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高校生活にも慣れてきた頃。
マナはクラスの中でもすっかり人気者になっていた。
明るくて、人との距離を縮めるのが上手い。
自然と周りに人が集まる。
ライはそんなマナを少し離れた場所から見ることが増えていた。
「緋八って誰とでも仲良くなるよな」
クラスメイトがそう言う。
「うん」
「伊波も仲いいよな」
「まあ……家族だし」
「そっか、義兄弟なんだっけ」
「そう」
そう答えながら、ライはマナを見る。
マナは別のクラスメイトと楽しそうに話していた。
「……」
なぜか胸の奥がざわつく。
別に何も悪いことではない。
マナが誰と話そうが自由だ。
分かっている。
それなのに、どうしても気になってしまう。
その日の帰り道。
「ライ、今日静かやったな」
「そう?」
「うん。なんか考え事してた?」
「別に」
「ほんま?」
「うん」
マナは少しだけ心配そうな顔をした。
「何かあるなら言ってな」
「……ありがとう」
「家族やからな」
その言葉に、ライの胸がまた苦しくなる。
家族。
その言葉が、最近は以前とは違う意味に聞こえていた。
***
ある夜。
リビングでマナがスマホを見ながら笑っていた。
「何?」
ライが聞くと、
「クラスの友達から」
「そっか」
「なんか面白い動画送ってきてん」
「ふーん」
「ライも見る?」
「……いい」
「そう?」
マナはまたスマホへ視線を戻す。
その瞬間、ライは自分でも驚くほど嫌な気持ちになった。
マナが自分ではない誰かと楽しそうにしている。
ただそれだけなのに。
「……何なんだよ」
自分の部屋へ戻ったライは、ベッドに座った。
最近ずっとおかしい。
マナのことを考える時間が増えている。
笑っていると嬉しい。
自分にだけ見せてほしいと思うことがある。
他の誰かと仲良くしていると、嫌だと思ってしまう。
そして。
ふと気づく。
「……これ、兄弟に向ける気持ちじゃない」
声に出した瞬間、怖くなった。
「違う」
何度も首を振る。
「マナは兄弟だから」
そう言い聞かせる。
でも、気持ちは消えない。
むしろ、気づいてしまったことで、はっきりしてしまった。
自分はマナに惹かれている。
家族としてだけではなく。
一人の人として。
好きなのだ。
「……駄目だ」
ライは顔を伏せる。
兄弟なのだから。
家族なのだから。
こんな気持ちは持ってはいけない。
そう思った。
それからライは、少しずつマナから距離を取るようになった。
朝は先に家を出る。
学校では必要以上に話さない。
帰りも一人で帰ることが増えた。
最初は気づかないふりをしていたマナも、数日経つと明らかに様子がおかしいことに気づいた。
「ライ」
「ん?」
「俺、なんかした?」
「……何もしてない」
「じゃあ、なんで避けるん?」
ライは答えられなかった。
「最近、ずっと変やで」
「……ごめん」
「謝らんでええから、理由教えて」
「……今は無理」
そう言って、ライはその場から離れた。
残されたマナは、寂しそうにライの背中を見つめていた。
コメント
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読了しました。ライが「マナに惹かれている」と自覚する瞬間の描写がとても丁寧で、胸がぎゅっとなりました。「家族という言葉が最近は違う意味に聞こえる」——この一文だけで、彼の苦しさと戸惑いが全部伝わってきます。気持ちに気づいてから距離を取ろうとするけど、それが逆にマナを傷つけてしまう展開も切なくて。しろまるさんの心理描写の繊細さ、本当に好きです。続きが気になります…!