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こんにちは❤ 素敵なお話しと作者様発見しちゃって嬉しいです♪ 続き楽しみにしています!
更新ありがとうございます✨✨ 冒頭の小悪魔な💛ちゃんの❤️君への『めちゃくちゃに…』の問いかけ、もう悶えました🫠🫠 そんな事言う割に、自分からのキスが初めてとか、もうそういう辿々しい所も全部好きっ!! ってなりました💕 ❤️君の愛も重過ぎて…✨ 大好きです🥰 次回続が楽しみです😊
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えぇ…。と薄暗い闇、ぼやけた視界の中で涼ちゃんが困ったように笑った。
そりゃそうだよね。その反応で正解だと思う。
ベッドに引っ張り込んだところでほぼ力使い切ってるし、頭がガンガンするし、視界もたまにぼやけるし。聞かれてないから言ってないけど、39℃超えてる熱があるからどこか頭がおかしくなってるのかもしれないし。
でも、だからこそ、会えないって言ったのに。
いや、遠回しすぎるし、マネージャーにも『風邪ひいた』の一言連絡を入れただけで。遠回しでもマネージャーにも涼ちゃんにも…ついでに若井にだって伝わると思ったから。
けど、なんでかな。トークとか対談とか、打ち合わせとか、普段は察しも悪くて鈍いぽやぽやした涼ちゃんが、そういうところだけは目敏く気付く。会えないって言いたくない、俺の心理とか、葛藤とか、悔しさとか、そういうところ。気付かれてしまう。
会えない、っていう言葉を使いたくなかった。作詞するときには直接的なストレートな言葉を何の迷いもなく使えるのに、どうしてもその言葉を言いたくなくて。
そういう子供っぽいところが自分でもすごく嫌いだ。
なのに、涼ちゃん相手にはそうなってしまうのは、なんでだろう。
惚れた弱み?ふざけんな。
あー、限界。
突っ張ってた腕から力が抜けて、涼ちゃんの上にゆっくり倒れ込む。
ふふ、と小さく笑いながら涼ちゃんが俺の体を受け止めて、ねぇ。と呟いた。
「めちゃくちゃって、いっぱいしたいってこと?」
それとも、めちゃくちゃなえっちがしたいってこと?どっち?
なんて、言う。
ちくしょう。声色がすごく楽しそうだ。
たまに、この遊ばれてる気持ちになるのは何だろう。
やっぱりそういうところ年上だからなのかな。永遠に近付けない4年っていう年月が悔しいと思わない日はない。
涼ちゃんの首筋に頬をつけて、呼吸をする。たまに擽ったそうに、微かに皮膚の下の筋肉がぴくりと震えるのを感じた。
自分の呼吸がすごく熱い。
「めちゃくちゃなセックスを、めちゃくちゃしたい」
ぼんやりする頭で、思っていることをそのまんま声に出せば、涼ちゃんはまた、えぇ…?と笑った。
「元貴、絶対、熱でおかしくなってるでしょ」
さすがに僕も今の元貴にどうこうされる気がしないんだけど、と。
いや、無理だよ。正直、全然無理。思うように体動かないし。今、感じてる涼ちゃん見たら、多分脳みそ飛んでくと思うし。でも、さわりたくなるし、さわったらセックス したくなるし、こういう気持ちになるから、だから会えないって、遠回しだけど言ったんじゃん!
…と、言いたいことは山ほどあったけど、言葉にならない。
全身脱力して重たいだろう体を受け止めて、文句のひとつも言わなくて。
涼ちゃんの腕が俺の背中に回る。とんとんと子どもをあやすように背をリズミカルに叩かれて、子ども扱いされているという反発的なものと、指先ひとつ触れる度に伝わる深い愛情の心地よさ、そのふたつの感情の間で揺れ動く。
普段の俺らしさが全然出てこない。熱の所為だ、全部。
涼ちゃんが、言葉が出ない俺の心情が分かっているのかどうなのかはわからないけど、きっと、ここで俺が何を言っても受け入れてくれるだろうっていうことだけはわかる。
いつだってそう。
一緒に音楽がしたいって誘った時もそうだし、やったこともないピアノを弾いてと言った時も。曲のアレンジの無理難題も、俺のこの長年かけて拗れに拗れた想いも。全部、受け止めて、受け入れてくれた。
想いを受け入れる、に関しては、結果受け入れてくれたっていうだけで、最初は本当に最低だったけれど。
どれだけ時間がかかっても、成就させたかった想い。一番傍にいて欲しい。絶対に手離さないんだ、って決めてた。
なのに、本当にくだらないことで…いや、くだらなくはなかったんだけど。カッとなってしまって、想いと言葉を叩きつけて、強引に暴いて奪ってしまった時は、もう終わったと思った。
