剣幕でこちらを見る
「全自動の信管調整器があるんだ…こいつがデカいせいで、対空砲がよく黙り込んでしまうんだ」
「そんなのがあるのに、なんで撃墜率が悪いんだ?」
シュバルツァーが聞く
「砲塔が必然的にデカくなるから、飽和攻撃で大半が壊される」
司令官はそう答えた
「現在主流の対空砲は57ミリだ…対地対空に使える万能砲…デカいことを除いてな」
「なるほど」
アウリスが深く頷く
「こっちの世界じゃあ時限信管は骨董品だ、今は近接信管が主流だ、それも小型化が進んで、今や20ミリ榴弾にも近接信管をつけてある」
シュバルツァーが説明する
「そんなのは夢物語だろう?」
司令官が笑う
「奴らは小さいし、速い、そしてECMだってある、そんなのに当たるのか?」
「近くまで来ればな、LAVの20ミリの射程は対空で垂直2キロ水平3キロまで届く、今は残弾が200発しかないが、国に帰れば物資を持ってこれる」
シュバルツァーは淡々と言う…
「物資を……?」
司令官が反応する
「ああ」
シュバルツァーは椅子の背にもたれた
「ただし、その前に一つ問題がある」
「なんだ?」
「俺達はあのトンネルを通ってきた」
シュバルツァーはアウリスを見る
「トンネルの先には我が国がある」
「…………」
「あのトンネルはこの平行世界を行き来するものだと考えている」
「つまり何が言いたい」
司令官は二人を見る
「俺達は一度帰らなければいけない」
アウリスが答えた
司令官はしばらく黙っていた。
そして、机の上に置かれた写真へ目を落とす。
「……分かった」
司令官はゆっくりと顔を上げた。
「だが、その前に見せてもらおうか」
鋭い視線が二人へ向けられる。
「近接信管とやらの実力を」
シュバルツァーは一瞬だけアウリスを見る。
アウリスもまた、何かを察したように小さく笑った。
「司令官……」
シュバルツァーが立ち上がる。
「ここからは商談の時間です」
その口元に、いつもの不敵な笑みが浮かんだ
コメント
1件
第4話、読み終わったよ…! 基地司令との会話、すごく緊張感あって良かった。シュバルツァーとアウリスの軽口と司令官の重い口調の対比がたまらないね。特に「近接信管」のくだり、向こうの世界では時限信管が主流って…絶望的すぎる。でもそこから「商談の時間です」って切り返すシュバルツァー、かっこよすぎるでしょ🥀 次の話が待ちきれない〜