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桃源暗鬼

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桃源暗鬼

2 - 第2話

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2022年09月11日

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羅刹に入学し暫くして桃関がいたであろう基地に行った。そこは鬼と桃の戦闘のせいでボロボロだった。建物はやっと建っているい状態で足場も悪かった。地下にもスペースがある事が分かったから地下に行くとそこには鬼がいた。でも半数以上は既に絶命していた。酷い悪臭に耐えながら奥に進むと其奴はいた。両手両足はあらぬ方向に曲がり泡を吹いて顔面血まみれで倒れている彼奴がいた。呼吸はしていないんじゃないかと思う程浅く応急処置をする為にボロ切れと化した服を脱がすと、怪我と言っていいのか分からないほどに負傷していた。背中は鞭か何かで叩かれ肉が見え、腸の部分は傷口の融合が上手くいかなかったのかズクズクになっていた。


京「ダノッチ、その子はもう…」

無「医療部隊呼べ。まだ助かる」


自分の着ていたシャツを着せ抱えようとすると血で滑って身体を落としそうになった。どこからどう見ても重症なのに京夜は素っ頓狂なことを言う


京「見た感じ怪我も無いし気絶してるだけじゃない?」

無「……は?何言ってるんだ京夜。」

京「何言ってるって…」


そのとき微かに感じたのは自身をコーティングするかのようにかけられた桃太郎特有の「菌」それを解くために触れると


無「ッ”!!!」︎︎

京「ダノッチ!!!」


まるで静電気が走ったかのような瞬間的な痛みを感じた。手のひらを見るとぱっくり裂けていて同時に京夜の顔が歪む


京「…ンだよ…コレ…」


そのコーティングしていた菌は彼奴が”いつも通りの自分に見せる為”に自ら施したのだと分かった。無理矢理解いたから自己防衛の為に攻撃して俺の手が裂けた。気絶してるように視えていた奴が急に重症化した状態で視えるようになった京夜はひどく混乱していた。


無「多分、生き物…人や鬼の視力とか意識をコントロールする能力だ。俺には何故か効かなかったのかは分からないけど。唯一の生存者だ羅刹で保護するぞ。」


その一言にハッとした京夜は慌てて当時の担任に連絡。其奴は一命を取り留めた後、羅刹で要注意人物として離れの一部屋に隔離された。様子を見に行った時はボンヤリと外を眺めていた。まだ所々には包帯が残っていたが俺を見ると嬉しそうに笑う。


鳴『助けてくれてありがとう。俺、死なない限りあそこから出られないと思ってたんだけど桃太郎が死ぬって言う選択肢もあるんだねぇ〜』

無「思ったより元気そうだな。」

鳴『モルモット生活が一旦終わったからねぇ』


頭蓋が少し凹み右顔半分は塩酸か何かで焼き爛れた痕。口の横は刃物で無理矢理切り裂かれた痕、首には枷の跡、全身あざと変形変色。  俺が見ていた彼奴は最初からその姿だった。


鳴『ねぇ無人くんは俺の能力、効いてなかったんだね。それなのに構ってくれたんだ』

無「お前のその姿くらい他の奴に比べたらまだ可愛い方だ」

鳴『いい男だねぇ。俺の両親も無人くんみたいに言ってくれたら良かったのに』


ふふっと笑う彼奴は両親に売られたと後からの報告で聞いた。鬼の血を絶やそうとする一族に生まれ、鬼の血を引き継いだと分かったと同時に桃太郎に売られたそうだ。じゃあ何故、あのコーティングをしていたのかと問うと他の子を守る為と言われた。


鳴『無人くんは俺の名前、聞いた?』

無「は?本当の名前?」


俺の反応を見た後、彼奴はニコリと笑う。


鳴『俺の本当の名前、教えてあげる』

無「今の名前は…」

鳴『偽名だよぉ。そうでもしないと俺の一族の事バレちゃうでしょ?』

無「本当の名前ってなんだよ。お前の両親はお前にどんな生き方を望んだんだ」


くるっと回ると彼奴はいつも通りの大人びいた顔で俺を見る


鳴『”しこお”』


聞いた事ある。確か、意味は


鳴『現代じゃ醜男って呼ぶかな。醜い男。名は体を表すんだよ。ぴったりだ。性格も見た目も』

無「そんなの…」


名前として到底つけられるべきものじゃない。生まれた我が子にこんな名をつける親がいたなんて


鳴『御先祖様がねぇ鬼なんだけどなんかそれが嫌みたいで外部の人、桃太郎とかを婿入りさせて外から鬼を根絶やしにしようとしたんだけどねたまーに俺のみたいなのがポコって生まれるんだぁ。桃太郎の能力を受け継いだならまだマシだったけど鬼の能力を受け継いだ人達はみーんな桃太郎に売られたんだ。世間体を気にしたお父様のせいでねぇ。』

無「だからってそんな名前つけるの変だろ…誰かに愛されることだって…」

鳴『家族に愛されなくて誰かに愛されそうだなんて思ってないよぉ』


こんなに寂しそうな笑顔を見たことがなかった。なんでそんな重い過去を押し込めて生きてきたんだ。


鳴『背伸びしたら疲れたなー。無人くんは俺を殺したい?』

無「死にたがりなのか?」

鳴『どーだろねぇ。死ねって言われたら死ぬよぉ?』


誰かに死を願われ続けでも何となく生きてきて。そんな人生で言い訳がない。桃太郎の能力も受け継いだ彼奴を警戒して硝子1枚隔てた先で彼奴は隔離されている。だから少し空いた距離で、言葉だけで彼奴に伝える。


無「俺についてこい。羅刹で沢山学ぶんだ。それで一緒に戦闘員になろう。」

鳴『気軽に俺の進路決めたねぇ。でも無人くんがいるならいいかもなぁ〜』

無「決まりだな。絶対に死ぬなよ」

鳴『約束だねぇ〜』


死んで欲しくない。この時はただそう思い咄嗟に出てきた約束を取り付けた。

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