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「ちょっと~何々!? いつの間にあんた達そういう関係になったの!?」
すると、美咲さんが店の奧からオレ達の様子を見て声をかけてきた。
「ハイ。透子。お待たせ」
そして彼女が頼んでいた食事がテーブルに置かれる。
「ありがと・・」
「樹くんは? 何にする?」
「あっ、オレはメシもう食ったんでいつもので」
「了解」
そう聞いて美咲さんがまた奥へと移動する。
「あっ、ごめん。ご飯どっかで食べれた?」
「あぁ。うん。適当にここ来る前食べたから大丈夫。そっちはやっぱ遅かったんだ」
「あぁ、うん。忙しくてご飯食べる暇なくてようやく今」
「そしたら前の男に絡まれたと」
「いや、それは・・」
「冗談冗談(笑)」
つい愚痴ってしまったオレに申し訳なさそうに困る反応をする彼女。
ただオレがヤキモチ妬いて言っただけなのに、悪くもないのにそんな風に思ってくれるなんて優しすぎでしょ。
「そっちこそご飯食べたのに、なんでここに?」
「ん? 透子がピンチかと思って駆けつけた」
「嘘ばっか」
「え~オレ透子のピンチ感じ取れるって知らなかった? ってホントは帰り道だから、透子いるかな~って覗いた」
「そうなんだ」
「そしたらオレがピンチだった」
こんなことになってるなんて思ってもいなかったからね。
ただあなたにここで会えればなんて、気楽なこと考えてたらまさかの光景だったから。
「え?なんで?」
「透子が前の男に言い寄られてて嫉妬でおかしくなりそうだった」
ホントにあの瞬間今まで感じたことないくらいの感情だった。
今まではただ見ているだけで、あなたに存在さえ知ってもらえてなかったから、そんな厚かましい感情持つことなんてなかったけど。
あなたが幸せになるなら仕方ないって何度も言い聞かせてたけど。
だけど今は違う。
今は確かにあなたはすぐオレの近くにいて、あなたはもうオレのことを知ってくれている。
あなたの心も唇も、オレはもう今までにないくらいの近さで触れて知ってしまった。
だからもう今は大人しく見ているとか、誰か他の男ととか、もうそういうのは我慢出来ないから。
「大袈裟」
だけど、あなたはそうやっていつもそんな風にオレの気持ちをそんな言葉で簡単に片づける。
オレはそんな風に思ったこともないし、全部大袈裟なんかじゃないのに。
本気出したらこんなモンじゃないってあなたはわかってない。
「透子取られるかと思って必死だった」
絶対奪われたくなかった。
もうあなたはオレのモノ。
「だから私は戻らないってば」
「うん。オレも絶対手放す気ないけどね」
絶対そんなことしないから。
もうあなたはオレに捕まってしまったんだから覚悟して。
絶対あなたを手放したりなんてしない。
だけど、ちゃんとそう言い切ってくれる彼女の言葉にも安心する。
「で、あんたたち結局どうなったってこと?」
すると、また美咲さんが声をかけてきた。
「あぁ。美咲さん。見てのとおりです」
「いや。ちゃんと説明しなね」
「いい仲です」
「うん。それは見ててわかるよね。あたしはもっと具体的に聞いている」
「えっと。チューして付き合う事になりました」
「そっか!それはいいことね!ようやく透子にも春が来たってことね」
「はい。透子の春になったんで安心してください」
「よしっ!じゃあめでたい二人に私から一杯おごってあげよう!」
「おー!美咲さんあざーす!」
美咲さんは、いつも修さんと相談乗ってくれて、彼女の知らない所でずっと協力しくてれていた。
ずっとオレが想い続けていたことも知っている美咲さんに、こうやってちゃんと堂々と報告出来ることが嬉しい。
オレにはわからない女心だったり情報だったり、その都度美咲さんから教えてもらったことで、今まで頑張れたとこもあるからな。
ホント美咲さんには感謝だな。
美咲さんが彼女の親友でホントよかった。
「透子。よかったね」
「あ、ありがと・・」
美咲さんからの言葉に照れくさそうだけど、今はちゃんとそう答える彼女。
もう否定せずにちゃんと認めてくれたのだと実感出来て、隣で密かにオレは嬉しくなった。