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前回の続き
9:00。
リビング。
朝の光がしっかり入ってくる。
〇〇はすでに着替え終わってる。
髪も軽く整えて、
ソファのクッションを直してる。
〇〇「ここでいいかな」
ひとりで確認。
テーブルの位置も少し動かす。
北斗「……朝から何してんだよ」
寝室から出てきて、ぼそっと言う。
〇〇「準備」
〇〇「人来るんだから」
北斗「……まだ3時間あるだろ」
〇〇「そうだけど」
手は止まらない。
〇〇「気になるの」
北斗「……」
その様子を少し見て、
冷蔵庫の方へ向かう。
北斗「なんか飲むか」
〇〇「んー」
少し考える。
〇〇「水でいい」
北斗「了解」
コップに水を入れる。
その間も、
〇〇はソファ周りを整えてる。
北斗「ほら」
〇〇「ありがと」
受け取って一口飲む。
〇〇「……はぁ」
少し落ち着く。
でもすぐにまた動く。
〇〇「ねえ北斗」
北斗「……なに」
〇〇「掃除機どこ」
北斗「……やりすぎだろ」
〇〇「やりたいの」
北斗「……あそこ」
指で示す。
〇〇「ありがと」
すぐ取りに行く。
北斗「……」
その後ろ姿を見る。
北斗(……ほんと気合い入ってんな)
苦笑いに近い顔。
掃除機の音が響く。
朝の静かな部屋が一気に日常っぽくなる。
北斗はソファに座る。
さっき〇〇が整えた場所。
北斗「……」
少しだけ周りを見る。
確かに綺麗になってる。
北斗(……まぁいいか)
小さく思う。
掃除機かけながら、
〇〇はちらっと北斗を見る。
〇〇「ちゃんとしとかないとね」
北斗「……誰のために」
〇〇「みんなのため」
少しだけ笑う。
でも——
その奥に、
ちゃんと楽しみにしてる気持ちが見える。
北斗「……」
何も言わない。
ただ見てる。
さっきまでベッドで話してた空気と、
今のこの朝の空気。
全然違うのに、
どっちも本当。
北斗「……はぁ」
小さく息を吐く。
昼まであと少し。
確実に空気が変わる時間が近づいてる。
スマホが震える。
北斗が画面を見る。
北斗「……12時だって」
〇〇「え」
掃除機止める。
〇〇「ほんと?」
北斗「全員そのくらいに来るらしい」
〇〇「……あと3時間もあるじゃん」
一瞬テンション上がったのに、
すぐ現実。
〇〇「長っ」
思わず言う。
北斗「さっきまで“早く起きる”とか言ってたやつがな」
〇〇「だってさ」
〇〇「待つ時間って長く感じるじゃん」
北斗「……知らねぇよ」
〇〇「ひど」
少し笑う。
掃除機を片付けて、
そのままリビングに戻る。
新しいL字ソファ。
〇〇「……」
そのまま、ぽすっと座る。
背中預ける。
〇〇「はぁ〜」
深く息を吐く。
〇〇「やっぱこれいい」
北斗「……昨日からそれしか言ってねぇな」
〇〇「ほんとにいいもん」
そのまま横に少し体を倒す。
足も伸ばす。
完全にくつろぎモード。
〇〇「……」
天井見る。
さっきまでのバタバタが嘘みたいに静か。
でも頭の中はまだ落ち着いてない。
〇〇(あと3時間か……)
長い。
でも楽しみ。
〇〇「……ねえ」
北斗「……なに」
〇〇「なんかしよ」
北斗「……急だな」
〇〇「暇」
北斗「さっきまで忙しそうだっただろ」
〇〇「それとこれ違うの」
北斗「……」
ため息ひとつ。
北斗「何すんだよ」
〇〇「んー」
少し考える。
〇〇「映画とか?」
北斗「……集中できんのかよ」
〇〇「できるよ」
即答。
でも自分でもちょっと怪しいの分かってる。
〇〇「たぶん」
北斗「……無理だろ」
〇〇「やってみないと分かんないじゃん」
軽く言う。
北斗は少しだけ笑う。
北斗「……じゃあ適当に流すか」
〇〇「うん」
〇〇はそのままリモコンを取る。
ソファに沈みながら操作する。
テレビがつく。
音が部屋に広がる。
でも——
〇〇はあんまり画面見てない。
ぼーっとしながら、
時々スマホ見たり、
また天井見たり。
〇〇(あとどれくらいだろ)
時計を見る。
まだ全然。
〇〇「……」
小さく息を吐く。
でも口元は少し緩んでる。
北斗はその横で、
ちゃんと映画見てるわけでもなく、
ただ一緒に座ってる。
同じソファ。
少し距離はあるけど、
同じ空間。
静かな時間。
でもその裏で、
昼に向けて気持ちが少しずつ上がっていく。
テレビの音がゆるく流れる中、
〇〇はソファに深く沈んだまま。
最初はちゃんと起きてたはずなのに、
〇〇「……」
まばたきが増えて、
だんだん視線が定まらなくなる。
さっきまでのワクワクも、
眠気に少しずつ飲まれていく。
〇〇(……まだ……起きてる……)
思ってるだけで、
体は正直。
力が抜けていく。
背もたれに寄りかかってたのが、
少しずつ横に傾く。
北斗「……」
横目で気づく。
何も言わない。
そのまま見てる。
〇〇の頭が、
ゆっくりソファに沈んでいく。
クッションに埋もれる。
〇〇「……ん」
小さく動くけど、
目は開かない。
そのまま、
完全に寝落ち。
北斗「……早すぎだろ」
小さく呟く。
さっきまであんなに元気だったのに。
北斗「……」
リモコンを取って、
テレビの音量を少し下げる。
完全には消さない。
静かすぎるのも変だから。
そのあと、
少しだけ〇〇の方を見る。
寝顔。
さっきまでのバタバタも、
