テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
1.オールスター
某日朝。院瀬見たち4課一行はとあるビルの目の前にいた。
姫野たちを殺した蛇女とモミアゲ男、そしてその仲間がこのビルにいるらしい。特異4課は全員集合しており、その他にも警察の応援が何人か来ている。
「…これって私も入んなきゃですかね?」
院瀬見がビルを指さして4課隊長・岸辺の目を見た。
無言。顎を出しビルを指し示す動きをした。
「しゃーねーな…」
あまり乗り気ではなかったものの行くしかない。スーツを引っ張って整え、気合を入れてビルへと入っていった。
「まぁでも、言えば病の悪魔を試すチャンスみてぇなもんだしな」
つい最近院瀬見は新しい悪魔と契約を交わしたばかりだ。実戦で使いこなせるように早く慣れておかなければ。
「……」
周囲をよく確認してから院瀬見はゆっくりと扉を開ける。
開けた先に、早くもゾンビがいた。
(おーおーうじゃうじゃいやがる…)
できるだけ気づかれないように一体ずつ正確に狩ろうと静かに近づいたその時。
パキ 、と何かを踏んだ音が鳴り、ゾンビがそれに気づいて一斉に振り向いた。
「やべ」
ゾンビは呻き声をあげながら院瀬見に襲いかかった。院瀬見はすかさずワイシャツの胸ポケットから医療用のメスのようなものを取り出した。
「あんま甘く見んなよ」
院瀬見はメスをシュッと勢いよく投げた。
「ァ”!」
次に瞬きをすると、メスが刺さったゾンビは全員血を吐いてばたばたと倒れ、死んでいた。
「こーりゃすげぇ、一瞬でみんな倒しちまった」
ゾンビたちの死体を踏まないよう上手く避けつつ、院瀬見はメスを1本ずつ回収する。病の悪魔によると、これ以外にも技を発動させる動きはいくつかあるらしい。でも今はほんの腕ならしだ。
できるだけゾンビを倒しておこうと、院瀬見は再びメスを投げた。
2.大会
─どれくらい時間が経っただろうか。ゾンビもすっかり倒しきってしまった。アキもデンジもいない。いるのは先日知り合った天使の悪魔と、ペストマスクを着けた男、蜘蛛のような脚をした女、そして半裸の鮫のような男だけである。
ペストマスクマンと蜘蛛女と半裸男は完全なる初対面だ。新人だろうが、見た目からして人間ではない。悪魔?魔人だろうか。
少し気になって考え込んでいた時。
『こちら4課早川、時計館前線路内にて拘束済みの目標発見。応援求む』
ポケットに入れていた無線機に無線が入った。アキの声だ。時計館前なら今いるビルからすぐ近くだ。応援に行こうと院瀬見はビルを出ていった。
「時計館前線路内─ここか…!」
院瀬見が下がりっぱなしになった踏切を持ち上げてくぐり、線路中央へ急ぐ。そこにはデンジとアキ、そしてパンツ一丁で連行される青ざめたモミアゲ男がいた。
人がいないとは言え、都会の線路内で男がパンツ一丁とは?公然わいせつ罪では?どっちにしろ彼は捕まるのだから変わりはないが。
「…アイツどうした?」
色々考えた後、アキに耳打ちした。
「デンジが金玉蹴った」
「は?」
想定外すぎる答えが返ってきた。公共の場で金的は状況も意味もわからない。
「早川の先輩もやったぜ。院瀬パイもやれば?」
「なんでだよ」
デンジが視線をモミアゲ男に戻し、悪びれずに言う。
「姫パイの仇討ちっすよ。弾で撃ったんだからこいつだってタマを打たれるべきだ」
「…なーるほどな…」
分かったのか分かってないのか、院瀬見は空返事だけし、そのままその場を去ろうとした。
「? 院瀬パイやんねーの?」
「やったところで姫野が生き返るわけじゃねーからな。第一そんな程度じゃ仇討ちにすらならねぇ」
「ふーん…そう言いながら早パイもやったぜ」
デンジの返答に、院瀬見の歩みがピタリと止まった。後ろでは当の本人であるアキが罰が悪そうに目を逸らしている。
「はぁ……」
帰る─と思いきやその瞬間、 院瀬見は唐突に後ろを振り返って駆け出した。警察官に取り押さえられて連行されるところだったモミアゲ男の股間を笑顔で思いっきり蹴り上げた。
モミアゲ男は絶叫して力なく倒れる。
「ざまぁ!私はこーゆーこたぁ進んでやるタイプの人間だぜ!!」
苦しむモミアゲ男と、それを「してやったり」といった表情で見下ろす院瀬見を見て、デンジが爆笑し、ついにはアキも俯いたまま肩を震えさせていた。
その後、駆けつけた他の警察官に3人揃って怒られたというのは、言うまでもない。
3.仲間と新たな一歩へ
その後、4課メンバーは揃って本部へと戻ってきた。院瀬見はまだ喋ったことのなかった奴に自己紹介した。
「俺、暴力の魔人!とか言っても暴力なんて良いもんじゃないし…皆と楽しくする方が好きだから気軽に話しかけてくれよな!」
まずはペストマスクの男。
「また会ったね…新しい悪魔はどうだった?」
続いて二度目の対面である天使の悪魔。
「……」
次に全く喋らず、黙ってこちらに頭を下げる髪の長い女。
「キャキャキャ!ゾンビ〜!!」
そして床に半分埋まった男。
(…キャラ濃…)
これからこのメンバーと仕事を共にするらしい。毎日大騒ぎになりそうだ。院瀬見は天を仰いだ。