テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
僕 、忍術学園四年い組綾部喜八郎 。
ではなく 、 綾子は 。
演習を飛んでしまい 、女装姿でひとり 。
どなたかとお団子を一緒に召し上がれるまで
帰れないのですが 、、、
『…..まさか 、本当に
僕だと気付かなかったんですか?』
「えぇいうるさいぞアヤベ!!!!」
『…..はぁ 、もういいです
さっさと奢ってください 。』
「なッ!偉そうに言うなよ、、!!」
そう 、目の前にいるタソガレドキ軍
諸泉尊奈門が僕を本当の女の子と勘違いをして
顔を真っ赤っかに染めてひっかけてきた。
ついつい面白くって綾子として振舞っていたら
ついでにそのまま忍務を終わらせちゃおうと思い
三割忍務のため 、七割面白さで茶屋を誘ってみた
すると 、多少驚いていたけど
すぐに行くと二つ返事で帰ってきたものだから
さすがの僕でも自尊心をやられて白状してやった
何時しか 、尊奈門さんは19歳だとお聞きしたけど
どうしてもその初々しい反応が
藤内や伝七のようにしか思えなくて
本当に僕より年上なのだろうかと疑問に思う 。
『…..って 、な..何してるんですか?』
「…お、お前がぼーっと突っ立ってるからだ!」
『ちょ 、そんなんしなくたって歩けますが』
「〜ッ!!」
「いいから黙って着いてこい!!!」
いい加減な人だなーって思いながら 、
血管が浮き出てゴツゴツした手で握られた
自身の白い手が心なしか普段より暖かいな
なんて思いながら茶屋かと思われる場所まで
案内されることにした 。
「ほら 、好きなの頼め 。」
『おぉー、なんか高そう』
「煩いな ……….. どれが好きなんだ」
『んー 、草団子が好きです 。』
『あ 、でも三色も好きですしぃ……..ん〜』
「そんなの 、ふたつ頼めばいいじゃないか」
『え 、いいんですか?』
「….まぁな 、仕方なくだぞ!!」
『尊奈門さんスキです〜』
「なあッ?!!!!???」
もごもごうるさい尊奈門さんを他所に
どんなのがくるのかななんて考えて 、
美味しかったら滝達の分を買ってきてやろう
と思い 、足をぶらつかせ待っていた 。
ふと 、横をちらりと見たら
彼とかち合って首を傾げればしゅっと
首ごと逸らされた 。
仮にもスキな人にそんなことするかな_____
諸泉尊奈門が僕 、綾部喜八郎のことが
好きだって言うことは皆が承知のこと 。
何故ならば 、その件で一度 。
土井せんせいと勝負をしていたから 。
「土井半助ェ!!!!」
「また戦う気なの?尊奈門くん。」
「当たり前だろう!!
だがしかし 、今日はまた違う!」
「はぁ 、何かあるの?」
「そうだ!!そこにいる綾部喜八郎!!」
『え 、ぼく?』
「何したのよ綾部 、笑」
火薬委員会で火薬調達をしに街へ出かけると
土井先生と久々知先輩が言うから
僕も踏子を修理に出していて 、火薬屋さんの近く
だったことから一緒に出かけることになっていた
すると 、ふと現れたのは諸泉尊奈門で
存外 、私服姿はなんともかっこいいのに
来る目的はただ土井先生と勝負をするだけ 。
なんとも勿体無い 。
もっと他に体力を使った方が良いのでは?
なんて思いながら 、尊奈門さんに近ずけば
後ろからグイッと引っ張られて
気づけば僕は土井先生の胸の中だった 。
『どいへんへ 、なんれふふぁ?』
「喜八郎 、もう少し緊張感を持ちなさい…汗」
「いいか 、一応尊奈門くんだって
敵軍の人なんだよ?……….一応ね 。」
「いつもお前は一言余計なんだよ!!」
「….ところで 、尊奈門さんは何故喜八郎を?」
久々知先輩まで 、僕の前に立つなんて
尊奈門さんってそんなに悪い人?って思ってたら
グワーッと大きな声で尊奈門さんは叫んだ
「それは 、綾部喜八郎!」
「キサマにひとっ…ひとめめめ … 」
『ひとめめめ?』
「……まさか 、」
「もしや…..!?」
「一目惚れしたからだー!!!」
「 「 は 、はぁぁああ!?!? 」 」
「どど、どうしてそんな事を..?!