悩んでた顔も、
全部消えてる。
北斗(……ほんと)
小さく思う。
北斗(切り替え極端すぎだろ)
でも——
その無防備さに、
少しだけ表情が緩む。
〇〇はソファの端で、
体を少し丸めて寝てる。
足もちゃんと伸びきってない。
北斗「……」
一瞬迷う。
そのままにするか、
どうするか。
でも、
北斗「……はぁ」
小さく息を吐いて、
立ち上がる。
部屋からブランケットを持ってくる。
戻ってきて、
〇〇の上にそっとかける。
起こさないように。
〇〇「……」
少しだけ動くけど、
起きない。
そのまままた静かに寝る。
北斗はその様子を少し見て、
またソファに座る。
少しだけ距離を空けて。
北斗「……」
時間を見る。
まだ昼まである。
でも、
この静かな時間も悪くない。
隣で寝てる〇〇の気配を感じながら、
何も言わずに過ごす。
北斗は一度〇〇の方を見る。
ブランケットにくるまって、ぐっすり。
北斗「……」
静かに立ち上がる。
リビングを少し離れて、
廊下の方へ。
スマホを耳に当てる。
数コール。
樹「もしもし?」
北斗「……おう」
樹「なに急に。どした?」
北斗「……ちょっと聞け」
樹「は?」
少し笑ってる声。
北斗「昨日さ」
樹「うん」
北斗「嶺亜来た」
樹「……は?」
一瞬でトーン変わる。
樹「どゆこと」
北斗「そのまんま」
北斗「家の下で会ってた」
樹「……は?」
樹「お前ん家で同居してるんだろ?」
北斗「してるよ」
北斗「だからだろ」
樹「いや意味わかんねぇ」
北斗「俺も分かんねぇよ」
少しだけ苛立ち混じる。
樹「で?」
樹「どうなった」
北斗「……ハグされてた」
樹「……は??」
声が一気にでかくなる。
北斗「うるせぇよ」
樹「いやいやいや待て」
樹「お前それ見たの?」
北斗「……見た」
短く。
樹「……で?」
北斗「……連れて帰った」
樹「……お前さ」
少し笑いそうになるのを抑えてる声。
樹「ちゃんと北斗してんじゃん」
北斗「は?」
樹「いや、珍しく行動してるなって」
北斗「……別に」
北斗「放っとけなかっただけ」
樹「はいはい」
軽く流す。
樹「で、〇〇は?」
北斗「……分かんねぇ」
少し間。
北斗「廉のこともまだ続いてる」
樹「……あー」
納得した声。
樹「それ一番厄介なやつじゃん」
北斗「だろ」
北斗「この前会って、まだ好きってなって」
北斗「次ちゃんと話す約束もしてるって」
樹「……フルコンボだな」
北斗「……最悪だろ」
樹「で、嶺亜も参戦、と」
北斗「……」
無言が答え。
樹「お前大変だな」
ちょっと面白がってる。
北斗「笑えねぇよ」
樹「いやでもさ」
少し真面目なトーン。
樹「〇〇、揺れてんだろ?」
北斗「……」
思い出す。
昨日の顔。
今朝の言葉。
北斗「……ああ」
樹「じゃあまだ終わってねぇじゃん」
北斗「……まぁな」
樹「てかさ」
樹「お前はどうすんの」
北斗「……」
一瞬黙る。
北斗「……まだ何も言ってねぇ」
樹「だろうな」
即答。
北斗「……」
北斗「でも」
少しだけトーンが変わる。
北斗「このままは無理だわ」
樹「……おー」
樹「やっと言ったな」
北斗「うるせぇ」
樹「いやいいじゃん」
樹「やれよちゃんと」
北斗「……タイミングだろ」
樹「そんなもん待ってたら取られるぞ」
北斗「……」
言葉が刺さる。
北斗「……分かってる」
小さく。
樹「ま、今日行くから」
樹「様子見てやるよ」
北斗「余計なことすんなよ」
樹「するに決まってんだろ」
笑う。
北斗「……はぁ」
ため息。
樹「じゃああとでな」
北斗「おう」
通話が切れる。
北斗「……」
スマホを下ろす。
少しだけ目を閉じる。
北斗(……取られる、か)
頭に残る言葉。
ゆっくり息を吐く。
そして、
リビングに戻る。
〇〇はまだ寝てる。
さっきと同じ体勢で。
北斗「……」
その姿を見て、
さっきより少しだけ、
表情が引き締まる。
リビングに戻る。
〇〇はそのまま寝てる。
ブランケットにくるまって、
さっきとほとんど同じ体勢。
北斗「……」
一瞬だけ足を止めて見る。
起きる気配はない。
完全に熟睡。
北斗「……よく寝るな」
小さく呟く。
そのままソファに戻る。
少し距離を空けて座る。
さっき〇〇が座ってた場所の端。
スマホを手に取る。
画面を開く。
でも——
指は動くのに、
中身はほとんど頭に入ってこない。
北斗「……」
さっきの電話がまだ残ってる。
“取られるぞ”
樹の声。
北斗(……うるせぇよ)
心の中で返す。
でも否定できない。
横を見る。
〇〇。
何も知らない顔で寝てる。
さっきまで、
あんな話してたのに。
北斗「……」
少しだけ視線を逸らす。
北斗(……ほんと勝手だな)
思うけど、
嫌じゃない。
むしろ——
だから困る。
スマホをスクロールする。
SNS、ニュース、
適当に流す。
でも集中できない。
北斗「……はぁ」
小さく息を吐く。
その音で、
〇〇が少しだけ動く。
〇〇「……ん」
寝返り。
ブランケットが少しずれる。
北斗「……」
反射的にそっちを見る。
〇〇はまた静かになる。
起きない。
北斗は少しだけ手を伸ばして、
ずれたブランケットを直す。
そっと。
起こさないように。
〇〇「……」
安心したみたいに、
また呼吸が整う。
北斗「……」
