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「琉生くん、寝るよ~」
あの一件の後、琉生くんへの感謝のためとかで私の部屋に泊まることが決定した。
「え~…まだ起きてたい~!!」
「早く寝ないと大きくなれないよ。」
「それは嫌だ!大きくなれなきゃ花月ちゃんと結婚できないもん。」
「け、結婚⁉」
12歳の男の子でも随分と大人びているんだな。結婚だなんて考えたことないよ。
「ダメ…?」
琉生くんが上目遣いで私を見る。この攻撃はずるい。
「考えておく!ほら、もう消すから寝ようね。」
リモコンを押し電気を消す。暗い中に静けさが増す。
「さっきは皆で何を話してたの?」
「ん…、大したことじゃないよ。ちょっと女の子の話をしていたの。」
「女の子…?」
「昔ここに住んでいた女の子のお話。私も詳しくはわからないんだけどね。」
「女の子か~……女の子といえば、さっきキズちゃんの気配があった気がしたんだけど、ここに来たの?」
「違うと思うな。」
思わず焦る。琉生くんにバレてないよね…?
「そうだよね…キズちゃんがここに来るなんてことないよね…。てっきり僕を探しに来たのかと思ったんだけどな…。」
「キズさんのこと、好き?」
「うん。たまに暴走して怖いけど……本当はすごく優しいから好き。きっと花月ちゃんもキズちゃんのこと好きになるよ。」
「うん…きっとそうだね。」
キズさんが柚さんであること。これから彼女と…もしかしたら琉生くんたちとも敵対するかもしれないこと。
私の目に映る健気なこの少年の姿が私の心を締め付けた。