それになんで私と戦うことになるの?!」
「それは 、」
「それは?」
「土井半助と綾部は付き合っているのだろう?」
「は?」
『おやまぁ』
「….なーんでそう思うんですか?尊奈門さん」
「へ 、兵助…顔が怖いぞ 。」
「俺は見たぞ!!土井半助!」
「この間そこにいる綾部を横抱きしては
自室に連れこんでいたじゃないか!!」
「ちょっ…な 、なんでそれを…」
『おやまぁ 、あの時の〜』
「ふーん 、それで?尊奈門さん」
「だから怖いって兵助 !」
そう 、尊奈門さんが言うには
僕が土井先生をどうしても
僕の落とし穴のトシちゃんに
落としたくって落としたくって 、
奮闘する時期があった 。
そんな時 、ついつい頑張りすぎちゃって
土井先生が来るより先に 、
眠気に負けて穴の中で寝ていたことがある 。
そんな僕をみて 、土井先生は
快く部屋を貸してくれて一緒に寝てくれた
ただそれだけなんだけど 、、
「土井半助!!お前の恋人だとしてもッ!
私は諦めないぞーー!!!覚悟しろ!!」
「だから!!なんで私なのさっ!!」
そう言って 、ふたりはそのまま勝負をしていった
あの後は 、尊奈門さんの叫び声によって
今にも火花が飛びそうな立花先輩に
ニコニコ笑顔で怖いものを持つ伊作先輩とか
まぁ 、色々居たんだけど 。
尊奈門さんがのびてる頃 、
土井先生が再び僕に寄ってきてこういった
「いいかい喜八郎 、お前は他とは違う
どこか惹かれる思いがある 。
お前は美しすぎるのに 、大胆すぎるんだ 。」
「もう少し 、警戒心を持ちなさい」
そう言われても 、警戒する必要なんか
ないんじゃないかって思っている 。
だって 、いくら僕より六つ年上だからって
こんな幼稚すぎる人なんて
今更怖気付くこともない。
でも 、なんでか分からないけれど
その日からというもの 、忍術学園の人達はみんな
一段とタソガレドキ忍者を警戒するようになった
僕が尊奈門さんや雑渡さんと話してれば
必ず誰かしらが飛んできたり
尊奈門さんが学園にやってくれば
決まって土井先生が現れて勝負を自ら頼んだり
六年生はそんな尊奈門さんと手合わせをしたり
今思えば自衛にしか見えなかったけど
面倒なことに巻き込まれないならそれでよかった
そういえば 、お団子まだ??
『…ん 、いいにおい』
「とっくに届いていたぞ 。
何ぼーっとしていたんだよ 、全く」
『えー』
『いただきまーす』
「あ 、おいっ….はぁ 、頂きます!」
僕が食べ始めるまで待っててくれたんだなぁ
優しいところもあるじゃんって思うけど 、
でもやっぱり子供すぎて補えない 。
『ん〜!おいひいれすぅ』
「そうか!それはよかった..」
安堵したかのように目を伏せ微笑んで
最後の一口の団子を口に入れていた 。
僕も急がなければと急いで食べていれば
そんなに慌てるんじゃない。と微笑まれて
少し 、ほんの少しだけ心臓が締まった 。
その後なんかはスピード勝負で
はやく食べてはやく帰りたい
気持ちでいっぱいだった 。
「おいおい 、そんな一気に入れたら
詰まるんじゃないか?」
『…っ』
おかしい
普段ならあの笑顔でさえ子供らしい
太陽のように眩しすぎて苦手でまであったのに
どうして今こんなにも心臓が苦しいの 。
僕は 、絶対に認めない 。
諸泉尊奈門を好きになるなんて
絶対に認めないから 。
「なんだよ 、そんなにお団子が好きなら…」
「今度はちゃんとしたお前とまた
行ってやってもいいんだぞ?」
『…..は??!/ / 』
『うぁっ…..これはちがッ….』
何故か焦っちゃう自分をよそに
さっきの反応は明らかに間違えたと思って
弁明しようとするけれど上手く言葉にできない 。
もう 、いっその事逃げ去ってしまおうか 。
そう思えばはやくって 、
一目散に裏山方面へ走り出した 。
後ろからは尊奈門さんの声が聞こえるけれど
まだ遠い 。だから大丈夫 。
それでもやっぱり 、今の僕は綾子であって
着物やら下駄やらが邪魔で仕方ない 。
_______!
そろそろ追いつかれてしまいそうだな 。
そう思いひとまず隠れなければと思って
近くの大きな木の後ろに上手く隠れることが出来た
でも 、どうも先程からおかしいことがある
尊奈門さん 、足が遅すぎるんじゃないの??
