書道部の見学に行くため、南奈ちゃんに部室の場所を教えてもらった。
校舎の外にある、小さい公民館のような建物だ。この中にあるらしい。
入り口の扉を開けたが人は誰もいなかった。すぐ目の前の階段付近に『書道部↑』と書かれた紙が貼ってあったので、そこの階段を上った。
階段を上ってすぐのところに、とてもかっこよく描かれた書道部のイラストが貼られた扉があった。私はゆっくり扉を開けた。
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床に広げた大きな紙に、力強く文字を書く袴姿の人がいた。
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目が合った。
「あ、け、見学したくて、、」
焦ったまま私がそう言うと、その人はぱっと笑った。
「ようこそ、書道部へ」
よかった、一瞬怒られるのかと思った。
「スリッパ赤やな、、あ、転校してきた子?」
「、あ、はい」
唐突な関西弁に驚き、少し間を置いてしまった。
「そうかそうか、それで部活見に来たんやな」
「あ、俺も同じ2年やから緊張せんと喋ってな」
下足棚を見ると、同じ赤色のスリッパが入っていた。私もそこにスリッパを入れて中に入れさせてもらった。
「1組の滝原聡也です。3年生も2人だけおったんやけど、4月には2人とも辞めてもて、俺が部長やってんねん」
「へえ、、すごい、、」
「2組やんな?野仲さん、、やっけ?2組の友達が言うとったわ」
「あ、うん、野仲凪っていいます」
「なぎ?どんな漢字書くん?」
そんなこと初めて聞かれた。
「なんか、、こんなやつに、、止めるって書いて、、」
「あー!あれね!へえ綺麗な名前やね」
滝原くんは私の目を見て笑った。
「ほんまは今日オフの日やねんけど、俺がたまたま練習してたんよ。タイミングよかったな」
「オフなのに、、練習してたの?」
「うん、7月の地区大会に向けてな」
相当真面目に取り組んでいるみたいだ。
「よかったらなんか書いてみる?ここに」
滝原くんはさっき自分が書いていた紙の空きスペースを指さして言った。
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