そのまま少しだけ見て、
手を戻す。
スマホに視線を落とす。
北斗(……今日来るんだよな)
昼。
一気に空気が変わる。
嶺亜はいない。
でも——
きょも。
そして他のメンバー。
〇〇のあのテンションも含めて、
確実にいつも通りじゃ終わらない。
北斗「……」
スマホを閉じる。
ソファに少し深く座り直す。
隣で寝てる〇〇の気配を感じながら、
静かな時間を過ごす。
嵐の前みたいに、
少しだけ穏やかなまま。
12:00。
インターホンが鳴る。
ピンポーン。
北斗「……来たな」
立ち上がって玄関へ向かう。
リビングでは〇〇がソファでぐっすり。
ドアを開けた瞬間——
樹「おー!!」
ジェシー「北斗ーー!!」
慎太郎「きたぞーー!!」
高地「お邪魔しまーす!」
きょも「やっほーー!!」
全員ハイテンションで突入。
北斗「……うるせぇよ」
樹「いいじゃんオフだぞ?」
ジェシー「テンション上がるわ〜!」
靴もそこそこに上がってくる。
北斗「静かにしろ」
慎太郎「なんで?」
北斗「寝てる」
樹「誰が?」
北斗「〇〇」
一瞬だけ間。
ジェシー「え、いるの!?」
高地「ほんとに一緒に住んでるんだ」
きょも「え、マジで?」
テンションそのままに、
みんなでリビングを覗く。
ソファ。
ブランケットにくるまってる〇〇。
ジェシー「ガチで寝てるじゃん!」
慎太郎「爆睡じゃん!」
樹「この状況で寝れるの強すぎ」
きょも「すごいね普通に」
笑いながら言う。
北斗「起こすなよ」
ジェシー「えー起こしたい」
北斗「やめろ」
即答。
そのやり取りの中で、
声は普通に大きい。
〇〇「……ん」
少し動く。
〇〇「……」
目がゆっくり開く。
ぼんやりした視界に、
人影が複数。
〇〇「……え」
止まる。
もう一度瞬き。
〇〇「……え?」
理解が追いつかない。
ジェシー「おはよーー!!」
慎太郎「起きたーー!」
樹「遅ぇよ」
高地「ごめんね、起こしちゃった?」
きょも「おはよー!」
元気なトーンで手を軽く上げる。
〇〇「……」
完全にフリーズ。
目が一気に覚める。
〇〇「……きょも?」
きょも「そうそう!」
笑いながら近づく。
きょも「久しぶりじゃん!」
〇〇「……」
一瞬止まって、
次の瞬間——
〇〇「やば」
小さく言う。
そのまま勢いよく起き上がる。
ブランケットがずれる。
〇〇「ちょ、え、待って」
完全にパニック気味。
ジェシー「反応かわいいな!」
慎太郎「テンション上がってるじゃん」
樹「分かりやすすぎ」
高地「いいねこの感じ」
きょも「そんなびっくりする?」
楽しそうに笑う。
〇〇「だって急にいるじゃん!」
〇〇「え、ほんとに来たんだ」
きょも「来るって言ったじゃん」
軽いテンション。
〇〇はまだ少し混乱してるけど、
明らかに嬉しそう。
北斗「……」
その一連の流れを横で見てる。
さっきまで寝てた顔と、
今のこのテンション。
北斗(……ほんと分かりやすいな)
小さく思いながら、
何も言わずにその場に立ってる。
〇〇「……」
一瞬の沈黙のあと、
ふと自分の状態に気づく。
〇〇(……待って)
手がゆっくり頭にいく。
前髪——ない。
ちょんまげ。
完全にオフの姿。
〇〇「……」
固まる。
そして一気に顔が赤くなる。
〇〇「ちょ、無理」
そのまま顔を両手で隠す。
ジェシー「え、なにどうしたの?」
慎太郎「急に?」
樹「今さら?」
〇〇「見ないで!」
思わず声が出る。
高地「えぇ!?」
きょも「え、なんで?」
普通に覗き込もうとする。
〇〇「やだやだやだ!」
ソファに戻って、
クッションで顔隠す。
〇〇「無理ほんと無理」
ジェシー「なんでだよ!」
〇〇「すっぴん!」
〇〇「しかもこれ!」
頭を軽く指す。
〇〇「最悪なんだけど!」
慎太郎「いや別にいいじゃん」
樹「誰も気にしてねぇよ」
〇〇「気にするの!」
必死。
高地「かわいいけどね普通に」
〇〇「やめて!!」
余計恥ずかしい。
きょも「え、ほんとに?」
少しだけ笑いながら言う。
きょも「全然変じゃないよ」
〇〇「いや変だよ!」
〇〇「推しに見せる顔じゃない!」
勢いで言う。
一瞬、空気が止まる。
樹「……は?」
ジェシー「今言った?」
慎太郎「推しって言った?」
高地「え、きょも?」
きょも「え、俺?」
〇〇「……」
やばい、って顔。
〇〇「……違う」
小さく言う。
樹「いや今完全に言っただろ」
ジェシー「“推し”って」
慎太郎「ガチじゃん」
〇〇「ちが、違くて」
完全に焦る。
顔まだ隠したまま。
きょも「いや嬉しいけどね?」
普通に笑ってる。
〇〇「やめてほんと!」
さらに隠れる。
ジェシー「おもろすぎるだろこれ」
樹「朝からいいもん見たわ」
高地「平和だね」
慎太郎「北斗どうすんのこれ」
北斗「……知らねぇよ」
低く返す。
でも少しだけ視線は〇〇に向いてる。
〇〇はまだクッションに埋もれてる。
〇〇「ちょっと待ってほんと」
〇〇「5分」
〇〇「5分で戻るから」
樹「長ぇよ」
〇〇「無理なの!」
勢いよく立ち上がる。
そのまま部屋の方へダッシュ。
バタバタと消えていく。
一瞬静かになるリビング。
ジェシー「かわいすぎだろ」
慎太郎「ガチ照れじゃん」
樹「“推し”は強いな」
高地「きょも人気だね〜」
きょも「いやびっくりしたわ普通に」
