ある日の晩の事である。
とある所にある大きな屋敷で、ある一人の女性が神楽を踊っていた。
その女性の名は――高月桃香《たかつきももか》。 彼女の家は鬼の保護と監視をしている。 その神楽は高月家で管理されている鬼のための舞なのか、はたまた強力な何かに操られた舞なのか、それは桃香しか知らない。
だが、見渡す限り桃香と演奏団の周りには鬼は一人もいない。
すると突然、桃香が天を仰ぎ
「清流《せいりゅう》様よ!我に全身全霊を尽くしてお力を‼︎」
と叫ぶ。
そして叫び終えた瞬間、雷のようなモヤのような物が桃香の体を直撃する。 ふらふらっとなった桃香の体を近くにいた高月の家の者が支える。「大丈夫ですか!当主様」
桃香の体を支えた者が言う。
すると桃香はうつらうつらと眠たそうな目をして「三輪《みわ》……私は――誰に見える?」 と言った。
話は変わり、これまたある日のことである。 会社でお昼ご飯休憩をしていた美晴に、こんなメールが届いたのだ
『美晴ちゃんへ、突然ごめん。だけどもう限界。誰かに話を聞いてほしい。この心の中にあるわだかまりを誰かに話したらきっと少しは楽になると思う。美晴ちゃん、お願い。私の話を聞いて。もう美晴ちゃんしかいないの。私の味方は、美晴ちゃんしか。千智《ちさと》より』
千智、高松千智《たかまつちさと》は小中高校ずっと仲が良かった友達である。
優馬と伏見稲荷大社へ京都案内と言う名のデートをした時に千智の母親と出会い、千智が鬱のような状態になっていると言われ心配していたが、なかなか連絡が取れずにいた。
そんな中でのこのメール、美晴は今がチャンスと思い千智へ電話をした。そして今週の土曜日に千智の家へ行って話を聞く約束を取り付けたのである。
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