モニターには母さんが映っていたんだ
優真)どうして此処が分かったんだ…?
驚いているとモニター越しだが声をかけられる
母)そこにいるのは分かってるのよ優真?
母)さあ早く戻って来なさい私の奴隷
恐怖で床に座り込む
度々鳴り響くインターホンの音にこむさんも起きたみたいだった
義盟)こんな夜中に…ってどうしたんや
優真)こ、こむさん…どうしよう…
義盟)どうした?
優真)今母が家の前にいます…
義盟)バレたんか…?
優真)分からないです…
優真)どうしよう…もし見つかったらまた…
そう言いかけるとこむさんが優しく抱きしめてくれた
義盟)大丈夫やで
優真)こむさん…
義盟)絶対守ったるから、な?
優真)はい、ありがとうございます
義盟)今から話してくるからどっか隠れといて
優真)え、でも…
言いかける前にこむさんは1階に向かっていた
一緒に1階に降りるのは怖くて2階から様子を伺うことにした
義盟)こんな夜に誰ですか?
母)すみません、優真の母ですが…
義盟)何の用ですか?
母)優真はここにいますよね?
母)返して貰ってもいいですか
義盟)優真くんがここにいるっていう証拠はあるんですか?
母)あの子のスマホにGPSをつけてますから
正直吐き気がした
ここまで自分を管理して支配していたことを知って…
母)こちらは警察を呼んでいますので
義盟)は?何でやねん
母)私の息子を誘拐した罪で訴えるためよ!
2階から聞いてると警察が家に入り込んできていた
警察官1)今の話が本当なら十分重罪になりますけど
母)早くこいつを捕まえなさい!
我慢の限界だった
自分の大好きな人が危険にさらされていることが許せなかった
気づいたら駆け足で階段を駆け下りていた
優真)絶対そんなことさせない!
義盟)優真くん、隠れといて良いって言ったのに
優真)ごめんなさい…こむさん
母)ほらやっぱりここにいたじゃない!
母)さあ帰るわよ
掴まれた手を振り払う
全員が視線をこっちに向ける
母)優真…どうしたの?
優真)やめてよ…
母)脅されてこんなこと言ってるの?そうでしょ?
優真)うるせえな…触んじゃねえよ
今までの怒りを込めた声で言葉を返す
優真)僕は誘拐されたわけじゃない!
優真)自分の意思でここに来たんだ
母)嘘でしょ?
母)こんなやつの所にいても…
優真)黙れよ!
優真)断然こむさんのほうが一緒にいてて嬉しいんだ
母)何よ、私の今までの愛情を踏みにじる気?
優真)愛情?毎日殴るのが愛情だって言いたいの?
あんなの愛情でも何でもないんだよ!
ただの支配なんだよ!
今まで史上初めてこんなに大きな声を出して叫んだ
夜だろうと関係なしに大声を出していた
優真)こむさんはお前とは違うんだ
いつも優しくしてくれて…
人を気遣うことが出来て…
笑顔がとても素敵で…
悩みとかも聞いてくれて…
悩んでる時いつも隣にいてくれたのはこむさんだった
初めて大好きって感情を持ったのもこむさんだった
お前とは全然違うんだ!
恥ずかしさも全て忘れて言葉を発し続けた
母さんは怒りの感情で震えていた
母)黙れ!また殴られたいみたいね
そう言い、大きく手をふりかざす
いつもより大きな構えについ身を縮める
けど、いつもの平手打ちは頬に当たらなかった
不思議に思い顔を上げるとこむさんが目の前に立っていた
どうやら平手打ちはこむさんに当たったみたいだった
優真)こむさん!大丈夫ですか?
義盟)これぐらい何とも思わんわw
殴られて痛いはずなのに笑顔でそう返される
母)何よ、歯向かう気?
義盟)優真くんは初めて自分の意思を持ってここに来てくれたんです
これ以上優真くんから大切なものを奪うのをやめてあげてください
警察官1)どうやら悪いのはお母様の方でしたね
母)こんなの認めないわ!
暴れる母さんを警察官の方が押さえてパトカーの中へと消えていった
その後もう1人の警察官が話しかけてきた
警察官2)今までのことを詳しく教えていただきたいのですが大丈夫ですか?
優真)…分かりました
警察官2)それと今後のことについての話も…
優真)今後のこと?
