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📖 第十四章:「放課後の約束」
放課後。
チャイムが鳴ると同時に、教室は一気に賑やかになる。
笑い声、机を引く音、部活の誘い。
でも——
○○は、その全部が少し遠くに聞こえていた。
朝の凛の言葉が、ずっと頭から離れない。
○○:(なんでだろ……)
期待と不安が、胸の中で混ざり合う。
○○はゆっくりと立ち上がる。
カバンを持つ手が、少しだけ緊張で強くなる。
⸻
廊下。
夕方の光が差し込む中、○○は少しきょろ
きょろと周りを見渡す。
○○:(……どこだろ)
そのとき——
「○○」
後ろから声。
振り返ると、壁にもたれている凛の姿。
○○: 「……凛」
凛: 「帰るぞ」
当たり前みたいな言い方。
○○: 「え……一緒に?」
凛: 「嫌なら別にいい」
○○: 「い、いやじゃない!」
慌てて答えると、凛は少しだけ口元を緩めて歩き出す。
⸻
帰り道。
昨日と同じ道なのに、今日はどこか違う。
“約束して”一緒に帰っているから。
しばらく歩いて——
凛がふと足を止める。
凛: 「寄るか」
○○: 「え?」
凛: 「コンビニ」
○○は一瞬驚いて、それから小さく頷く。
○○: 「……うん」
⸻
コンビニ。
自動ドアが開く音と、ひんやりした空気。
明るい店内に入った瞬間、○○は少しだけ肩の力が抜ける。
凛は慣れた様子で奥へ進んでいく。
○○は少し遅れてついていく。
レジ横のホットケースの前で、凛が足を止める。
湯気の立つ中華まん。
その中から——
凛が一つ、肉まんを取る。
○○は不思議そうに見る。
○○: 「……買うの?」
凛: 「ああ」
それだけ言って、もう一つ手に取る。
⸻
会計を済ませて、外へ。
夕方の空気が少しだけ冷たい。
凛は袋から一つ取り出して——
そのまま○○に差し出す。
○○: 「……え?」
凛: 「ほら」
○○: 「いや、でも……」
戸惑う○○。
凛は少しだけ眉をひそめる。
凛: 「いいから食え」
少し強めの口調。
でも——どこか優しい。
○○はおそるおそる受け取る。
○○: 「……ありがとう」
手の中に、じんわり温かさが広がる。
⸻
少し歩いてから。
○○が肉まんを見つめたまま、ぽつりと聞く。
○○: 「……なんで?」
凛は前を向いたまま、
少しだけ間を置いて——
凛: 「お前」
○○: 「え?」
凛: 「軽すぎ」
○○の動きが止まる。
○○: 「……は?」
凛: 「この前、運んだとき」
さらっと言う。
凛: 「全然重くなかった」
○○の顔が一気に赤くなる。
○○: 「な、なんでそれ今言うの!?」
凛は気にした様子もなく、
凛: 「ちゃんと食え」
それだけ。
○○は少しむっとして、
○○: 「食べてるし……!」
と言いながら、肉まんを一口。
ふわっとした生地と、温かい具。
○○: 「……おいしい」
思わずこぼれる。
凛: 「だろ」
短い返事。
⸻
しばらく無言で歩く。
でも——
さっきより、少しだけ距離が近い。
○○:(……心配してくれたのかな)
直接は言わないけど、
ちゃんと気にしてくれてる。
そのことが、胸の奥をじんわり温かくする。
○○は小さく笑って、
○○: 「……ありがと」
凛は少しだけ視線を逸らして、
凛: 「……別に」
いつもの言葉。
でも——
その声は、どこか照れているみたいだった。
⸻
夕焼けの帰り道。
手の中の温もりと一緒に、
二人の距離も、また少し近づいていた。
コメント
1件
にwくwまwんw可愛い!凛ちゃんらしいw