自分のしたことへの懺悔の気持ちで、涼ちゃんを手離せばよかったのかもしれないけれど、それでも諦めが悪くてどうしても手離せない自分がいて。
終わったと思ったのに、終わらせたくなくて、必死だった。
一目見て、本能的に、逃してはいけない。捕まえなきゃ。と思ったんだよ。
都会に染まっていない野暮ったい感じと、まだ何にも汚されたことがないような目。特別目を見張る何かがあったわけじゃない、と言ったら失礼だけど、だだっ広い海の中で一粒だけ光る小さな石を見つけたような気持ちになった。
目を反らしてしまったら、見逃したら、多分もう見つけられない。そんな気がしたんだ、あの時。
救い上げて手のひらに閉じ込めて、麻紐で縛っていつでも感じられるところに置いておきたい。いつか自分の血肉に融合したらいいのに、と思うほど。
宝物を見つけた子どもみたいな高揚感と裏腹に、独占欲と支配欲と、もうなんか黒いものがドロドロで。
「もうこのまま寝ちゃってもいいよ?」
子守唄を歌うような優しい声が聞こえる。
「…そうしたいところだけど、もったいないな…」
囁かれた言葉に、息をついて返した言葉は、子供がぐずっているような響きになった。
やっぱり、涼ちゃんは大人っぽく笑った。
でも、心地よくて、高熱も相まってふわふわしてきたから、このまま眠れそうかも。と思ったところで、もとき、と呼ばれた。
両手が顔を包むように添えられて、顔の向きを変えられると、そのままキスをされた。
そう、こういうとこだよね。
ちょっと仕草が余裕があって大人っぽいのに、ふに、と唇同士がくっついただけの、キスとも呼べないような稚拙な、慣れていない感じ。
涼ちゃんのこういうところが、俺に火をつけるから、どうしようもない。
どうしてくれるの?
寝れそうだなってふわふわしたところに火をつけられて、劣情が込み上げてきてしまった。
「おやす、っい、んぅっ」
おやすみのキスのつもりだったのだろう涼ちゃんに、噛み付くようにキスをする。
勢い余って、初めてのキスをするみたいに、がち、と歯がぶつかった。
青臭い欲望みたいいな影をちらちら脳裏に感じながら、ぎゅっと目を閉じた涼ちゃんに、角度を変えて何度も深く口付ける。
「っあ、…は、ぅんん」
合間に漏れ出るくぐもった声。
この瞬間だけ熱より劣情が勝ったのか、性急にシャツに手をかける。本能で、指が手が動く。
なんでこんなに面倒臭いシャツ着てんの。ボタン、引き千切りたい。
「や、ん、っう」
短い言葉の切れ端みたいなものがキスの合間に聞こえる。
全部、俺を刺激するからどうしようもない。
会えなかった分、たくさんさわりたい。息が止まるんじゃないかってほどキスしたいし、俺の名前以外なんにも言えなくなるほど莫迦になるまでセックスしたい。
ふたつボタンを外したけどやっぱり面倒くさくて、結局シャツを裾からたくし上げて手を滑り込ませる。
臍、脇腹と指を辿らせて、冷たかった涼ちゃんの肌が熱を帯びるのを確認して、心臓の音が激しく鳴っているのを感じながら指を移動させて、目的のものを見つける。
「っあっぁ!」
少し硬くなった乳首に触れると、涼ちゃんは慌てたようにキスから逃れて引き攣った声を上げた。
体を捩って逃げようとするの許さない。
もとき、と乱れた呼吸の合間に名前を呼ばれる。
ねえ、その顔の方が俺は好きだよ。
全部好きだけど、ちょっと俺に意地悪したり、年上の余裕を纏わせた表情よりも、遥かに好き。
「ほん、と、に…するの?」
戸惑いがちに。
今更、あれだけ言葉遊びをしてキスして煽っておいて、俺が病人だって怖気付いたの?
涼ちゃんの考えてること当てようか?
メンバーとして、風邪っぴきに無理はさせちゃダメだっていう気持ちと、恋人としてめちゃくちゃにされたい気持ちと、天秤が揺れてる。
気付いてる?
涼ちゃんからキスしてくれたの初めてなんだよ。
「するよ」
めちゃくちゃなセックス。
はっきりゆっくりと目を見て言うと、なんとも言えない表情で涼ちゃんの視線が泳ぐ。
今、俺はどんな顔してるんだろうね。
顔色も悪くて熱もあって、The病人。って顔で、でもすんごくしたそうな顔で、ギラギラしてるでしょう?
ぎゅ、と指先で強く乳首を捻ると、びくんと大きく体が跳ねた。
唇を噛んで声を殺したからかわいい声は聞けなかったけれど、これはこれでぞくぞくする。
服も髪も乱れて、俺と同じくらい顔を赤くした涼ちゃんが
「…わかった…で、も、じゃあ、」
僕が、うえ、乗って、動くから。
とすごく小さく消え入りそうな声で告げて、降伏したように瞳を閉じる。
色々天秤にかけた結果、出たのがその答えなんだ。と思ったら、なんだかとても愛おしさが溢れた。
つづく