警察官2)はい…
警察官2)あなたのお母様は警察に連行させていただきました
これから自分の家で1人で暮らしてもらっても良いですし、施設に行ってもらうのもありです
今後のことはご自分で決めて貰って大丈夫です
優真)はい…
一気に色んな事がおきすぎて頭の中の整理がつかなかった
警察官の方は席を外してくれた
今はこむさんと2人きりの状態だ
義盟)優真くんはどうするか決めてるん?
優真)まさかこんなことになるなんて思ってなかったので…
恐る恐る重い口を開く
義盟)前も言ったけど、自分の好きなようにしたらええんやで
義盟)優真くんの人生なんやから
優しい言葉が自分の心を締め付ける
また涙がこぼれそうになる
優真)…です
義盟)?
優真)1人になりたくないです…ポロッ
せっかく見つけた居場所を手離したくないです
我儘だって分かってます…
自分の家にも施設とかにも行きたくないです
一生こむさんの隣で生きていきたいです
自分の思いを嘘偽りなく正直に伝えた
とても大きな我儘を言っていることは分かっていた
けど、自分の意思にさからえずそう言っていた
義盟)それは優真くんの本当の意思?
優真)…はい、嘘偽りない意思です
義盟)じゃ警察の人に言っておいで
義盟)俺は全然大丈夫やし、嬉しいで
優真)ホントですか?
義盟)当たり前やん!
優真)じゃあ言いに行ってきます
優真)けど、こむさんも一緒に来て欲しいです
義盟)不安なんか?
優真)ちょっとだけ…
そう言うとこむさんは一緒についてきてくれた
優真)あの…
警察官2)決めましたか?
優真)はい…
義盟)大丈夫やで
大きく深呼吸をして、心を落ち着かせる
そしてゆっくり話し始める
優真)…僕は自分の家にも施設にも行きません
警察官2)ではどうするんですか?
優真)僕は…ここにいさせてもらいます
警察官2)分かりました、ですが…
警察官2)その選択で後悔しませんか?
優真)はい、大丈夫です!
そう言うと、警察の人は納得してくれた
事情聴取は夜遅いため後日することになった
警察官が帰った後は今までの騒がしさが嘘のように静まり返っていた
優真)ごめんなさい…なんか色々と
義盟)気にせんでええで
優真)あの、殴られたところ大丈夫ですか?
義盟)特に痛くは無いけどな
優真)一応手当させてください
カバンから応急手当のために持ってきていたケースを取り出す
優真)動かないでくださいね
義盟)分かった
義盟)ところでさ…
優真)どうしました?
義盟)優真くんさっき大好きって感情を持ったって言ってくれたけど…あれってガチ?
勢いに任せてつい本音を口にしていたことを思い出す
優真)あ、えっと…は、はい…
優真)初めて恋愛感情を抱いたのはこむさんです//////
どうせ振られるだろうとは思ったけど、言い訳できない気がしてそう伝えていた
恥ずかしさで死にそうだった
義盟)マジ、そうやったんや…
優真)い、今の話は全部忘れてください
義盟)ごめんやけど忘れられへんわ
義盟)めっちゃ嬉しすぎるわ
優真)…え?
義盟)墓場まで持っていくつもりやってんけどなw
俺も優真くんのこと大好きやで
やから、付き合って欲しい
顔が熱くなったのを感じた
それと同時に笑顔が顔からこぼれた
優真)…こちらこそよろしくお願いします
義盟)ホンマに?
優真)もちろんです!
優真)生きてて良かったです(ポロッ
義盟)大袈裟やなあw
嬉しさのあまり涙を流していた
なだめるようにこむさんが頭を撫でてくれた
優真)…こむさん大好きです((ボソ
義盟)ん?なんか言ったか?
優真)いえ、何も!ニコッ
今まで生きてきた人生はとてもつまらなくて、なにかに怯える日々だった
優等生という言葉に苦しみを感じて生きてきた
何度か自分の命に終止符を打とうと思った
けど、そんな勇気なんか全く無くて
仕方なく今を生きてきた
でも生きてきたおかげで自分の大切な人に出会えた
大好きといえる人に出会えた
自分が本当にいたい場所が分かった
だから、これからも一生僕は生きていく
苦しくなっても
泣きそうな時も
どんなときも
大好きな人の隣で
〜end〜