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春に書いてる途中で完成した頃には梅雨だったアル菊。






「私ね、案外嫌いだったりするんですよー。」

それは突然、君が呟いた事。

「、、、何が?」

「桜。」

俺の訪ねに君がそう答えた時。菊の家の塀をふわりと越えてやってくる桜の花びらがぴたりと動きを止めた気がした。

「どうして、」

「だって、桜が咲く頃には貴方が来るんですもの。」

「なっ」

アポ無しで来た上に家の戸を思いっきり壊した挙句、ずかずかとつい土足で中へは踏み入ったことをまだ怒っているのか。俺は口をぷっくり膨らます。

「、、、不細工。」

「中々言うよね、君。」

「ふふ」

俺は不機嫌なまま、3色のお団子を口に頬張った。菊が珍しく俺につっかかってくるのはきっと、手元に持ってる日本酒で酔っちゃったからだ。

「花より団子ってやつですね。」

「もっもちろん、もぐ、桜だって、もぐ、楽しんで、もぐ、るんだぞ!もぐ」

もぐりもぐりと口いっぱいに入れていた団子を一旦ゴクリと飲み込んだ。

「大体、このお団子美味しいけど、3色なのに味が全部おんなじなんだぞ。もっとこう、、、Greenはメロンで、Whiteはバニラ、Pinkはイチゴとかね!」

「んー、それはそれでどうかと、、、」

「あっ」

「? どうしたんだい?」

「見てください、桜と一緒にタンポポの綿毛さんも踊ってますよ。」

「Wow 可愛いじゃないか!」

そんな事を呟いた菊は、ちょびちょびと飲んでいたお酒をコトりと床に置いて、すたっと立って、桜の近くへと寄って行ったかと思えば、クルクルと回って軽く踊り始めた。

「今日は上機嫌じゃないか、お爺ちゃん。」

「いつもどぉりですよー。」

「そ、、、、そーかい。」

不覚にも少し、少しだけ、菊が可愛く見えたのは言わないでおいた。

「ほぉら、アルフレッドさんも。ね?」

「はいはい。」

桜の足元でひらひらと笑う君が手招きをするので、仕方ないと立ちあがろうとした。その瞬間だった。


桜が踊りはじめたのだ。


桜の枝も散ってゆく花びらもも地面に落ちていた花びらも全てが

「うぁ、っ」

踊る桜に囚われそうになった菊に思わず声を漏らして手を伸ばした。

「菊!」

「、はいー?」

こてん?と首を傾げる君が俺の元へと戻ってくる。

「今の風、強かったですねぇ。」

「え、、、あぁ。、、、、そうだね。」

なんだったんだろ、今の。

ただ突然に菊がどこかへ桜と一緒に飛んで消えてしまう気がしたから。 なんでそう思ったのか、そう思ってしまった。頭の中で「?」を浮かべる俺に菊は何かに気づいたような顔をして、クスリと笑った。

君は君よりうんと高い位置にある頭に手を伸ばして触れる。

「桜がいっぱいついてますよ。桜の王子様」

「え、、っ、」

そう言って花が咲いたように笑う君が、どんな桜よりも綺麗だった。もしかして今物凄くキザかな、、、んん、キザでもいっか。

「君だってついてるんだぞ。桜のお姫様」

桜色に頬を染めた俺は桜色の唇のお姫様にそっとキスを送った。





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コメント

12

ユーザー

ううううううううう天才😭😭

ユーザー

文才が……神がかってますね

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