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🫣🫣🫣
照が持って来てくれた、紙袋を大事に抱えて、人形を取り出す。いくらなんでも、照の目の前で出すわけにはいかなかった。
『阿部ちゃん大丈夫?』
目を閉じると、翔太の甘えてくる仕草が見えるようだ。この声が聞きたかった。
一緒にいた頃から、翔太の声には、ちょっと意地悪なことを言っていても、いつも『恋』が混ざっていたように思う。
それは人形になった今でも変わらない。
こんなことを翔太に言ったら、キモいって言うんだろうなきっと。
『阿部ちゃん?』
ギュッと人形を抱きしめた。
鼻先を金髪の長い髪がくすぐる。本物の翔太を抱きしめたい。でもそれが出来ないから、愛しい人の魂が宿っている人形の偽物を抱く。
💚「翔太、愛してるよ」
『うん…』
優しい声だ。
思い返してみれば、翔太が人形になってから、俺たちは一度も喧嘩をしていない。
人間同士だった時は、言い争いになることも結構あったのに。
『阿部ちゃん、俺、今ね、何も着てないよ?』
💚「えっ!」
思わず、ビロードの目を凝視した。
目の奥で、翔太が照れて笑った気がした。
全て妄想の、架空の話だ。
痛いやつだと思ってくれていい。俺のものは既に勃ち上がっていた。
💚「翔太を抱きたい……」
『ん。俺も抱かれたい』
人形を枕元に寝かせた。
脱げるところまで服を脱がせた。というか、全部脱がせることができた。肌色の体が横たわっている。胸の膨らみも、当たり前だが、性器もなかった。俺って変態だよなと自嘲する。しかも、これで翔太を脱がせたような気になって、興奮してるんだから。
💚「翔太、気持ちいいよ……」
『んっ……俺も……』
自分の手でいきり立ったそこを包み、上下に擦る。深夜の病室でひとり、何やってんだよと思う煩わしい思考は意識して外へと排除した。耳元で聞こえる翔太の吐息と喘ぎ声が、俺をさらに上り詰めさせる。
はたから見たら頭のおかしい男の、単なる自慰行為にしか見えないだろう。でも俺は、翔太と繋がっているつもりでいた。翔太もおそらく、そのつもりでいるはずだと信じて。
先走りで濡れた先端を指先でしつこく刺激すると、あまりの気持ちよさに唇を噛んだ。空いていた手で、根元から何度も擦り上げる。
限界が近い。身体の上にかかっていた布団をどかして、起き上がり、人形の横にあるティッシュの箱から、何枚かを抜き取った。
『阿部ちゃん……いく。おれ……いく……っ』
翔太の飛沫が飛んだのかと思った。どちらの何から出てるのかわからないくらい、俺は長く強く、射精していた。
見ると、人形の口元に、受け止めきれなかった俺の精液が、ほんの少しかかっていた。それを見て堪らなくなって、2度目を始めた。翔太の息遣いが聞こえる。俺はとうとうおかしくなっていった。