諸伏side
俺は2人にお願いがある。
「そう言えばさ、今週末暇?」
「ひまー」
「暇だけど、どうした?」
「兄さんに会ってほしいんだ」
「え、でも長野に居るって」
「今週末、遊びに来るんだって」
「へえ」
「いいのか?家族水入らずの時間だろ?」
「兄さんに2人を親友だって紹介したいんだ!」
「いいけど」
「ほんと?!ゼロは?」
「ああ、いいよ」
「ありがとう!」
そして迎えた週末。
「兄さん!」
「景光。大きくなったな」
「大人っぽいヒロって感じするー」
「分かる」
「ああ、紹介するね。この2人、降谷零君と五条芹那ちゃん。あだ名がゼロ、セリって言うんだ。かっこいいだろ!2人とも親友なんだ。ゼロは同じ警察官を目指してるんだ」
「初めまして。五条芹那と申します。いつも景光君にはお世話になっております」
いつもの芹那からは考えられないくらいに丁寧な挨拶に驚く俺とゼロ。
「…は、初め、まして。降谷零です」
「丁寧にありがとう。私は諸伏高明。よろしくお願いします」
「「よろしくお願いします」」
「まずは、景光の失声症を治してくれてありがとう。ずっと直接お礼を言いたかったんだ」
「いえ、景光君が頑張ったからですよ」
それから色んなことを話した。終始2人は俺と兄さんの会話に相槌を打っていた。兄さんに会わすことが出来て、俺はとても満足だった。
「じゃあね、兄さん!」
「ああ、またな。おふたりとも、景光をよろしくお願いします」
「「はい」」
その会話を最後に、兄さんと別れた。
「そう言えば2人は兄弟居るの?」
「俺は居ない」
「私は双子の兄が一人いるよ」
「「え!」」
「ん?」
「でも、小学校も中学校もお兄さん居ないよね?」
「あー、小中別の学校に通ってるの」
「…仲悪いのか?」
「いや、全然。ふつーだよ。ただ、ちょっと家庭の事情でね」
「そうなんだ」
そう言ったセリの目はつまらなそうだった。そう言えば、セリのこと、あまり知らないな。
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