時間かかりすぎじゃないかななんて思いながら
もう少しだけ待ってみた 。
『….もしかして 、帰っちゃったの?』
咄嗟に出たこの言葉
なんでか分からないけど 、とてもじゃないくらい
心臓を苦無で抉られてるんじゃないかって思うほど
痛い 、すごく痛い 。
その瞬間 、一気に身体の疲労感がどっときた 。
息も切れるわ冷や汗止まらないわで
もう 、誰にも見られないのだからと思い
着物の帯を緩め少々見苦しいが首元をあけた 。
窮屈だった首元が多少スッキリして
空気の通りが良くなり熱かった体も段々と
冷えていくように感じた 。
そうして落ち着きを取り戻していくうちに
もう一度立ち上がって様子を伺おうとした瞬間
『……へ?』
「…はぁ 、はぁ….やっと見つけたぞ 、」
『どうして 、、、』
なんでこの人が 、と思っていると
ガバッと勢いよく抱きつかれてしまった
『なっ何をするんですか!?』
「………」
『ちょっと聞いてるの!?』
「よかった 。」
『はぁ??』
何を言ってるの 、と引き気味に思っていると
尊奈門さんは少しづつ口を開いた 。
「嫌われたと思って 、
それは嫌だから追いかけたんだ 。でも….
姿が見えなくなって 、今度はとてつもない不安が
襲ってきて 、裏山に向かっていたからもしも
山賊にあっていたらとか転んでいないかとか
すごく心配してたんだぞ!!」
そう言って 、ボロボロ泣く尊奈門さんに
思わずクスリと笑ってしまった 。
「な..なぜ笑う…」
『いいえ〜 、ただおかしくて』
「なんなんだそれは 、笑」
『おやまぁ』
僕が学園に着いたのは 、
あれからそう間もないけれどあたりはすっかりと
夕日に赤く照らされていた 。
門まで送っていく 。
ときかない尊奈門さんに渋々着いてもらい…
最後 、尊奈門さんが頭を撫でてくださった後
僕はやっと忍術学園に戻ってきた 。
入った直後 、目が合った小松田さんが
奇声をあげれば 、えぇっと….
右から立花先輩 . 伊作先輩 . 久々知先輩 . 竹谷先輩
滝に三木に……….あ 、後ろからも色んな上級生が
門限破っちゃったから説教かな 。て思ってれば
立花先輩が僕の前まで現れて肩をガッチリ掴んで
離すことなくそのまま問い詰めた 。
「な …. ななんだその格好は!?
誰に襲われた!?誰とお茶をした!!!!!」
『立花せんぱい 、?
………….あー 、この着崩れはさっき尊奈門さんが((
「諸泉尊奈門〜〜〜??????」
そう聞き直してきたのは 、土井先生だった 。
「喜八郎 、どういうことかな」
『えぇ?普通にあの人とお茶して 、その後 ..』
「その後!!何したんだ?!」
『…..尊奈門さんがお誘いしてくれて
でも僕恥ずかしくて逃げちゃって
そしたらずっと追いかけてこられて 、
道中暑くて脱ぎました 。』
まぁ 、簡潔に言ったらこうだし
そう言えば 、先輩や滝達が急に地面に座り込んだ 。
『….みんな?』
わけも分からずそう問えば 、
「喜八郎 、まずはおかえり 。」
「怪我が無いか見たいから少し医務室へ行こう
仙蔵 、みんな ……頼んだよ」
善法寺伊作先輩にそう促されて医務室に向かう途中
すごい剣幕でみんなが制服のまま門をくぐって
どこかへ飛んで行くのが見えたけど 、
気の所為ですよね 。伊作せんぱい
「さぁね 、僕にはさっぱり分からないや」
コメント
4件
最高ですね....もうニヤニヤ止まりませんね、私の口角その辺に落ちてると思うんですが見てません??