「天命」
・shaメイン
辺りから聞こえてくる助けを呼ぶ声。
それと同時に銃声が鳴り響く。
『ゾム、そっちやッ!』
「敵が多すぎて行けへんッ!」
明らかに敵の数が多く、苦戦するゾム。
戦闘狂でもこの量はキツイらしい。
あーあ、このタイミングを見計らっていたとは知らずに。
『ごめん、ゾム』
「 ッ?! 」
急な味方からの攻撃で対応が出来なかったようで、敵からの攻撃をまともに喰らってしまった。
「シャ、シャオロンッ?」
『ごめん、これ以上傷付けたくないから大人しくしててや』
そう耳元で呟き、動揺しているゾムを縄で締め付けた。
大量の敵と戦い、攻撃も喰らっており、あまり体力が残っていないようで抵抗してこなかった。
ゾムは俺をずっと見て、唖然としている。そんなゾムから信じたくないと伝わってくる。
『ごめんなッ』
そう呟いて震えている手を抑えて走った。グルッペンが居る城へ。
仕方がない、任務なんだから。今までのことを水の泡にしないように。
頬に水が垂れてきたと思ったら、雨が降ってきたようだ。
見慣れた廊下。
戦争というのもあり、いつもより薄暗かった気がした。
そして、いつも軽々と開けていた扉を開けた。
「なにをしに来たのかな?」
「シャオロン、いや、スパイさん」
冷たい目で見てくる統領。
粛清剣を持って、下を向く書記長。
こんなにも重い、苦しい空気は初めてだ。
『ハハッ、バレちゃったか』
『こちとら任務なもので、ねッ!』
「ッ……」
グルッペンに攻撃を仕掛けようとしたが、トントンによって止められてしまった。
トントンの顔が少し見えた。気のせいかもしれないが、苦しそうな顔をしていた。
『早く済ませたいんだよッ!』
『早くッ!』
突然、銃声が鳴り響いた。
バランスが崩れ、脚に激痛がはしった。
扉の方を見た。
「すまん、シャオロンッ」
鬱だった。
悲しそうな目をこちらに向けていた。
見たくなかった。大先生が苦しそうな姿を。
「シャオロン、スパイを辞めてこの国に入らないか?」
先程とは違く、真剣な眼差しをこちらに向ける。
『ごめんな、それは、出来ひん』
『俺はもう、助からんねん』
出来るだけ笑顔にして言った。
最後くらい、笑って終わりたいから。辛いってことを隠したいから。
「ほぉ、それはどう言う意味かな?」
『そのまんまやん』
『任務は失敗、俺はきっと用済みや』
『殺されるやろ』
「ならッ」
「落ち着けトントン」
見ていてわかる。
仲間を助けれない自分への怒り。そして俺が皆を裏切っていたことを知った悲しみが伝わってくる。
すると、首に痛みがはしった。
『ヒュッッ…?!』
『カヒュッゴホッゴホッヒュッ』
「シャオちゃんッ?!」
「急にどうしたんやッ?」
発動してしまった。
国から逃れられないようにとあの国は国民全員にとある機械を付ける。
裏切った瞬間、毒が全身をまわる。助かることは出来ない。
[ペ神ッ、至急統領室に来てくれッッ]
[ごめんッ、戦争員の治療で忙しいッ]
「くそッ、どうすれば」
「グルちゃんッ、シャオロンの首にッ」
「これが原因かッ」
「誰か手が空いてるものはッ」
『グルッッゴホッ』
「喋るなッ」
『やッヒュッッ』
「助けてやるからなッ!」
上手く喋れない。
俺を助けようとする姿を見ることしか出来ない。
そんな光景を見ていると眠気がきた。
「シャーーーーッ、ーいッ!」
「ーーな!!ッ」
声も聞こえなくなってきた。ただ、焦っているのはわかる。
眠い。
けど、これだけは言いたい。
最後の力を振り絞って。
『ご、ごめん、ねッ』
そう言うと涙が込み上げてきた。
そして、意識も朦朧としてきた。
あぁ、これが俺の運命なんやな。気に入らないなぁ。
皆が苦しんで、悲しんで。
俺が、居なければよかったんに。
こんな運命、変えてやりたい。意地でも変えてやりたい。
そう思うのと同時に、真っ暗になった。
コメント
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ふわぁ?…全世界のみなさーん!! ここに!神が居まぁぁぁぁぁぁぁす え、まじで俺がタヒぬくらい神作なんだが? え、まじで脳みそ交換しよ…?