笑いながら言う。
北斗「……」
何も言わない。
ただ一人、
少しだけ複雑な顔で、
〇〇が消えた方向を見てる。
リビング。
〇〇がいなくなった後も、
空気はまだざわざわしてる。
ジェシー「いや〜朝から神回じゃん」
慎太郎「“推しに見せる顔じゃない”は強い」
樹「しかも本人の前でな」
高地「素直すぎるよね」
きょも「いやほんとびっくりしたって」
笑いながらソファに座る。
きょも「そんな意識されてると思ってなかった」
樹「いやされてるだろ普通に」
ジェシー「だってさっきの反応だぞ?」
慎太郎「完全にガチファンじゃん」
きょも「いやでもさ」
少し考えて、
きょも「普通に嬉しいけどね」
あっさり言う。
高地「いいね〜余裕」
樹「さすがだな」
北斗「……」
その会話を横で聞いてる。
何も言わない。
でも、
北斗(……嬉しい、ね)
その言葉が引っかかる。
ジェシー「てか北斗さ」
北斗「……なに」
ジェシー「一緒に住んでてあの距離感なんだ」
北斗「は?」
慎太郎「いや普通に距離近くね?」
樹「さっきもソファで寝てたしな」
高地「信頼されてるよね」
北斗「……別に」
そっけなく返す。
でもそれ以上何も言わない。
きょもは軽く周りを見て、
さっき〇〇が寝てた場所を見る。
きょも「ここで寝てたんだ」
樹「爆睡してたぞ」
ジェシー「俺ら来ても起きなかったし」
きょも「すごいなそれ」
少し笑う。
きょも「安心してるんだろうね」
その一言。
北斗の手が一瞬止まる。
北斗「……」
何も返さない。
でも、
胸の奥が少しだけ動く。
その時——
ドアが少し開く音。
〇〇「……」
顔だけ出す。
前髪おろしてる。
さっきよりちゃんとしてる。
〇〇「……入っていい?」
慎太郎「いいに決まってるだろ!」
ジェシー「待ってました!」
樹「準備早ぇな」
〇〇「急いだの!」
少しだけ恥ずかしそうに入ってくる。
さっきより落ち着いてるけど、
まだちょっと照れてる。
きょも「おかえり」
普通に笑う。
〇〇「……ただいま」
ちょっとだけ視線そらしながら言う。
でも——
ちらっと見る。
きょもの方。
〇〇「……」
また少し顔が赤くなる。
樹「お前分かりやすすぎな」
〇〇「うるさい」
即答。
ジェシー「いやほんとおもろい」
高地「いいねこの空気」
慎太郎「平和だな〜」
〇〇は少しだけソファの端に座る。
さっきまで寝てた場所とは少し距離を取る。
北斗の近く。
でも意識は別の方向にもいってる。
北斗「……」
その位置を一瞬見る。
でも何も言わない。
ただ、
全員揃った空間の中で、
少しだけ空気が動き始める。
〇〇「ねえ」
少し強めに声を出す。
みんなの視線が集まる。
〇〇「話変える」
樹「強引だな」
ジェシー「いいよいいよ」
〇〇「昨日さ」
〇〇「新しいソファとベッド届いたの」
慎太郎「え、これ新品?」
〇〇「そう!」
さっき座ってたL字ソファを軽く叩く。
〇〇「めっちゃ良くない?」
高地「広いね〜」
ジェシー「いいじゃんこれ!」
樹「確かにデカいな」
きょも「座り心地いい?」
〇〇「いいよ!」
ちょっと嬉しそう。
〇〇「あとベッドも」
〇〇「クイーン」
慎太郎「え、でか」
ジェシー「贅沢〜!」
樹「2人分じゃん完全に」
〇〇「そう」
さらっと言う。
樹「……ん?」
ジェシー「……え?」
慎太郎「……ちょっと待って」
空気が一瞬止まる。
樹「2人分って今言った?」
〇〇「言った」
普通に返す。
ジェシー「え、誰と誰?」
〇〇「私と北斗」
静かに爆弾。
慎太郎「……は?」
高地「えぇ!?」
樹「お前ら……」
ジェシー「一緒に寝てんの!?」
〇〇「うん」
何の迷いもない。
〇〇「前から」
さらに追い打ち。
樹「……は??」
慎太郎「ちょっと待って情報多い」
ジェシー「同居してるのは聞いてたけど!」
高地「一緒のベッド!?」
〇〇「うん」
〇〇「普通に」
きょも「……」
一瞬だけ黙る。
でもすぐ戻る。
きょも「仲いいね」
軽く笑う。
樹「いや“仲いい”で済ませていいやつかこれ」
ジェシー「いやガチで」
慎太郎「距離感バグってるって」
〇〇「え?」
本気で分かってない顔。
〇〇「だってさ」
〇〇「怖いし」
〇〇「一人で寝るの無理じゃん」
さらっと言う。
空気が少し変わる。
ストーカーの件。
全員知ってる。
高地「……そっか」
優しく頷く。
慎太郎「それなら分かる」
ジェシー「まぁ安全第一だよな」
樹「……でもそれにしてもだろ」
まだ納得してない。
樹「北斗、お前どうなってんの」
北斗「……別に」
そっけなく返す。
樹「別にじゃねぇだろ」
ジェシー「羨ましいんだけど普通に」
北斗「うるせぇ」
低く返す。
〇〇「何が?」
本気で分かってない。
樹「お前ほんと無自覚だな」
〇〇「え?」
きょも「まぁでも」
きょも「安心できる人がいるのはいいことだよ」
自然に言う。
〇〇「……うん」
少しだけ柔らかい顔。
〇〇「北斗ん家だと安心する」
その一言。
北斗の視線が一瞬だけ動く。
でも何も言わない。
樹「……はぁ」
頭抱える。
樹「これは大変だわ」
ジェシー「完全にカオス」
慎太郎「昼から濃すぎ」
高地「でもなんかいいね」
きょも「うん、楽しそう」
笑いながら言う。
その空気の中で、
〇〇は普通にソファに座ってる。
