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「どう?学校生活、慣れた?」
「はい、来た頃よりは」
「そっか、よかったよかった」
今年の4月、つい2ヶ月前。
父が亡くなった影響で、祖父母の家があるここに母と一緒に引っ越してきて、自転車で通えるこの高校に転校した。穏やかな人が多いクラスに恵まれ、少ないが、友達も何人かできた。
「野仲さん、まだ部活には入ってなかったよね?」
先生が、そういえば、と思い出したように言った。
「あ、はい」
「慣れてきたみたいだし、そろそろ入ってみてもいいんじゃないかな。仲良い人も増えると思うし」
「部活?」
「うん、先生に入ったらって言われて」
放課後、同じクラスの南奈(みな)ちゃんと一緒に帰っていた。南奈ちゃんの部活がオフのときは一緒に帰っている。
「お、じゃあ明日にでも書道部見学行きなよ」
前に南奈ちゃんには書道部をやっていたことを話したことがあり、夏には書道部に入ったらいいじゃんと言われていた。
「かっこいいよな〜書道部、凪の袴姿楽しみだわ」
南奈ちゃんは笑ってそう言った。
「ここの書道部もパフォーマンスとかあるの?」
「あるある、大会でも結構惜しいとこまでいってんだけどね。この前の県大会4位?だったかな、ギリギリ地方大会行けなかったって」
確かに、校舎に『書道部県大会進出』という垂れ幕が貼られていた気がする。
明日、見学に行ってみよう。