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ずっと一緒にいれると思ってた。
だって…小さい時からずっと一緒で、いつも隣にいて、楽しい時も、苦しい時も、嬉しい時も、悲しい時も、全部全部一緒だった。
それなのに、私は…………
「シア!!」
そう言えば、シアは振り向いて笑いかけてくれる。
「ウロノス、今日はどうしたの?」
「あのねあのね!!すっごく景色が綺麗な場所を見つけたの!!!
シアにも見せたいからさ、行こう?」
しかしシアは悲しそうに笑ってウロノスの頭を撫でる。
「ごめんねウロノス。まだやる事が残ってて…」
「それって公務とか?そんなのすぐ終わるじゃん!!」
その言葉にシアは苦笑しかできない。
「あはは……僕は君みたいにそんなに要領良くできなくてさ…」
「むぅ……」
こんな幼子のような風貌なのに、シアよりも大国でずっと頭もキレるんだから驚くしかない。
「仕方ないな…すぐ終わらせるから、ちょっと待ってて?」
それだけでむくれていたウロノスの顔がぱぁっと明るくなる。
なんだかそれが可愛らしくて、シアはウロノスをぎゅっと抱きしめた。
「んへへ……シア、あったかいや…………」
ずっとそうしていたい気持ちをグッと堪えてシアは執務室に急ぐ。
急いで行かないと、ウロノスといれる時間が少なくなってしまうから。
「綺麗………」
「でしょでしょ!!!!」
ウロノスは得意げにない胸を張る。
少し森を抜けた先にこんなに景色の良い場所があるなんて、どうして今まで知らなかったのだろうか。
「私ね…ここ見つけた時、絶対にシアと来たい!!って思ったんだ!!!」
「確かに、ここは誰かに見せたくなるね…」
「あ!でも誰かに言ったら駄目だよ!!」
「んぇ…なんで…?」
ウロノスはシアに指を向けて言う。こんなに綺麗なのに、何故言ってはいけないのか…とシアは不思議そうに首をかしげた。
「ッッ………、シアが言っちゃったら、2人だけの秘密の場所にならないじゃん!!!!」
ウロノスの言葉にシアは目をパチクリさせた後、口元に手を当てて顔を逸らした。
「それは反則だろ………//」
……シアは自分の顔が赤くなっているのを隠すので必死だった。だから…
「………///」
…ウロノスの顔が赤くなっていることに、気づかなかった。
「………本当に、綺麗だ…」
「だ、だよね!シアに教えてよかった!」
「いや、そっちじゃ………まぁいいや…」
2人はそこで一緒にいたが、気づけば空はだいぶ赤くなっていた。
「あ、そろそろ戻らないと…」
その言葉にウロノスは目に見えてシュンとする。
表情がコロコロ変わって、本当に可愛い。
「そっか……」
だから、シアはそんなウロノスの頭を優しく撫でる。安心させるように。笑ってもらえるように。
「大丈夫、また明日だよ。ね?」
「……うん…また明日…」
ウロノスはバッと手を広げると、シアの方を向いた。
「……ん、」
シアはそんなウロノスを見てクスッと笑うと、優しく彼女を抱きしめた。ウロノスもシアの背中に腕を回す。
「また明日ね、」
「うん……また明日…………」
「また明日〜〜♪」
ウロノスは嬉しそうに歩いていた。明日はシアとどんなことをしようか。そんなことを考えながら歩いていると、国の上層部達の声がした。
「会議…?でもそんな予定はないはず………」
ウロノスは不思議そうにしながら聞き耳を立てた。
「祖国様は隣国と仲良くしすぎてはないのか…?」
「いや、しかし友好国だぞ。仲良くなるのは当然ではないか?」
「まぁ、”友好国”でいられるのも今日が最後だがな。」
「……なぁ、本当にやるのか?」
「嗚呼、勿論だ。このままでは我が国は他国に取って食われるかもしれない。
…そうなる前に、強国と言われるようになっておかなければ。」
「………わかった。……軍はどうなっている?」
「問題ない。順調そのものだ。甘く見積っても、明後日には確実に共和国の国境を超えているだろう」
………ウロノスは、崩れ落ちそうになった。シアのところに軍を動かす?…それは、攻め込むということなのだろうか?…なんで?友好国のはず、そんなことしたら、反感を買うに決まっているのに。
「………なんの話をしてるの?」
だから、ウロノスはあえて何も知らないようにして扉を開ける。
「…これは、祖国様。どうされましたか?」
………白々しい。
「みんなの声がしたから来たの。
今日は会議の予定なかったよなーって、不思議だったから」
「…緊急で開かれた会議でして、お呼びできずすみません」
「いいよ、大丈夫!…それでさ、何について話してたの?緊急で開かれるくらい、重要な内容なんでしょ?」
「……ぁ…それ、は…………」
「………チッ、祖国様。聞いていらしたのでしょう?我々は隣国を攻め落とします。何か問題でも?」
「………友好国に刃を向けるの?民衆の不満が募るだけだと思うけど」
「……はぁ…祖国様。そういう話ではないのですよ。それに、貴女が今私共を止めたとしても無駄なのです。
……もう、進軍は開始しているのですから」
上層部の奴らの下卑た笑みとその事実に、ウロノスは驚いて目を見開く。
………コイツらは、一体いつの間にここまで堕ちていたのだろうか。
気づけば、ウロノスはシアの国に向かって走っていた。
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