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キルアと×××が喧嘩🤜💥🤛
原因はまさかの
どっちの方が相手のことを好きか⁉︎
教室に入った瞬間、クラスの空気がほんの少しだけ揺れた。
「……あ、キルアと×××」
誰かがそう呟く。
クラス公認、というか先生公認のカップル。
いつもなら自然と隣同士、視線が合えばどちらからともなく小さく笑うのに――今日は違った。
キルアは窓側の席、×××はその一つ前。
距離は近い。手を伸ばせば届く。
それなのに、どこか噛み合わない。
キルアは机に頬杖をつきながら、無意識に×××の背中を目で追っていた。
けれど、声はかけない。
(……昨日の俺、ちょっと言い過ぎたかもな)
「俺の方が好きに決まってるだろ」
売り言葉に買い言葉で言ったその一言が、×××の表情を曇らせたのを、キルアはちゃんと覚えている。
×××の方も、ノートを開きながらちらりと後ろを気にしていた。
キルアがすぐそこにいるのは分かってる。
なのに、振り返る勇気が出ない。
(…私もムキになりすぎたな)
「キルアの方が好きなんでしょ?」
拗ねたように言った言葉が、結果的に喧嘩を大きくしてしまった。
周りから見れば、ただ少し静かなだけのいつもの二人。
誰も、喧嘩の理由が“どっちが相手を好きか”だなんて思いもしない。
休み時間。
友達が×××に話しかける。
「今日さ、キルアどうしたの?珍しく静かじゃん」
「……さあ、眠いんじゃない?」
×××は笑って誤魔化す。
その横顔を、キルアは見ていた。
(本当は俺が一番に話しかけるはずなのに)
キルアの胸の奥が、じわっと苦しくなる。
謝ればいい。
それだけなのに。
(でも、先に謝るのもなんか悔しいんだよな……)
放課後。
いつもなら自然に並んで帰るのに、今日は準備するタイミングもずれてしまった。
教室を出る×××の背中を見て、キルアは小さく舌打ちする。
「……はぁ」
一方、廊下を歩く×××も、胸の奥が落ち着かない。
(キルア、怒ってるかな……)
怒ってるわけじゃない。
お互い、ちゃんと反省してる。
それでも、自分から踏み出す勇気がほんの少し足りない。
同じ学校、同じ教室、こんなに近くにいるのに。
二人の間には、目に見えない距離ができてしまっていた。
――このままじゃ嫌だ、って
二人とも、同じことを考えているのに。
昼休み。
キルアは机に突っ伏して、購買のパンにも手をつけていなかった。
「ねえキルア」
隣の席から、やけに明るい声。
「……なに」
「×××と、喧嘩してるでしょ」
一瞬、キルアの肩がぴくっと跳ねる。
「は?してねーし」
「してるよ」
ゴンは即答だった。
迷いも遠慮も一切ない。
「だってさ、二人とも今日ずっと変だもん。距離近いのに目合わせないし、話さないし」
キルアは舌打ちしそうになるのを必死でこらえた。
「……それで?」
「何で喧嘩してるの?」
――その質問が一番キツい。
キルアは顔を背けて、窓の外を見る。
「言えるわけねーだろ」
「ふーん?」
ゴンはニヤッとする。
「じゃあ×××にも聞いてみよっかな」
「やめろ!!」
思わず声を荒げて、キルアはゴンの腕を掴んだ。
ゴンは一瞬驚いたあと、さらに面白そうに笑う。
「やっぱ喧嘩じゃん」
「……っ」
キルアは黙り込む。
恥ずかしい。
理由が理由すぎて、口が裂けても言えない。
(どっちの方が相手のこと好きか、なんて……)
一方その頃、×××も同じ目に遭っていた。
「ねえ×××」
ゴンがキルアから離れて、今度は×××の席に来る。
「キルアと喧嘩してるでしょ?」
「……してない」
「してるでしょ」
即否定、即断定。
さっきと全く同じ流れ。
「理由は?」
×××は一瞬口を開きかけて、すぐ閉じた。
「……言わない」
「ふーん……」
ゴンは腕を組んで、二人を交互に見る。
(あー、なるほど)
状況はだいたい把握した。
そして何より――
(二人とも、相手が先に謝るまで許す気ないな)
ゴンはため息混じりに笑う。
「ねえさ」
キルアと×××、同時にゴンを見る。
「二人ともさ、同じ顔してるよ」
「は?」
「え?」
「“自分は悪くないけど、ちょっと言い過ぎたかも”って顔」
二人とも、ぐっと言葉に詰まる。
ゴンは呆れたように肩をすくめた。
「しかもさ、二人とも心の中で」
――相手が先に謝ったら許す
――自分から謝るのはなんか悔しい
「って思ってるでしょ」
沈黙。
図星すぎて、何も言い返せない。
「もうさ」
ゴンはニヤニヤしながら続ける。
「ほんと似た者同士だよね。喧嘩の内容は知らないけど、くだらないのは分かる」