何も特別なこと言ったつもりもなく。
北斗だけが、
少しだけ複雑な顔のまま。
樹「……で?」
腕組んだまま北斗を見る。
樹「マジで“別に”で済ませんの?」
北斗「……済むだろ」
樹「済まねぇよ」
即答。
ジェシー「いやほんとそれ」
慎太郎「普通に気になるって」
高地「まぁまぁ」
きょも「ふたりとも落ち着いて」
軽く笑いながら空気をなだめる。
〇〇「え、なに?」
状況分かってない顔。
樹「お前が一番分かってねぇよ」
〇〇「なんで?」
樹「なんでって……」
言いかけて止まる。
〇〇が本気で分かってない顔してるから。
樹「……いやもういい」
諦め気味。
ジェシー「いやよくないだろ!」
慎太郎「説明してやれよ!」
〇〇「なにを!?」
きょも「まぁまぁ」
少し笑いながら、
きょも「とりあえず座ろうよ」
空気を戻す。
みんなソファや床に適当に座る。
〇〇もそのまま座り直す。
北斗の近く。
でもさっきより少しだけ中央寄り。
〇〇「でさ」
また普通に話し始める。
〇〇「このソファほんといいの」
話題を戻す。
ジェシー「確かに」
慎太郎「広いし」
高地「寝れるねここでも」
〇〇「昨日寝た」
さらっと言う。
北斗「……」
少しだけ視線が動く。
樹「お前ほんと自由だな」
〇〇「え?」
きょも「でも似合ってるよ」
〇〇「え、なにが?」
きょも「この空間」
きょも「〇〇っぽい」
〇〇「……ほんと?」
ちょっと嬉しそう。
きょも「うん」
自然に笑う。
〇〇「……ありがと」
少し照れる。
そのやり取りを、
北斗は横で見てる。
北斗「……」
何も言わない。
でも——
さっきより少しだけ、
空気がざわつく。
樹「てかさ」
急に声出す。
樹「今日どうすんの」
ジェシー「確かに」
慎太郎「このままダラダラ?」
高地「それもいいけど」
きょも「どっか行く?」
〇〇「外はまだちょっと」
すぐ答える。
ストーカーのこと。
空気が少しだけ落ち着く。
樹「じゃあここだな」
ジェシー「パーティーだな」
慎太郎「ゲームとか?」
高地「楽しそう」
きょも「いいね」
〇〇「やる」
即答。
ちょっとテンション上がる。
〇〇「負けないから」
ジェシー「何にだよ」
樹「負ける気満々だろ」
慎太郎「絶対弱いタイプ」
〇〇「強いし」
きょも「じゃあ勝負だね」
軽く乗る。
〇〇「いいよ」
少し笑う。
その空気の中で、
さっきまでの重さは薄れていく。
でも——
北斗の中だけ、
完全には消えてない。
北斗(……このままか)
ぼんやり思いながら、
みんなの会話を聞いてる。
L字ソファに全員集まる。
自然と並びができる。
端から——
ジェシー、慎太郎、樹、〇〇、きょも、北斗、高地。
スマホをそれぞれ持って、
ウーバーを開く。
ジェシー「なに頼む〜?」
慎太郎「腹減った!」
樹「ガッツリいきたい」
高地「みんなでシェアもいいね」
〇〇「えー迷う」
きょも「いっぱいあるね」
北斗「……」
静かに画面見てる。
〇〇はスマホ見ながら、
少し前のめり。
〇〇「これおいしそう」
樹の方に画面見せる。
樹「どれ」
慎太郎「見せて」
自然とみんな覗く。
その流れで——
〇〇、少し体が寄る。
右側。
きょもとの距離が近くなる。
きょも「どれどれ」
普通に覗き込む。
肩、軽く触れるくらいの距離。
〇〇「これ」
〇〇「韓国系のやつ」
きょも「いいね」
ジェシー「俺それ好き!」
慎太郎「俺もあり!」
樹「決まりか?」
高地「他も見る?」
北斗「……」
その様子を横で見る。
何も言わない。
でも視線だけは一瞬向く。
〇〇は気づいてない。
完全にメニューに夢中。
〇〇「あとこれも気になる」
また画面見せる。
今度はきょも側に少し寄る。
きょも「ほんとだ」
きょも「これも良さそう」
笑いながら話す。
〇〇もつられて笑う。
〇〇「ね」
距離近いまま。
自然すぎる。
樹「お前ら近いな」
ぽろっと言う。
〇〇「え?」
初めて気づく。
きょも「え、そう?」
普通。
〇〇「……」
一瞬だけ意識する。
でもすぐ戻る。
〇〇「別にいいじゃん」
軽く流す。
北斗「……」
その一言に、
少しだけ目が動く。
ジェシー「まぁいいけどさ」
慎太郎「微笑ましいな」
樹「いや面白いだけだろ」
高地「仲いいね〜」
きょも「普通でしょ」
笑いながら言う。
〇〇「うん普通」
あっさり。
北斗「……」
スマホを少し強く持つ。
でも何も言わない。
ジェシー「で、どうすんの」
樹「まとめるぞ」
慎太郎「肉系は欲しい」
高地「バランスよくいこう」
〇〇「デザートも」
ジェシー「早いって」
きょも「いいじゃん」
〇〇「でしょ」
また笑う。
そのやり取りの中で、
距離も空気も、
全部“普通”に進んでいく。
北斗だけが、
その普通に少しだけ引っかかりながら。
あれこれ迷った結果——
樹「もうこれでよくね?」
スマホをみんなに見せる。
大きい寿司セット。
慎太郎「うわ、いいじゃん!」
ジェシー「それ絶対うまい!」
高地「シェアしやすいね」
きょも「種類多いし飽きなさそう」
〇〇「え、これいい!」
食いつく。
〇〇「絶対楽しい」
樹「“楽しい”ってなんだよ」
〇〇「だっていっぱいあるじゃん」
〇〇「選ぶの楽しいじゃん」
ジェシー「子どもか」
慎太郎「でも分かる」
北斗「……」
