テラーノベル
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※実際の団体、個人とは無関係です。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他、捏造した設定が多く含まれます。
※中華絵巻を元にしてます。
※※※ 閲覧には十分注意してください。
夕食後、雲雀が先導して奏斗に家の中を案内して回っていた。
よほど奏斗と会えたのが嬉しかったのか跳ねるように歩いて、メインの奏斗を置き去りに次へ次へと移動している。
「こっちがセラおの部屋でぇ〜、上にアキラと俺の部屋があんの!階段がこっち!」
「待って、早いよ!待ってってば!」
無邪気に部屋を見ていく様子を居間の机から微笑ましく見ているセラフと四季凪。
少々騒がしいからか、逃げるように二匹の猫がそれぞれの膝上で寝ている。
「…にしても、まさか依頼料の全部をつぎ込むなんて思いませんでしたよ。」
「それはぁ〜……、ごめん。気持ちが急いちゃって…」
「まぁ、大体分かってはいましたけども。」
そう言って四季凪は穏やかなままの視線を慌ただしく階段を降りてくる雲雀と奏斗へ向けた。
セラフもならうように二人を見やると、次は水周りの案内をするらしく視線に気づかないままお風呂場へ消えていった。
「……元気になったねぇ…。」
「本当に…。あっ、二人とも!そのまま先にお風呂入ってくださーい!!」
思いついたように四季凪がお風呂へ向かって大きな声を出すと、奥の方から二人分の元気な声が返ってきた。
ーー
ーー
全員がお風呂からあがり、各々髪を乾かしたり肌に何か塗ったり猫と戯れたり、まったりとした就寝前の時間を過ごしていた。
一番眠そうにしていた奏斗は髪が長いからなかなか乾かせずに、眠れないでいた。
うとうとしながら櫛をとおしており、今にも夢の中に入ってしまいそうだ。
「奏斗寝そうやんね」
「そりゃあ、お腹いっぱいで、あれだけ走り回って温まれば眠くもなりますよ。」
四季凪からお肌の手入れをされながら雲雀は横目で奏斗を見ていた。
すると、猫を膝上で遊ばせていたセラフが立ち上がり、奏斗の元へ行く。猫もセラフの後を追って奏斗のところへ行ってしまった。
「奏斗、櫛貸して。やったげるよ。」
「ん……うん……。」
セラフが声をかけると奏斗は眠い目を擦りながら、なんの躊躇もなく櫛を渡した。
遠慮するかと思っていた一同は少々驚いた。
そして、セラフが後ろへ回り込むと限界を迎えたのか、奏斗がそのままセラフの方へ倒れ込んだ。
突然のことだったが咄嗟に奏斗を抱きとめたセラフは顔をのぞき込んでただただ狼狽えていた。
「えっ、奏斗?!かな、と……?寝てる??」
セラフが軽く体を揺すってもすぅ、すぅと規則正しい寝息をたてながら無防備に寝顔を晒している奏斗。
近くにいた赤色の猫が心配するように奏斗の顔周りの匂いを嗅いで、それからしょうがないと言いたげな顔で奏斗に毛繕いを始めていた。
だが、長い毛は舌に絡まってしまうので、お互いのために少し遠ざけた。
気付けば四季凪と雲雀も心配半分でセラフの方へ集まってきた。
「あら、よく寝てる。」
「ぐっすりやねぇ…。起きないもん 」
つんつんと雲雀が奏斗の頬を指突っついてみるがもちっと凹みができるだけで全く起きない。
三人で手分けして奏斗の髪を乾かし終えると、四季凪と雲雀は2階の自室へ……といっても今日も二人は同じ床へ着くのだろう。
なんだかんだお盛んというか、両想いが強すぎるというか。そこまで考えてセラフは頭を振った。
家族も同然の友人たちの情事に首を突っ込むほど野暮ではない。
とにかく、眠ってしまった奏斗を寝床へ連れて行かなければいけない。
雲雀の時は事前に四季凪が物置だった場所を潰して部屋を作っていたが、今日はあまりにも衝動的だったため物が揃っていない。
家に来た初日に椅子や床で寝かせる訳にもいかない。今晩はひとまずセラフのベッドでいいだろうか。
奏斗を抱き上げ、自室まで向かう。
扉を開け、使い古されたベッドの上に奏斗を優しく降ろす。
すると、奏斗の目がうっすらと開いてセラフの顔を見た。
「あぇ、起きちゃった?」
「…ここは……」
「俺の部屋。今日はそこで我慢してね。」
まだ眠たそうに重い動作をしながら、奏斗は起き上がり、セラフにすり寄るように近づいた。
セラフは何が起きたか分からず、ただ距離を詰められたことに反射的に奏斗の肩を強く掴んで引き離す。
勢いに耐えきれず奏斗はよろめいてベッドへ座り込むような形になってしまった。
「って…!」
焦りからぱっと素早く手を離し、奏斗に目線を合わせるセラフ。 覗き込んだ顔は悲痛ともとれる表情をしていて一気に血の気が引いた。
「ごめん、痛かった?傷になっちゃったかな、ごめんね。本当にごめん」
掴んでしまった所を手当てしなければとセラフが立ち上がると、奏斗が言葉で制止した。
言われた通りその場で立ち尽くしていると奏斗がセラフの股ぐらに顔を寄せるように床へ座り込んだ。
「…何してるの!?」
「ぅぐっ…!」
今度こそ力の加減など出来ずに奏斗を床へと引き倒してしまった。反射というものはつくづく恐ろしい。
奏斗の体が地面へ臥せたのに遅れて長い髪も床へと落ちる。
冷や汗をかきながらセラフは、奏斗の顔を見た。
セラフには奏斗が何がしたいのか分からない、分かりたくなかった。
「ごめ、な、さ……っ、 」
長い前髪から覗けた青い目は 輪郭を歪ませて潤む。かわいそうなぐらい体を震わせて、顔を青ざめさせて、セラフの喉元を見上げる奏斗。
「……いや、俺もごめん…。でも、なんであんなことしたの?」
怯えている、セラフにはそれが演技や嘘ではないとはっきりと分かった。むしろ普段商人として人と対峙する事の多い彼だから分かったのかもしれない。
セラフが奏斗の背を支えながらゆっくりと起こしてやると、抵抗もなく体重を預けていた。
「は、はじめの、初めの夜は、旦那様と…、しなきゃだから……」
死を覚悟した草食動物よろしく、体は預けているのに筋肉は強張っている。
生真面目な彼は未だ店の教えにとらわれているらしい。
苦虫を噛み潰したような顔をしながらセラフは奏斗の長い前髪を指で梳いて、額を撫でてやる。
「奏斗、俺とそういうことしたい?」
「え…?」
「しなきゃいけない、じゃなくて奏斗はどうしたい?」
セラフとて不能ではない、むしろ何度手を出しかけたか分からないぐらいだ。 だけど奏斗自身の意思がないまま行為には及べない。
すると、奏斗の目が意識を取り戻したかのように煌めいて、セラフの瞳の色を映した。
「僕は……、」
ぎゅうっと服を強く掴んでいた奏斗の手がセラフの大きな手に包み込まれる。
言葉の最後まで聞き届けると、セラフは明日の朝に誰も起こしに来ないように部屋に鍵をかけた。
コメント
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コメント失礼します🎀♩今回も素晴らしい作品ありがとうございました^っ ̫ <^❕2人の関係がこれからどうなるのか楽しみです‼️👶🏻次回もお待ちしております🙌🏻‼️