テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
みぅ🤍🥀です、読み終わりました〜! 第10話、すごく重くて切ないけど、でもすごくあったかい話だった…。 阿和が烨霖を“間違えない”って言い切った瞬間、本当に心臓がぎゅっとなった。 誰かに「君は君だ」ってわかってもらえるって、どれだけ救いなんだろう。 しかも阿和、人の感情を盗み聞きしてたんだね… だからこそ、若君が烨霖に「お前は何者だ」って問いかけたシーンがすごく響いた。 自分が誰なのかわからなくなる怖さを、ちゃんと描いてるのが枝豆さんのすごいところだよ。 次、どこへ連れて行かれるの…? 2人の距離が縮まるのか、それとももっと深い闇に落ちていくのか… どっちにしろ、目が離せない。 ありがとう、次の話も楽しみにしてます。
続きです。
まずは前回の話で書き忘れていた設定があったのでここに書いておきます。
楼真山に咲く桃の花でしか英豪の母君を治せないのは楼真山は仙人が住んでいる山と言われる程に他の山と比べ、神聖で純粋な霊力が多く集まっており、その中で育つ桃の花にも他の山で育つ桃の花よりも効力があるためです。
このような穴があり、本当に申し訳ありませんでした🙇♀️
では第10話です。どうぞ
第10話【私はそなたを間違えない】
英豪の言っている事が信じられずに無意識に口がパクパクと魚のように開閉を繰り返す。恐らく傍から見たら目を見張る程のあほ面をしているのだろう。
「(なんだって?なんだって!?!?どういう事だ!?私はほんの数日前に目覚めたばっかりなんだぞ!?)」
頭の中が騒がしくなっている烨霖事なんか露知らずな英豪はそのまま陳烨霖への憎悪を吐き出し続けているが当の本人の耳にはまったく届いていなかった。
「(私のなりすましか!?確かに死んだ極悪人の私は悪事を擦り付けるのに都合がいいが、、、)」
思考が落ち着かずに固まっていると突然英豪が大きな声を上げ、我に返る。英豪の方を見てみると何故か頭を手で抱えていた。
「えっと、、どうしたんだ?」
「~~~っくそ!!あの口なし野郎!石を投げやがった!!」
口なし野郎と言うのは恐らく阿和の事だろう。
「あの子がか?意味無くそんな事する子だとは思わないが、、、」
英豪は信じられない物を見る目で顔を顰め、こちらを見る。
「お前には彼奴がどう見えてるんだ?」
なぜそんな顔をされるのか理解が出来ない烨霖は首を傾げる。
「えっと、、、あの子は優しいし紳士だし、、、単なる悪い子では無いんだ。」
「本当にお前には何が見えてるんだ???本当にそれは同じやつか???」
そんな事を言った途端、再び英豪の頭に石がまるで獲物を取る鷹のような速さで投げつけられる。
「いった!?!?おい!!お前!!喧嘩売ってるのか!?」
先程のはしっかりと見えた烨霖は軽く溜息をつき、内に溜まっている怒りを和ませるように英豪の背中を優しくさする。
「まぁまぁ、落ち着いてください、若君、彼もわざとじゃありませんよ」
「なんだと!?」
このまま若君の怒りが続けば話が一向に進まない上に母君の体調にも悪いと思った烨霖は早急に話をずらす。
「ところで若君、なぜ結界を壊したのが烨霖だと決めつけられているんだ?その岩に刻まれた文字だけでは判定は出来ないだろう。」
英豪は何とか怒りを沈め、真剣な表情で烨霖を見据える。
「いや、もう1つ証拠はある。」
「証拠、、?」
「結界の核が壊れた場所にはどんな強固な結界をも壊す術を使った痕跡が残っていた」
「その術で敷かれた陣の形は陣の中では最も珍妙な半月のような形で、それは陳烨霖にしか扱えない特有の邪気の強い陣だということは門派の全員が知っていた。」
英豪は随分と真面目にそう答えたが勿論烨霖にはそんなものを使った覚えなんかないしそもそもその陣はどんな強固な結界をも脆くするというものだ。その上効果時間が短いため、世間から言われているほどに大それたものではない。しかし実際に自分がその術を使えるのは己だけな為、更に脳が混乱しそうになる。だがふと英豪が寝台を見下ろし、恭しく母君の手を握っている様子が目に留まり、一息ついて思考を落ち着かせる。
「(落ち着け、、、今の自分がするべき事を冷静に考えるんだ。)」
まずここまで烨霖に偽装する事ができるのは、過去に烨霖と関わりが深かったあの7人しか居ない。そもそもあの陣の事を詳しく話した人数はそれ程までに居ないため、それ以外がなりすますことなんか出来るわけがない。もし本当にその中の誰かが都合よく己になりすまし、このように無垢な者にまで害をなそうと企んでいる事を考えれば考える程烨霖の胸には怒りのような感情が沸騰した鍋のようにグツグツと沸き上がり、自然と拳を握りしめる。
恐らく犯人はこのまま私に罪を擦り続ければ自由奔放に過ごせていけると思っているだろう。残念だったな、そんな事はさせない、私の名で好き勝手に悪事を働かせやしない!!
必ず天の裁きの下、罪を償わせる。そうさせる責任が私にはある!!