「くだらなくねーし!」
「くだらなくない!」
二人の声が、またもや綺麗に重なる。
ゴンは吹き出した。
「あはは!ほら、そこも一緒!」
そして少しだけ真面目な声で言う。
「でもさ、二人とも相手のこと好きなのは変わんないんでしょ?」
キルアは視線を逸らし、×××は頬を赤くする。
「だったらさ、意地張ってる時間、もったいなくない?」
――分かってる。
分かってるけど。
それでもまだ、
“相手から”がいい
その気持ちは、二人とも同じだった。
ゴンはそんな二人を見て、にやっと笑う。
「ま、いいや。どうなるか楽しみにしてる」
完全にからかいモードだった。
放課後。
教室には、キルアと×××、二人きり。
……の、はずだった。
「じゃ、俺用事あるから先行くね!」
そう言って、ゴンがやけに爽やかに手を振り、教室を出ていった。
ドアが閉まる音が、やけに大きく響く。
「……」
沈黙。
キルアは鞄を持ったまま立ち尽くし、×××は席に座ったまま俯いていた。
空気が重い。
逃げ場がない。
(……最悪のタイミング)
キルアは喉を鳴らす。
言いたいことは山ほどあるのに、言葉が出てこない。
×××は、ぎゅっとスカートの端を握りしめていた。
視界がじわっと滲むのを、必死でこらえる。
(……私から謝らないって決めたのに)
なのに、キルアがすぐそこにいるだけで胸が苦しくなる。
キルアは、耐えきれずに口を開いた。
「……なあ」
声が、思ったより低くて掠れていた。
×××は肩を震わせながら、顔を上げる。
「……なに」
その目が赤いのを見た瞬間、
キルアの中で、何かがぷつっと切れた。
(……泣くなよ)
泣かせたいわけじゃない。
むしろ逆だ。
「……俺さ」
キルアは歯を食いしばる。
「昨日のこと、ずっと考えてた」
×××の唇が、きゅっと結ばれる。
「……私も」
声が震えている。
「でもさ」
キルアは一歩、距離を詰める。
「お前が先に謝ってくるまで許さない、とか思ってた自分が……」
言葉にした瞬間、情けなくて眉を歪めた。
「ほんと、ガキだよな」
×××の目から、とうとう一筋、涙がこぼれた。
「……私もだよ」
ぽろぽろと、我慢してた分だけ溢れる。
「キルアの方が好きだって言われて、嬉しいはずなのに……悔しくて」
キルアは目を見開く。
「……は?」
そのとき。
――ガラッ。
勢いよく教室のドアが開いた。
「やっぱりそうだと思った!」
ゴンだった。
「……ゴン!!?」
二人同時に叫ぶ。
ゴンは腕を組んで、満足そうにうんうん頷く。
「やっぱ喧嘩の理由、それだよね。どっちが相手のこと好きか」
「なっ……!?」
「聞いてたの!?」
「全部は聞いてないよ?」
ゴンは笑う。
「でもさ、二人とも今日一日、相手のことしか考えてない顔してたもん」
キルアは顔を覆いたくなった。
「……お前、最初から分かってたな」
「うん」
即答。
「だから二人きりにした」
×××は涙を拭きながら、呆然とする。
「……黒幕じゃん」
「でしょ?」
ゴンは悪びれもせず続ける。
「でもさ、これ言っとくね」
少しだけ、真面目な声。
「二人とも、相手が自分のこと一番好きだって信じられなくなるくらい、好きすぎるだけだよ」
キルアは、×××を見る。
×××も、キルアを見る。
さっきまでの意地が、少しずつ溶けていく。
ゴンは満足そうに踵を返した。
「じゃ、後は二人でどうぞ。今度こそ邪魔しないから」
再び閉まるドア。
今度の沈黙は、さっきとは違った。
キルアは、照れ隠しみたいに小さく呟く。
「……泣かせるつもり、なかった」
×××は、涙越しに笑う。
「……私も、意地張りすぎた」
二人の距離は、もう
さっきより、ずっと近い。
教室。
ドアが閉まって、完全に二人きり。
さっきまで張りつめていた空気は、もうない。
代わりにあるのは――気恥ずかしさと、溢れそうな気持ち。
キルアが、頭をかきながら口を開く。
「……今日さ」
「うん」
「全然言えなかったけど」
キルアは視線を逸らしたまま、早口になる。
「俺、×××のことめちゃくちゃ好きだから。毎日好きだし、今も好きだし、たぶん明日も明後日も好き」
×××が一瞬ぽかんとして、次の瞬間ぶわっと顔を赤くする。
「ちょ、急に何回言うの……!」
「足りなかった分だろ」
照れ隠しみたいに言い切る。
×××も負けじと立ち上がる。
「じゃあ私も言う!」
「え?」
「キルアのこと大好き!ほんとに大好き!一番好き!キルア以上に好きな人いない!」
「……っ」
「今日ずっと我慢してたんだから!」
キルアは思わず吹き出した。
「なにそれ……可愛すぎ」
「そっちこそ!」
二人して、ほぼ同時に言う。
「大好き」
