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雷光
69
#ご本人様には関係ありません
ぷりん🍣(busyまん
381
瑞稀
178
※このお話は本人様とは一切関係ありません!
テスト期間で間が空いてしまいました!見てくれありがとうございますー😭
『濁った海の、澄んだ底で』
「おい!放課後カラオケ行くやつ、早くしろよー!!」
キーンコーン、カーンコーンと終業のチャイムが高らかに鳴り響いて、教室の後ろ半分は一気に騒がしくなった。
いつものうるさいグループには、もちろんしょうちゃんがいる。今日もテキストを忘れて先生に怒られてたくせに、カバンを肩に引っ掛けながら楽しそうに笑っている。
一方の僕は、端っこの席でこそこそと自分の荷物をまとめていた。友達に「今日どっか行く?」と聞かれ、心底申し訳なさそうな顔で断った。
(しょうちゃんは、他のみんなといる方がやっぱ楽しいのかな…)
一瞬、胸の奥がぎゅっとする。学校でのしょうちゃんは、みんなの『しょうくん』だ。僕の涙を優しく拭ってくれた君が、雨の日が見せた幻であるかのように思えた。
そんな不安を勝手に抱えながら、僕は1人で教室を出た。雲ひとつない青空が、僕をもっと孤独な気持ちにさせた。
校門から少し離れた、通学路から一本離れた細い路地。自販機の影を通り過ぎようとしたその時だった。
「おーい、いむくん!」
不意に上から降ってきた低い声。
見上げると、コンクリートの塀に腰掛けてスマホをいじっているしょうちゃんがいた。
「しょう、ちゃん?なんでここに…」
「なんで、って約束したやんか。放課後にあそこ行くって!!」
しょうくんは塀からとすんと降りると、戸惑う僕の手を強めに握って引っ張った。
学校ではたくさんの友達に囲まれて、あんなに賑やかな君の瞳は、真っ直ぐに僕だけを映している。
「〇〇くん、カラオケとか言ってなかったっけ、行かなくていいの?」
「テキトーにいなしてきた。それよりいむくんと行く方が大事やし。」
事も無げな言葉に、僕の方が心臓がうるさいくらいにばくばくしている。
しょうちゃんは僕のブレザーの襟元に不器用そうな手をそっと伸ばして、曲がっているネクタイを直してくれた。
「ありがとう、」
「制服似合っとるねー。俺はその格好してないときのいむくんの方が知りたいんやけどな。」
少し悪戯っぽく笑う顔は、僕だけが知っている特別だった。
僕の顔を見たしょうちゃんは、強く掴んでいる僕の手をさっと離して「ほらいくで、りうらが待ってるわ。」と歩き出した。
ガチャ、と鍵がかかっていない扉を開けると奥から小さな足音が響いてきた。
「おかえり、!!遅いから今日は来ないと思ってたー!」
スウェット姿のりうちゃんがリビングから飛び出してくる。その手には、この前のギターが握られていた。
「ごめんごめん、いむくんを拉致するのにちょっと時間かかってさ、」
「あんなとこで待ち伏せされたら誰だって驚くよ!!はい、お詫びのケーキ。」
りうちゃんにケーキの白い箱を押し付けて、カバンを放り投げてブレザーを脱いだ。
「んふ、おいしい!、」
「りうちゃんクリーム口についてるで笑笑」
「まじ?!」
「ほらこっち向いて、、」
僕はりうちゃんの口元をティッシュで拭ってあげた。
「りうら少食やのにケーキ1個食べたら夜ご飯入らんくなるんやない?」
ちょっとしょうちゃんが揶揄うようにりうちゃんの方を見る。
「別に何食べてもいいの、親とかいないし。」
いつもみたいに口元を緩ませて答えてくれたけれど、それ以上は聞けない雰囲気があった。残りのケーキを口に詰める。
「…」
「そんなに気使わなくていいよ、別に1人は嫌いじゃないから。」
りうちゃんはフォークを置いて、ギターをつかんだ。ぽろん、と明るいコードが響く。
「今日はねー、新しい曲練習してたの。みんなが学校の間にね笑」
「ええやん、早くギター聴きたくてうずうずしてたわー」
しょうちゃんは乱暴に髪をなでまわす。そして、僕と視線をあわせた。
学校という檻の中では交わらないはずだった僕らの、本当の居場所は小さな六畳間にあったみたいだ。
りうちゃんの爪優しいギターが夕暮れをゆっくり満たした。
コメント
1件
第3話、読ませてもらいました! 学校でみんなの「しょうくん」として振る舞ってる姿と、放課後にいむくんだけに見せる特別な瞳のギャップがもう…たまらなかったです。あの路地での「テキトーにいなしてきた。それよりいむくんと行く方が大事」って台詞、心臓持ってかれましたよ。 りうちゃんの「親とかいないし」の一言も気になりますね。それぞれに背負ってるものがありそうで、でも六畳間が彼らの本当の居場所になってる感じが温かかったです。ギターの音色が夕暮れを満たすラストの描写、すごく好きです。 次も楽しみにしてます!