「、、、若君、お約束します」
その言葉に若君は訝しげに問う
「約束?」
「私が必ず、君の母君も、結界を壊した者も、全部救ってみせる。」
烨霖の言葉に英豪は目を見開き、勢いよく立ち上がり、詰め寄ってくる。
「本当か!?本当の本当に、本当なのか!?」
その瞳は期待が溢れ出し、星のようにキラキラと輝いていた。それに烨霖は真剣な表情で答える。
「私は嘘はつきません」
「だが、何故そこまでする?お前にはなんの得も、、、」
そこまで言われ、英豪は烨霖の視線が己の母上に向いていることに気付き、続きの言葉が出なくなる。
「、、、お前、、、」
「これを見てしまったから、、、何か力になりたいと思うのは普通でしょう」
烨霖の言葉に嘘はないと英豪はこの瞬間、本能的に理解した。この情景を、この相手を心から慈しむような表情を、英豪はよく知っていたからだ。
「、、、なら、俺も協力する」
「俺が出来る事ならなんでも言え、母上のためなら、なんだってする。」
「、、、あぁ、ありがとう」
「(この子は、、本当に強いな、、)」
その後、少しの間英豪とくだらない話をした。ほとんど母君についての事だったが本当に英豪は母君を慕っていたことがよく分かった。
充分に話し終えて満足した英豪は扉を開けようと手を伸ばしながら何か思い出したかのように話し始める。
「あ、お前、もし壊れた結界の方に行くなら___」
その瞬間、英豪の言葉を遮るように大きな音を立てて勢いよく扉が開かれ、烨霖の方へと勢いよく何かが突進してくる。 英豪が我に返った時にはもう遅く、既に後ろに立っていた筈の烨霖の姿はまるで最初から何もなかったかのように跡形もなく消え去っていた。
今まで散々抑え込んできた英豪の怒りはこれにより限界突破する。その日、金河派では英豪の大きな怒鳴り声が響き渡ったという。
◇
その同時刻、烨霖は己を抱き上げ、周りの草木が宙に舞う程の素早さで森の中を駆け抜ける阿和に慌てて制止の声を上げていた。その声には珍しく怒りの色が滲んでいた。だがその怒り声もまるでヤンチャな子供を困ったように叱るような声色だった。
「阿和!!阿和!!待ってくれ!どうしたんだ急に!止まってくれ!!」
いくら声をかけても阿和が止まってくれる気配は全くなく、どんどん金河派が小さくなっていく。
「(なんでこの子はこんなふうに暴走するんだ!?というか金河派へ行く前もこうなっていたじゃないか!?)」
そんな事を考えながら諦めずにこちらを向かずに前を向き、走り続ける阿和に声をかけ続ける。
「阿和!!待ってくれ!!いいのか!?止まらなければこのまま私は落ちるぞ!落ちてしまうぞ!」
その声でようやく阿和の足が止まり、木の上から地面へと降り立つが、今回は烨霖を離す気はないようで抱えた状態のまま話し始める。
「、、、すまない、、、」
「そう思うのなら降ろしてくれないか?私は1人でも立てる」
「、、、」
拗ねた子供のように阿和は無言で首を振る。
「、、、はぁ、、、どうしてこんな風に急に飛び出したんだ?それに、なんで石を、、、」
「、、、、彼処は嫌いだ。そなたが嫌な思いをする」
「そなたに、悲しい事を思い出させる。」
阿和のその言葉に烨霖は驚きで目を見開く。
まさかこの子は扉越しだと言うのに私の気持ちを敏感に感じ取ったのか?
「なん、、、なぜ、、そう思ったんだ、、、?」 そう聞くと己の首筋に何かが這う感覚に猫のように鳥肌が逆立ち、その何かを素早く捕まえる。拳を広げて見てみれば何と人魂のようなものが掌の上でゆらゆらと煌めきながら静かに揺れていた。
「ま、まさか、、これで会話を盗み聞きしていたのか!?」
「あぁ、全て聞いていた」
「なん、、、なん、、、」
驚き過ぎでもはやそれ以外の単語が出てこなくなる。だが1ミリたりともその事に悪気を持っていない阿和は淡々と話し続ける。
「そこであの若君はそなたのことを悪く言っていた、だから石を投げた。」
「安心してくれ、力を込めずに軽く投げた程度だ。」
「(何処に安心する要素があるんだ??)」
「それにあの者は、、、そなたの悪口を言っていた。」
勢いで反論しようと開いた口がふいに止まり、烨霖は信じられないという顔で目を見開き、阿和の顔を凝視する。
今、阿和は確かに英豪が私の悪口を言ったと、そう口にした。だが今のこの身体の名は李梓豪であり、英豪が悪口を言っていたのは陳烨霖だ。なのに何故、阿和は英豪が私の悪口を言ったと思ったんだ?
「どうした?」
我に返った烨霖は何とか平然を装うと無理に笑顔を作る。
「いや、あはは、私の悪口だって?阿和、寝ぼけちゃったのか?」
「若君が言っていたのは陳烨霖だろう?私は李梓豪じゃないか!」
「違う」
「そなたは陳烨霖だ」
「私はそなたを間違えない。」
その言葉には不思議と重みや説得力があり、烨霖の口から自分でも驚く程に震えた声が零れ落ちた。
「、、、君は一体、、、」
「誰なんだ、、、??」
ここまで見てくださりありがとうございました。これからももっと上手く書けるように頑張ります🙇♀️
ではまた次回
262
るみあ
31