画面を見る。
確かに量も種類も多い。
樹「じゃあ決定な」
ジェシー「賛成〜」
高地「いいね」
きょも「俺もそれでいい」
〇〇「はい決まり!」
すぐ乗る。
樹「じゃあ頼むぞ」
スマホ操作し始める。
慎太郎「届くまでどんくらい?」
樹「30分くらい」
ジェシー「ちょうどいいな」
〇〇「お腹すいた」
きょも「さっきまで寝てたのに?」
〇〇「それとこれ違うの」
さっきと同じこと言う。
きょも「出たそれ」
笑う。
〇〇も笑う。
北斗「……」
そのやり取りを横で聞く。
さっきより距離は少し戻ってるけど、
空気はそのまま。
樹「はい、注文完了」
スマホを置く。
ジェシー「よし」
慎太郎「楽しみだな」
高地「飲み物どうする?」
〇〇「取ってくる」
すぐ立ち上がる。
キッチンへ向かう。
ジェシー「ほんと動くな」
樹「落ち着きないな」
きょも「でも助かるよね」
北斗「……まぁな」
小さく返す。
キッチンから声。
〇〇「何飲むー?」
ジェシー「ジュース!」
慎太郎「俺も!」
樹「適当でいい」
高地「お茶で大丈夫だよ」
きょも「俺もお茶かな」
北斗「……水」
〇〇「了解ー」
バタバタ準備する音。
その間、
リビングは少し落ち着く。
樹がちらっと北斗を見る。
樹「……なあ」
小声。
北斗「……なに」
樹「見てるだけでいいのかよ」
北斗「……」
一瞬だけ間。
北斗「……今はな」
低く返す。
樹「……ふーん」
それ以上は言わない。
その時、
〇〇が戻ってくる。
〇〇「はい」
それぞれに渡す。
きょも「ありがと」
〇〇「どういたしまして」
自然に笑う。
その空気のまま、
あとは寿司を待つ時間。
少しずつ、
賑やかな午後が本格的に始まっていく。
13:00。
まだ寿司は来ない。
リビングは少し落ち着いた空気。
テレビもついてるけど、
誰もちゃんと見てない。
〇〇「……ねえ」
ぽつっと声を出す。
ジェシー「ん?」
〇〇「暇じゃない?」
慎太郎「まあな」
樹「あとちょいだろ」
〇〇「ねえ」
少し身を乗り出す。
〇〇「恋バナしよ」
一瞬、空気止まる。
ジェシー「出た」
慎太郎「好きだなほんと」
樹「急すぎ」
高地「いいね、平和で」
きょも「いいよ」
軽く乗る。
〇〇「やった」
少しテンション上がる。
〇〇「誰からいく?」
ジェシー「お前だろ」
即答。
〇〇「え、なんで」
樹「振ったのお前」
慎太郎「責任持て」
〇〇「えー」
少し考える。
〇〇「じゃあ質問でもいい?」
高地「いいよ」
〇〇「今好きな人いる人ー」
手を軽く上げる。
ジェシー「軽っ」
慎太郎「小学生かよ」
でも、
空気がちょっとだけリアルになる。
樹はニヤッとするだけ。
ジェシーは笑ってる。
慎太郎も同じ。
高地は困ったように笑う。
きょもは普通に考えてる顔。
北斗は——
無言。
〇〇「え、なにその反応」
〇〇「いるの?いないの?」
ジェシー「言うわけないだろ」
樹「そんな簡単に」
慎太郎「逆にお前は?」
〇〇「……」
一瞬だけ止まる。
さっきの話がよぎる。
廉。
嶺亜。
〇〇「……どうだろ」
少し曖昧に笑う。
樹「は?」
ジェシー「なにそれ」
慎太郎「一番気になるやつじゃん」
高地「深いね」
きょも「迷ってる感じ?」
〇〇「……まぁ」
正直に言う。
少しだけ空気が変わる。
北斗の視線が一瞬だけ動く。
樹「誰と誰」
〇〇「それは言わない」
即拒否。
ジェシー「絶対いるじゃん」
慎太郎「複数じゃんそれ」
〇〇「違うって」
でも否定しきれない。
きょも「そっか」
軽く受け止める。
きょも「でもそういう時期あるよね」
〇〇「……うん」
少しだけ救われた顔。
北斗「……」
黙ったまま。
〇〇「じゃあさ」
空気を戻すように、
〇〇「理想のタイプ!」
ジェシー「話変えたな」
樹「逃げたな」
〇〇「いいじゃん!」
慎太郎「じゃあ北斗から」
北斗「は?」
突然振られる。
〇〇「いいねそれ」
〇〇「北斗言って」
興味ありげ。
北斗「……めんどくせぇ」
ジェシー「ほら出た」
樹「逃げんなよ」
高地「聞きたいな〜」
きょも「気になるね」
〇〇もじっと見る。
北斗「……」
少しだけ間。
北斗「……うるさくないやつ」
ジェシー「ざっくりすぎ」
慎太郎「絶対嘘だろ」
樹「真逆好きそう」
〇〇「え、私うるさい?」
即反応。
北斗「……」
一瞬止まる。
北斗「……うるせぇな」
〇〇「えー!」
ジェシー「即答」
慎太郎「おもろ」
〇〇「ひどくない?」
北斗「事実だろ」
〇〇「でもさ」
〇〇「一緒にいるじゃん」
さらっと言う。
一瞬、
空気が止まる。
樹「……おい」
ジェシー「それはやばい」
慎太郎「無自覚きた」
高地「ドキドキするやつ」
きょも「……」
少しだけ黙る。
北斗「……」
何も言わない。
でも、
視線だけ少し逸れる。
〇〇「なに」
本気で分かってない。
ジェシー「いやもういいわ」
樹「カオスすぎる」
慎太郎「寿司まだ?」
ちょうどそのタイミングで——
ピンポーン。
全員「おお」
救われた空気。
〇〇「きた!」
すぐ立ち上がる。
北斗「……行く」
先に玄関へ向かう。
さっきの空気を切るみたいに。
恋バナは中途半端なまま、
一旦終了。
北斗が玄関を開ける。
配達員から大きな寿司セットを受け取る。
北斗「どうも」
ドアを閉めて、
