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微R
いるらん、らんいる
1471字
起きた途端に、煙草特有の匂いが鼻についた。
窓からは西日が差し込み、部屋がオレンジ色に色付いている。
ベランダには1つの人影が見える。
そして、その人影からは一本の煙が細く上がっていた。
「らん?」
「…あ、起きた?」
俺が声をかけると、見慣れた顔がゆっくりと振り返った。
見慣れないのは、その左手にある一本の煙草。
「珍し」
「…そんなに吸わないけどね」
こいつはふいっと顔を背け、まだ十分に残っている煙草の火をさっと消した。
そしてもう一度俺の方を振り返り笑みを浮かべる。
「そこに、この前言ってた資料置いといたから。あとで見といて」
「…そんだけ?」
「うん」
「そう。ありがと」
テーブルには、丁寧にホチキス止めされたプリントが並んでいた。
その隣に置かれたコンビニのレジ袋からは、封を開けられた煙草の箱が覗いている。
俺はその箱から一本抜き取ると、ベランダに出た。
らんが目を丸くする。
「煙草、吸えんの?」
「昔吸ってた」
「…意外」
「そうか?…それより火、くれ」
「あ、はい」
差し出された百均ライターで、俺は煙草に火をつけた。
煙を吸い、吐く。
口の中に取り留めのないものが入り、吐く頃にはそれが確かな形を持って舌に乗る。
快感を伴いつつも、ざらざらとした苦さが残る。
らんはその仕草をじっと見てから、自分の煙草にもう一度火をつけた。
2人とも何も発さない。
その沈黙を埋めるかのように鳴る、車のクラクションや信号機の電子音、子供の泣き声が騒がしい。
辺りは次第にオレンジ色からピンク色に染まっていく。
青白い月と相まって、夜の訪れを感じさせていた。
空に立ち上るのは2本の煙。
決して広くはないベランダで、互いの息遣いが分かる。
まるで、ここだけ時が止まっているかのようだった。
「…苦い」
「そういうもんだろ」
「よく吸えるな」
「常時吸ってるわけじゃねえ」
「あっそ」
短い会話。
思えば、遊び以外でらんが仕事をしていないところを見るのは珍しい。
ましてや、らんがこんな時間の使い方をすることは。
「…なあ、いるま」
「何?」
「煙草とってきてくんね?」
見ると、らんの煙草はもう限界に近づいていた。
俺はため息をつく。
「自分で取りにいけよ…」
「こっからだと出れねえんだって」
#mnnm注意
Sizuku
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#LAN いるま 暇72 すち みこと こさめ
えま🎼🍵
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#リクエスト募集中
「はー…」
しかし、らんの言うことを素直に聞くのは癪に障る。
俺は自分の煙草をこいつの口に咥えさせた。
「…!?」
「これでいいだろ、俺の方もそんな残ってねえけど」
「はあ、こいつ…」
「ん。何?」
俺はにやりと口角を上げる。
らんの顔が赤く染まっているのは、夕日のせいだけではないだろう。
「…ほんとにもう…」
らんは煙草をそっと口から離し、煙を吐いた。
かと思うと、気づけば唇に柔らかいものが触れていた。
自然と口が開き、あいつのものが身勝手に絡みつく。
俺と同じ、いや、俺よりも濃い味が、俺の舌に乗る。
苦いけれども、甘い。
「…やるならここまでやれよ、ヘタレ」
ようやく離れると、らんは俺の唇から垂れた液体を指で掬いながら言った。
意地悪そうな笑みを浮かべるも、余裕のなさが見え隠れしている顔。
俺の心臓が大きく跳ねる。
その胸の高鳴りが伝わらないように、俺はらんのまだ熱を帯びている頬に触れた。
らんがびくりと肩を震わせたのが分かった。
「誘ってんの?」
返事はない。
しかし、俺を見る目は雄弁と語りかける。
らんのとろんとした目を見ると、また心臓がどくどくと音を立てる。
「最初っからそのつもりだったんだろ?」
「…うん」
「ほんと、世話の焼けるやつ」
俺は軽くキスを落とした。
すでに2本の煙は消えていた。
煙草よりも確かな熱が、2人の間にはあった。
青白い月が、空高くで輝いていた。
コメント
1件
うわあああ第1話からもう最高すぎる…!!😭💕 煙草を介した距離感がエモすぎて鼻血出るかと思った! ベランダでの静かな時間、夕焼けから夜の訪れ、2本の煙が交わる空気感がめっちゃ映画っぽくて…。最後のキスシーン、苦いけど甘いって表現が刺さりすぎ! らんの赤くなった顔とか余裕ない感じとか、いるまのちょっと意地悪なとこも良すぎる…続き気になりすぎるんだけど!!?🔥