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続きです。
それから数日。
嫌がらせの影はすっかり消えたーーだが、仁人の周りは妙に騒がしくなっていた。
朝。
昇降口に着くと、すでに柔太郎が立っていた。
山中 『仁ちゃん、おはよ』
吉田 『……なんでここにいんだよ。お前のクラスの逆方向だろ。』
山中 『仁ちゃんが来る時間だと思って』
吉田 『監視かよ笑』
山中 『守備だよ』
穏やかな笑顔で言い切られ、仁人はそれ以上何も言えなかった。
柔太郎はそのまま、当たり前みたいに仁人の鞄を持って歩き出す。
吉田 『おい、、自分で持てるっての』
山中 『分かってるよ笑でも俺が持ちたいの』
吉田 『……勝手にしろ///』
昼休み
いつもの机の並び。
仁人が弁当を開けるより先に、太智が机にジュースを置いた。
塩崎 『はい!これ仁人の分!』
吉田 『俺、頼んでないけど』
塩崎 『頼まれる前に用意するのが”過保護力”ってやつだから笑』
吉田 『そんな力いらねぇよ笑』
拒否っていたが、仁人は結局ジュースを飲む。
太智はその様子を見て嬉しそうに口角を上げた。
塩崎 『、、やっぱ俺センスあるな〜笑』
吉田 『調子乗んな笑』
塩崎 『笑っ、照れてる〜?笑』
吉田 『うるさい!///』
放課後
帰りの支度をしていると、舜太が鞄を持って走り寄ってきた。
曽野 『仁人〜、これ忘れてたよ』
吉田 『え、どこにーー』
曽野 『机の上にあったよ笑』
吉田 『ありがと笑』
曽野 『今日から仁人の忘れ物係してあげる笑』
吉田 『しなくていいよ!』
曽野 『じゃぁ、勝手に就任するね笑』
吉田 『おい!笑』
無邪気な笑顔に仁人は思わず苦笑した。
いつの間にか怒るより先に笑っていることの方が多くなっていた。
そしてーー
家に帰る直前。
校門の前で勇斗が待っていた。
佐野 『遅い!』
吉田 『なんで居んのっ』
佐野 『迎えに来た』
吉田 『……俺、子供じゃねぇよ』
佐野 『それは分かってる笑だけど心配だから』
吉田 『……』
佐野 『何かあったらすぐ俺に言って、俺が全部止めるから』
その言葉の静かさに、仁人よ心臓が一瞬跳ねた。
視線をそらして素っ気なく答える。
吉田 『……お前も、マジで過保護すぎ。鬱陶しい笑』
佐野 『それ、褒めてる?笑』
吉田 『違ぇよ』
そう言いながら、仁人の声はどこか優しかった。
いつものメンツが揃い
帰り道、夕日の中を5人で並んで歩く。
笑い声が風に溶けて、仁人はふと立ち止まった。
(こんなふうに守られて、笑ってるのも悪くないな…)
誰にも聞こえない心の呟きを、夕日がそっと包み込んだ。
END