前垢で書いてたやつリメイクします
※エロ要素ありません(多分)
「あ、朱音様……!!」
「なによ!私はこんな家に用は無いわ!!」
「朱音」
「お、お父様……」
「お前ももう、家出をするのか。だったら…もう二度とこの家に顔を出すんじゃない。それだけだ」
「……ええ。こんな家に顔なんて出したくないわ」
「朱音様……!!!ご主人様、よかったのですか?」
「いいんだ。我が家は大体家出をするらしいからな。どうせすぐ泣いて帰ってくるだろう」
「そ、それならいいのですが……」
「朱音!!このテストの点数は何なんだ!!」
そこには88と赤ペンで書かれたテストの答案用紙があった。
「ごめんなさい……」
「どうして間違える!どうして解けない!!」
「ごめんなさい……」
「謝る暇があったら勉強してこい!!」
「はい……」
お父様が止めたくせに……。
大人は何かと理不尽だ。
自分の思い通りにいかないと逆ギレしたり、発言が矛盾するとか。
今まさに、言っていることが矛盾している。こんな大人は大嫌いだ。
「もう…こんなの嫌だよ……」
高校生なら短いスカート履いて、放課後にゲームセンターに寄ってプリクラ撮ってスマホカバーに挟む。待ち受けにする。
そんな当たり前のことが出来ない。私にとってこれらは当たり前のことだと思っている。だから私は”当たり前”じゃない。
お父様は全国に店舗を構えるホテルの社長であることから、他の子からは軽蔑の眼差し、勉強第一、遊びなんてもってのほかという家庭に生まれてしまった。いわゆる”お嬢様”だった。そのせいか、メイドは住み込みで働いているし、お父”様”、お母”様”って言わないといけないし……でも、お母様は…もういない。
お父様の勝手ぶりに呆れかえって離婚からの家出してしまった。
「こんな家……こっちからごめんだわ!!!こんな家出てってやる!!」
「朱音様!!大丈夫ですか!?」
「うるさいうるさい!!話しかけないで!!」
「も、申し訳ありません……」
「お父様にこう言っておいて。”さようなら、永遠に”って」
「永遠に…?」
「ええ。ただそれだけよ」
からの、お父様と激突したけど、無事に家出は出来た。
問題は、どこに行くか。正直、ホテルに泊まれば何とかなる年齢ではある。
折角だし、海に行ってみよう。一回でいいから生で海を見てみたかった。
もう、私は”お嬢様”なんかじゃない。お父”様”なんて言わなくていい。言葉遣いも綺麗じゃなくていい。
私は、普通の高校生なんだ。
「この電車に乗れば海沿いを通るよね。行ってみよう」
今はまだ昼。気ままに行きたいところに行って、おいしそうなお昼ご飯を食べて……。
自分の好きなことだけをして生活するんだ。
「まもなく1番ホームに電車がまいります。黄色い点字ブロックの――……」
「お、来る来る。記念に写真でも撮っておくか」
「――お忘れ物のないようにご注意ください」
「あ、もう終点?寝てた………」
一体どれだけ電車に乗っていたのだろうか。さっきまでいた人たちが誰も居ないまま、周りには私しかいなかった。
「……海だ」
そして、目の前には待ちに待った、今まで憧れだった、海が広がっていた。
「お出口は右側です。本日はありがとうございました」
「海だ!海だ海だ!!あははっ!!!」
私は走りながら改札を抜けて目の前に広がる海に圧巻されていた。
本当に目の前に海がある。ビーチサンダルも持ってきたから少し足だけでも体感してみよう。
ビーチサンダルのまま少しずつ海に近づいて、つま先だけ濡れた時、海水の冷たさが全身に伝わってきた。
今は夏。快晴の中一人で海ではしゃいでいる女子高校生。
いかにも”青春”だと思っていた。
そこから私は太陽が沈むまで遊びつくした。
「はー!今日は楽しかった!!…それにしても、全然人がいないな……」
「ん?人がいないのは当たり前だけど?もしかしてここの人じゃない?」
「うわああっ!!誰!?!?」
「誰って……あ、君見たことない顔だね」
「だから誰!?」
「ここは超超超超ド田舎!大体の人は顔見知りなの!」
「話聞いてる?」
「うん?そんなに私が可愛くて惚れたのか?」
「うん、全然違う。で、誰?」
「私の名前?」
「そうそう!やっと話通じた……」
「まるで私と話が嚙み合っていなかったとでも言いたそうな顔」