「大好き!」
まるで張り合うみたいに、何度も何度も。
喧嘩してたのが嘘みたいに、笑い合う。
――その頃、廊下。
「……よし」
スマホを構えたゴンが、小声で呟く。
「邪魔はしないって言ったけど、見ないとは言ってないし」
録音ボタン、しっかりON。
教室から漏れてくる
「好き」「大好き」「一番」
の嵐に、ゴンは肩を震わせる。
「いやもう……何この夫婦」
数分後。
キルアと×××が教室を出てくる前に、
ゴンはさっとスマホを操作する。
📱💬
《キルア&×××見守り隊》
【音声ファイル:原因は“どっちが相手を好きか”でした】
送信。
既読が一気につく。
🟢
「は?????」
「尊すぎて無理」
「喧嘩理由が愛の重さ比べなの何?」
「一生喧嘩して一生仲直りしててほしい」
「キルア照れてる声入ってるの致命傷」
「×××の“大好き”破壊力やばい」
コメントが止まらない。
その頃、当の本人たちは――
「今日さ、うち泊まってく?」
×××の一言に、キルアは即答。
「行く」
帰ってからも、手繋いで、ソファでくっついて、
「好き」「大好き」「やっぱ好き」を言い合って。
夜。
布団に並んで、電気を消す前。
×××がスマホを見て、固まる。
「……え?」
「どうした」
画面には、通知の嵐。
見守り隊グループチャット。
そして――再生される、聞き覚えのある声。
『俺、×××のことめちゃくちゃ好きだから』
『キルアのこと大好き!一番好き!』
「…………」
数秒後。
「っっっっ!!!???」
×××が布団に顔を埋める。
「無理無理無理恥ずかしすぎる!!」
キルアも理解して、耳まで真っ赤。
「……ゴン」
翌朝。
「お前な!!」
「いやー、青春だね!」
「録音すんな!!」
「でも事実でしょ?」
ゴンはケラケラ笑う。
「二人とも、世界一分かりやすい喧嘩だったよ」
キルアは頭を抱え、×××は顔を覆う。
ゴンは満足そうに言った。
「はい、黒幕ゴンの勝ち〜」
――クラス公認、先生公認、
そして見守り隊全員が尊死したカップルは、
今日も今日とて甘々でした。
翌日、教室。
キルアと×××が一緒に入ってきた瞬間、
――ざわっ。
空気が、完全に“察してる側”だった。
「おはよー……っていうかさ」
見守り隊Aが、にっこにこの笑顔で声をかける。
「昨日は“大好き大会”お疲れさまでした」
「「っ!!??」」
二人同時に固まる。
「音声、何回も聞いちゃった〜」
「キルアの照れ声、永久保存なんだけど」
「×××の“大好き!”で成仏しました🙏」
×××は机に突っ伏す。
「やめて……お願い……」
キルアは顔を真っ赤にして叫ぶ。
「ゴン!!」
「俺じゃないよ、広めたのはみんなの愛だよ」
ゴンは爽やかに親指を立てた。
さらに追撃。
「てかさ、喧嘩の理由が“どっちが相手を好きか”って何?」
「少女漫画?」
「いや、神話」
「存在が尊い」
キルアは深呼吸して、突然立ち上がる。
「……もういい」
教室が静かになる。
キルアは×××の手を、ぎゅっと握った。
「俺、もう×××と喧嘩しない」
「え……?」
×××が顔を上げる。
「好きすぎて意地張るとか、ダサいし」
キルアは真っ直ぐ言う。
「これからは思ったこと全部言う。先に謝るのも俺がやる」
クラス、ざわ……からの、
「きゃーーー!!」
「公開プロポーズ!?」
「先生呼んで!!」
×××は涙目で笑って、握り返す。
「……私も。喧嘩する前に言う」
「何を?」
「好きって」
キルアは一瞬固まって、すぐに口角を上げた。
「それな」
――そしてその日から。
二人は遠慮という概念を置いてきた。
席が近いと、自然に肩が触れる。
休み時間は当たり前のように隣。
キルアは×××の頭に手を置くし、
×××はキルアの袖を掴む。
「ちょっと距離近くない?」
「昨日より近い」
「昨日の倍はくっついてる」
キルアは気にせず言う。
「いいだろ。俺のだし」
「ちょ、教室!」
「嫌?」
×××は小さく首を振る。
「……嫌じゃない」
見守り隊、机を叩く。
「はい無理ーー!!」
「血糖値上がる!!」
「もう一回喧嘩してくれない?(嘘)」
ゴンはその様子を見て、満足そうに笑った。
「うん、やっぱこうなると思った」
キルアが睨む。
「お前のせいだろ」
「でもさ」
ゴンは肩をすくめる。
「世界一分かりやすい“仲直り後”だよ」
×××がキルアの腕に寄りかかる。
「……好き」
キルアは即答。
「俺の方が好き」
「またそれ言う?」
「でも喧嘩しない」
二人で笑う。
――見守り隊にいじられながら、
クラスに見せつけながら、
以前の倍以上、堂々とイチャイチャする二人でした。
to be continued….