そのままリビングへ。
ジェシー「きたーー!!」
慎太郎「待ってました!」
樹「でけぇな」
高地「豪華だね〜」
きょも「いい匂い」
〇〇「早く開けて!」
テンション一気に上がる。
テーブルにドンっと置かれる寿司。
フタを開けると——
色とりどり。
〇〇「やば!」
目がキラキラする。
〇〇「テンション上がる!」
ジェシー「子どもすぎるだろ」
慎太郎「でも分かる」
樹「どっからいく?」
高地「いただきますしよ」
きょも「そうだね」
全員「いただきます」
一斉に箸が伸びる。
〇〇「これ!」
最初に取る。
きょも「それうまいやつだよ」
〇〇「ほんと?」
きょも「うん」
〇〇「じゃあ正解」
少し嬉しそう。
食べる。
〇〇「……おいしい!」
すぐ反応。
ジェシー「リアクションいいな」
慎太郎「素直すぎ」
樹「分かりやすい」
高地「いいね〜」
きょもも食べながら笑う。
きょも「ほんとだ美味しい」
〇〇「でしょ!」
なぜか誇らしげ。
北斗「……」
静かに食べてる。
でも、
時々ちらっと〇〇の方を見る。
〇〇は完全に楽しんでる。
〇〇「これも食べていい?」
きょも「いいよ」
自然なやり取り。
距離も自然。
ジェシー「お前ら普通だなほんと」
樹「逆に怖いわ」
慎太郎「慣れてる感すごい」
〇〇「なにが」
本気で分かってない。
高地「気にしないでいいよ」
フォロー。
食事が進む。
会話も自然と増える。
ジェシー「最近どうよ仕事」
慎太郎「忙しい?」
〇〇「まぁまぁ」
〇〇「でもちょっとセーブしてる」
樹「だろうな」
高地「無理しないでね」
〇〇「うん」
きょも「休めるとき休んだ方がいいよ」
〇〇「……うん」
少しだけ優しく返す。
その空気。
北斗は何も言わない。
でも——
少しだけ視線が落ちる。
食事は賑やかに続く。
でも、
それぞれの中にあるものは、
まだそのまま残ってるまま。
テーブルいっぱいに並んだ寿司。
フタを開けた瞬間の華やかさがそのまま残ってる。
マグロ、サーモン、イクラ、エビ、タイ、ネギトロ、玉子——
種類がとにかく多い。
〇〇「すご……」
改めて見て、少し笑う。
〇〇「これ全部食べていいの?」
樹「誰のだと思ってんだよ」
ジェシー「みんなのだろ」
慎太郎「早い者勝ちだな」
高地「バランスよくね」
きょも「争いになりそう」
〇〇「じゃあこれ!」
すぐ手を伸ばす。
イクラ。
慎太郎「あ、それ俺も狙ってた!」
〇〇「早い者勝ちでしょ」
即返し。
パクッと食べる。
〇〇「……ん!」
少し目を見開く。
〇〇「おいしい!」
ジェシー「リアクションでか」
樹「分かりやすいなほんと」
きょも「いいなそれ」
〇〇「食べる?」
自然に言う。
きょも「いいの?」
〇〇「うん」
パックを少し寄せる。
距離もそのまま近い。
きょも「じゃあ一個」
取りながら笑う。
北斗「……」
そのやり取りを横で見る。
静かにマグロを取る。
何も言わない。
高地「サーモンも美味しそうだよ」
慎太郎「これもいく」
ジェシー「エビもいいな〜」
樹「好き放題だな」
〇〇「楽しいねこれ」
ぽろっと出る。
きょも「ね」
軽く笑う。
〇〇は次にサーモンを取る。
〇〇「これ絶対うまい」
食べる。
〇〇「……やば」
小さく言う。
〇〇「全部当たりじゃん」
慎太郎「それな」
ジェシー「寿司最強説」
樹「結局シンプルが一番」
北斗「……」
無言で食べながら、
その空気を感じてる。
〇〇は完全に楽しんでる。
悩みも一瞬忘れてるみたいに。
〇〇「これ誰か食べる?」
ネギトロ指さす。
きょも「俺いく」
〇〇「どうぞ」
また自然。
そのやり取りの積み重ね。
樹がそれを見て、
小さく笑う。
樹「ほんと自由だな」
〇〇「え?」
〇〇「楽しいじゃん」
素直な一言。
そのまままた寿司に手を伸ばす。
テーブルの上はどんどん減っていく。
笑い声も増える。
にぎやかな空気の中で、
それぞれの距離と温度が、
少しずつ混ざっていく。
〇〇「……あ」
箸が止まる。
タコの場所を見る。
〇〇「……ない」
ぽつっと。
慎太郎「え、もう?」
ジェシー「誰か取ったな」
樹「早い者勝ちだろ」
〇〇「……」
ちょっとだけテンション下がる。
〇〇「食べたかった」
高地「他にもあるよ?」
〇〇「いやタコがいいの」
こだわり。
きょも「そんなに好きなんだ」
〇〇「うん」
少しだけ頷く。
〇〇「推しがよく食べてて」
樹「また推し出てきた」
ジェシー「誰だよ今度は」
〇〇「みっちー」
さらっと言う。
慎太郎「あー」
ジェシー「なるほどね」
樹「影響されすぎだろ」
〇〇「いいじゃん別に」
少し拗ねる。
〇〇「……食べたかったな」
小さく呟く。
その時——
ふと視線を動かす。
そして止まる。
〇〇「……あ」
一つだけ。
タコ。
北斗の皿。
〇〇「……」
じーっと見る。
無言。
北斗「……」
その視線に気づく。
北斗「……なに」
〇〇「……」
少しだけ迷う。
でも、
〇〇「それ」
北斗の皿を指さす。
〇〇「タコ」
北斗「……」
一瞬間。
北斗「……だから?」
〇〇「……」
ちょっと言いにくそうにする。
〇〇「……いいなって思って」
遠回し。
樹「分かりやすすぎだろ」
ジェシー「欲しいって言えよ」
慎太郎「かわいいな」
〇〇「言ってないし」
否定しきれてない。
北斗「……」