「もうその通りだよ」
「私の名前は詩音!あなたは?」
「私は朱音。で、聞きたいことがいっぱいあるんだけど」
「こっちもだよ!!」
「じゃあお先どうぞ」
「なんかごめんだけどありがと??」
「うん。早くして」
「ここはド田舎なのにどうして私のことを知らないの?」
「だってそりゃあまあ、ここの人じゃないし……」
「ははーん……その荷物の量、そのオーラ…見る限りの年齢…さては、家出少女だな!?!?!?」
「大正解」
「私才能あるかも」
「無いと思う」
「でも家出少女って…どうして家出したのさ」
「ただ家にいるのが嫌になったからだよ」
「そんだけで!?朱音、家がどれだけ大事か分かってないでしょ」
「…分かってるよ!!詩音と違って……色々大変なの」
「そっか。朱音は今夜どこに泊まるつもりなの?」
「うーん、近くのホテル」
「ホテルはやめた方がいいと思うよー」
「なんでさ」
「ここら辺のホテルは一条財閥が牛耳ってるからねぇ。家出少女とかだと変に目ぇつけられるかもしれないしね~」
「一条財閥……?」
一条財閥とは、私のお父様が社長の財閥であった。絶対無理じゃん。終わりじゃん。
「そう、一条財閥。そこそこ有名だと思うけど知ってる?」
「一条財閥って…私のお父様が経営してるところ……」
「絶対ホテル泊まったらダメ」
「言われなくても」
「なに、お父さんのやり方に反感持って家出した感じ?」
「そのまんまで」
「じゃあ、ウチ来る?」
「は?」
「だから私の家来る?」
「いいの?」
「うん!どうせ一人で寂しいからね!大人数の方がいいでしょ!」
少しは詩音のこと、信じてもいいかな。
「詩音がいいなら…家行きたい……」
「私は全然いいよ!むしろ大歓迎!!」
「ありがとう……」
田舎の人たちは優しいなぁ……。
「もう夜になりそうだし、帰ろっか!」
「……うん!」
「おじゃましまーす……」
「そんなかしこまらなくていいんだよ?全然自分の家みたいにくつろいでもらって~」
「ありがとう……」
今思えば、なんか申し訳ないな。いつかお礼をしよう。
「えーと…朱音の部屋は2階の一番奥ね。多分綺麗だと思うけど気になるなら掃除してね」
「分かった」
「荷物重たそうだから部屋に置いてきなよ。ご飯作っとくから荷ほどきもしていいよ~」
「なんか、何から何までありがとう」
「いいのいいの、ホントに全然気にしないでって!」
「うん……」
2階の一番奥の部屋は、大体12畳くらいの小さな部屋だった。
でも、勉強机とかベッドとかは新品級にピカピカで、本当に私には勿体ないくらいだ。
早く荷ほどきして、詩音のお手伝いをしよう。
「ここからも海、見えるんだ……」
窓から見えるのは、黒い海。太陽が沈んで輝きを失っていた。
まるで、今までの私みたいに。
「朱音ー!!ごはん出来たよ!!」
「わかったー!!」
冷めないうちに食べに行こう。
「に、煮込みハンバーグ……!!」
「作り置きだったから味が落ちてるかもだけど許してね」
「全然!ごはん食べれるだけでも感謝だからそんなそんな……」
「ちゃんと食べてね!」
「あ、そうだ。詩音って何歳なの?中学生?」
「え?私高校1年生だけど?」
「じゃあ15歳?」
「そうそう。朱音は?」
「私も15歳で高1だよ」
「同い年じゃん!学校とか通えるかな?」
「いや、実は私高校通ってなくてさ……」
「そうなの?」
「うん。虐めとかで学校行くの嫌になっちゃって……今は家で大人しく勉強してるんんだ」
「そうだったんだ……。じゃあ学校は無しね。家で好きなことしてればいいと思うよ」
「詩音が今までやってた分の家事をするよ。そうすると詩音も少しは楽でしょ?」
「じゃあ、そうしようかな!」
「居候の身として仕事はちゃんとするよ」
「えへへ、ありがと!」
こうして家出少女――朱音と、謎の田舎者――詩音との生活が始まった。
自己紹介
名前 朱音(あかね)
高校1年生
一条財閥のお嬢様
虐められて学校が嫌になった
高校生の青春とやらに憧れている
家出少女
名前 詩音(しおん)
高校1年生
ナルシスト
一人暮らしで謎多い人物
学力皆無
家出をした朱音を助けた
次回→未定
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