◇◇◇◇◇
それから数日後。
ゼータとサランに乗って、猛スピードで聖なる森を目指しやっと辿り着いた。
カゲロウ:「リオ。やっと聖なる樹海に到着や!」
リオ:「はい、ここからは様子を見るために一旦降りて行きましょう。」
リオたちはゼータとサランから飛び降りて、聖なる森に恐る恐る入っていった。
たしかにそういう危険な雰囲気が醸し出ている感じがする森だ。
カゲロウ:「なんやこれ。聞いてはおったけど、方向感覚が狂わされるな。」
リンドウ:「確かに、これはちょっと厳しいわね。」
リオ:「へえ、そうなんだね。」
リオだけはその感覚が分からず、平然としている。
カゲロウ:「そうなんやね!ってリオは平気なんか?」
リオ:「うん。進む方向はちゃんとわかるよ。」
リンドウ:「そうなのね。私はダメだわ。」
ゼータ:「兄ちゃん。僕も変な感じだよ。」
サラン:「私もダメですわ。」
リオ:「それじゃ、僕が案内するね。ついて来てよ。
はぐれても、僕の位置はわかるよね?」
ここまではゼータとサランに乗って来たので、超スピードで進んできたけど、ここからはゆっくり進むしかないね。
リオ:「じゃあ、聖なる樹海の中央目指して、のんびりと行こう!おー!」
カゲロウ:「リオだけが余裕やな。
頑張って誘導してや!」
リオ:「うん、わかった。」
みんなの様子を見ると、なんかやっぱり変な感じになってるみたい。
ここからは魔物に遭遇したら、僕だけが普通に戦闘できるのかも?注意して進もう!
◇◇◇◇◇
一方、それからさらに数日経ち、レキたち2人も聖なる樹海沿いに北東に進み、ドクストン王国とブリトーン王国の国境付近まで辿り着いていた。
ブリトーン王国は大陸東部に位置する大国の一つで、ドルアド帝国に次ぐ大きさの国である。
マリス:「レキ。この辺りが国境ね。
これならすんなり越境できそうね。」
レキ:「ああ、ここには関所はないからな。
このまま、ブリトーンに入るぞ。
もう少し北に行けば、小さな街があるはずだから今日中にそこまで行くぞ。」
◇◇◇◇◇
それから数時間後。
レキたちは、国境を超えて目指していた小さな街ヨルンに到着した。
レキ:「久しぶりに宿に泊まれるな。」
マリス:「ふふふ。私は別に野宿でも問題ないけどね。
レキは疲れたのかしら?」
レキ:「そうでもないが、ちょうど手持ちの食糧も尽きたところだしな。」
レキたちは、ヨルンの街に入場するために門を通過しようとした。
ウィルス:「おい。そこの2人!身分証だ!」
門の横で椅子に腰掛けて寝ていたと思っていた門番が突然声をかけて来た。
レキは一瞬、殺気を覚えたのだが、面倒になると思ったのか我慢をして冒険者証を門番に渡した。
それを察したのか、同じようにマリスも素直に冒険者証を渡した。
ウィルス:「よし。確認するから2人とも待ってろ!」
門番は冒険者証を確認すると、突然大声で誰かを呼び出した。
ウィルス:「おい!マイク!マイク!
ちょっと来てくれー!」
すると門の横にある小屋から1人の男が出て来た。
マイク:「なんだよ!ウィルス!
まだ休憩の時間じゃねえだろう?」
ウィルス:「いいから来てくれ!」
ウィルスはマイクに小声で何か話している。
レキたちにはその会話は聞こえていないが、何やら真剣な顔で相談している。
2人は話が終わったのか、元々小屋で休んでいたマイクが街の中に走って去っていった。
ウィルス:「お前たち。すまないがここで身分を確認できなかったんで、今もう一人のやつがちょっと確認しに行っている。もう少し待っててくれ。」
レキたちは、この門番の話は怪しいと即座に感じた。なぜなら、この門番は会話の声が少し震えていたからだ。
レキは無言でじっと門番の目を見た……。
それに耐えきれなかったのか、ウィルスも街の中に走り出そうとした。
それを見たレキは瞬時に反応、一突きで門番を殺害してしまった。
マリス:「あらら、レキ。今回は耐えるんじゃなかったの?もう殺しちゃったのね。」
レキ:「この状況じゃ仕方ないだろ。」
レキたちの横には門番が血だらけで横たわっていた。すでにどれだけの人を殺めただろう。
レキにとっては、人を殺すことは魔物を狩るのと同じくらいの感覚になっている。
マリス:「ちょっと!レキ!これを見て!」
レキ:「ふーん……なるほどな。
そういうことか……。」
マリスがレキに手渡したのは2枚の手配書。
ハンターズが発行したものだ。
レキ・グランベル 懸賞金1億ペロ。
マリス・オズボーン 懸賞金2億ペロ。
マリス:「ふふふ。私たち、賞金首になったみたいね。
私は2億ペロですってよ。破格ね。
レキも本名になってるわね。」
レキ:「くそ!だいぶと早かったな。あいつらか!
マリス、もう行くぞ!」
マリス:「あら、街の人間を殲滅してもいいのよ?」
レキ:「それもいいが、ここは小さくても街だ。
どれくらい時間がかかるか読めない。
ここは引くぞ。宿は諦める。食糧は途中で冒険者から奪う。」
マリス:「わかったわ。行きましょう。」
レキたちは、手配書を持ったままその場を去り、街を回避して、さらに北を目指して進んで行った。
◇◇◇◇◇
ハンターズ本部にて。
参謀:「総帥!例のレキ・グランベルとマリス・オズボーンの2人組がブリトーン王国のヨルンという街に立ち寄ったらしいです。
門番1名を殺害してその場を立ち去ったとのこと。
たぶん、最近発生している冒険者無差別殺人もこの2人組と見て間違いないでしょう。」
ユウサック:「うーん。本当に厄介なのが出て来たねえ。」
参謀:「予想としては、足取りから彼らはヘルサイズ本部を目指して進んでいるのではないかと。」
ユウサック:「たぶん、そうだろうねえ。
その辺りに誰かいたかねえ?」
参謀:「たしか、赤王が近くにいたと思いますけど、方向的に追いつくかは分かりませんねえ。
であれば、ハデルですかね。」
ユウサック:「そう。ハデルねえ……。
あいつも戦闘好きだからねえ。
ま、ハデルに行かせるか。
危険であれば深追いせずに引くように言ってくれるかねえ。」
参謀:「承知です。では、ハデルに向かってもらうことにしますね。」
ユウサック:「ああ。頼みますよ。」
そう言うと参謀は、Sランクハンターのハデルを例の2人組確保に派遣するため、総帥室を出て行った。
まったく、教皇候補出現といい、連続無差別殺人鬼出現といい、何か世界が動き出してるのかねえ……。
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