「んで、らっだぁ様は俺らに何の隠し事をしてるんや〜?」
煙草に火を付ける青年。
彼の顎から生える髭になかなか青年とは言い難い印象を受けるが、僕らだけが彼の本当の年齢を知っている。
「え!?いや別に隠し事なんか…w」
「分かりやすく動揺してるのにも関わらず?」
言葉を被せられ何も言えなくなる。
紫の瞳が光る。
「それほどにも隠したい事情が今のらっだぁにはあると見た…」
「うぐっ…w」
顎に手を当て、わざとらしく考える動作をする彼はあの頃の美青年に戻っていた。
ただ違うのは、白い手袋をし、肩広を着こなしているという点だ。
「大人」と言われても信じる容姿は少々憎たらしく思える。
「つまり、らっだぁは僕らに隠し事をしてるって事か…」
「らだお〜カンネンシロ〜」
「観念しろ〜?w」
ふざける彼らは知らない。
これまでの行いを彼らに伝えてしまえば反省していないどころか逆に殺されるかも知れない。
「お前は殺される覚悟があるのか」、と。
再会に関しては正直、彼らの雰囲気にどうでも良くなり緊張が緩和された。
だが、今は違う。
考えなくてはいけない問題なのだ。
これまでの行いをどう隠すか。
これまでの行いを悔い改める必要があるか。
でも、僕は「正しい」ことをしてきた。
僕は「間違えたニンゲン」を「亡くしてきた」。
自らの手で、依頼された内容だけをこなして。
「正しい」とは、一体なんだ…?
「らっだぁ?」
フローリングを見ていた視界に赤が入る。
綺麗な、透き通るような赤色。
それが二つ付いた整った顔に一瞬見惚れるもすぐに視線を逸らす。
冷や汗が何滴か、音もなく床へと落ちる。
「い、や…何でもない…ごめん」
「謝ることを考えてたんか?w」
煙草を指に挟みながら足を組む、黄色いパーカーを着た彼。
吸い慣れた煙草を咥え、吸うと言う一連の動作を終えるとまた僕の方を見る。
「変わったやっちゃなぁ…」
吸い殻入れにまだ残る煙草を潰す彼。
正直勿体無いと思う。
が、そんなことよりも僕の頭の中は彼の放った言葉でいっぱいだった。
変わった。
カチッ…___
「……俺は、「正しい」ことをしてこれた…?」
チラリとこちらを見ながらまた煙草に火を付ける彼。
「少なくとも、俺らはお前の事を「悪者」にしたてあげようとはしやんな」
「間違っている」
紫色の彼が言う。
その言葉に体が一瞬震える。
「らっだぁの中でそう思うのならそれは間違った答えなんじゃない?知らんけど」
…そうか。
そうだったんだ。
「…ははっw」
喉の奥から乾いた笑いが噴き出してくる。
それを少し吐き出した後「俺」は皆んなの方へと向き直す。
「俺が「間違ってた」。やっぱり君らに隠し事は通用しないよな」
静かに覚悟を決める。
「分かった。話すよ」
『君らがいなくなってからの、
僕の過去を___』
コメント
2件
話してる感じから仲良いのが伝わってくる……。ここからrdの話になっていくのか…すごく楽しみ( * ॑꒳ ॑* )