タコを見る。
少しだけ考える。
そして——
北斗「……ほら」
そのまま箸で持って、
〇〇の方に差し出す。
〇〇「え」
一瞬止まる。
〇〇「いいの?」
北斗「……別に」
そっけなく。
〇〇「……」
少しだけ嬉しそうな顔。
〇〇「ありがと」
受け取る。
そのまま食べる。
〇〇「……おいしい」
小さく笑う。
〇〇「やっぱいい」
満足そう。
きょも「よかったね」
〇〇「うん」
素直に頷く。
ジェシー「優しいな北斗」
慎太郎「さすがだわ」
樹「はいはい」
軽くニヤつく。
北斗「……うるせぇ」
低く返す。
でも、
視線は逸らしたまま。
〇〇はそんなこと気にせず、
普通に次の寿司に手を伸ばす。
寿司もだいぶ減ってきて、
少し落ち着いた空気。
ジェシー「はぁ〜食った」
慎太郎「満足」
樹「まだちょいあるけどな」
高地「いい感じだね」
〇〇「おいしかった」
ぽつっと言う。
きょも「ね」
軽く笑う。
少しの間、
ゆるい空気。
でも——
樹「でさ」
ふと思い出したように言う。
樹「さっきの続きな」
〇〇「……え」
一瞬で反応。
ジェシー「恋バナ」
慎太郎「途中だったろ」
〇〇「……」
少しだけ固まる。
高地「無理しなくていいよ?」
優しく言う。
でも、
ジェシー「いや聞きたい」
樹「絶対聞く」
慎太郎「逃がさない」
〇〇「……」
ため息ひとつ。
〇〇「なに聞きたいの」
観念気味。
樹「さっきの“迷ってる”やつ」
ジェシー「誰と誰」
慎太郎「そこ一番だろ」
〇〇「……言わない」
即答。
樹「は?」
ジェシー「けち」
慎太郎「ヒントでもいい」
〇〇「やだ」
ガード固い。
きょも「じゃあさ」
少しだけ柔らかく入る。
きょも「どっちが長いの?」
〇〇「……」
一瞬考える。
〇〇「……片方」
〇〇「長い」
ぽつっと。
樹「なるほどな」
ジェシー「で、もう片方は最近?」
〇〇「……うん」
小さく頷く。
慎太郎「分かりやす」
樹「完全に二択じゃん」
北斗「……」
静かに聞いてる。
視線は落ちたまま。
高地「気持ちはどっちが強いの?」
優しく聞く。
〇〇「……」
言葉が詰まる。
〇〇「……分かんない」
正直。
〇〇「どっちも違う感じで」
〇〇「……ある」
小さく言う。
空気が少しだけ真面目になる。
きょも「そっか」
軽く頷く。
きょも「じゃあさ」
きょも「一緒にいて楽なのは?」
〇〇「……」
すぐ浮かぶ。
〇〇「……長い方」
自然に出る。
北斗の手が一瞬止まる。
樹「まぁそうだろうな」
慎太郎「時間の積み重ね強いし」
ジェシー「じゃあ最近の方は?」
〇〇「……」
少し考える。
〇〇「……ドキドキする」
ぽつっと。
空気が少し変わる。
樹「はい出ました」
ジェシー「王道」
慎太郎「分かりやすいな」
高地「どっちも大事だね」
きょも「うん」
きょも「どっちも魅力ある」
〇〇「……」
静かに頷く。
北斗「……」
何も言わない。
でも——
その言葉、
ちゃんと聞いてる。
樹「で、どうすんの」
核心。
〇〇「……決めなきゃなとは思ってる」
〇〇「でも」
〇〇「……まだ怖い」
小さく言う。
ジェシー「なにが」
〇〇「……どっちか選んで」
〇〇「間違ってたらどうしようって」
本音。
静かになる。
高地「間違いとかじゃないと思うけどね」
優しく言う。
きょも「うん」
きょも「その時の気持ちが正解だよ」
〇〇「……」
少しだけ救われた顔。
北斗「……」
その言葉を聞いて、
ゆっくり視線を上げる。
北斗(……その時の気持ち、か)
頭の中で繰り返す。
樹「まぁでもさ」
樹「選ばないのが一番ダメだからな」
現実的。
〇〇「……うん」
分かってる。
慎太郎「時間かけてもいいけどな」
ジェシー「でも取られるぞ」
軽く言う。
北斗の表情が一瞬だけ動く。
〇〇「……」
何も言えない。
ただ、
その言葉が残る。
リビングは静かになる。
さっきまでの賑やかさとは違う、
少しだけ重い空気の中で。
〇〇「……あのさ」
少しだけ視線を落とす。
箸を置く。
〇〇「昨日のこと、話していい?」
樹「お、きた」
ジェシー「聞く聞く」
慎太郎「なんだなんだ」
高地「うん、いいよ」
きょも「話して」
北斗「……」
無言のまま聞く体勢。
〇〇「……昨日」
〇〇「嶺亜くんと会ったの」
空気が一瞬変わる。
樹「やっぱりか」
ジェシー「例の人ね」
慎太郎「続き気になってた」
〇〇「ロビーで」
〇〇「話したいって言われて」
少しだけ思い出す顔。
〇〇「そしたらさ」
〇〇「いきなり真面目な顔で」
〇〇「“ちゃんと伝えたい”って」
ジェシー「うわ来た」
慎太郎「王道展開」
樹「で?」
〇〇「……好きって言われた」
静かに言う。
一瞬の沈黙。
高地「そっか」
優しく受け止める。
きょも「ちゃんとだね」
〇〇「うん」
小さく頷く。
〇〇「しかもさ」
〇〇「なんか……」
少し照れながら、
〇〇「最近ずっと優しくて」
ジェシー「出た」
樹「惚れるやつ」
〇〇「朝電話くれたり」
〇〇「“ちゃんと起きてる?”って」
慎太郎「それはズルい」
〇〇「あと」
〇〇「寒い日あって」
〇〇「上着貸してくれて」
ジェシー「ベタすぎていい」
高地「キュンだね」
〇〇「で、そのまま」
〇〇「“返さなくていいから着てて”って」
慎太郎「うわああ」
樹「完全に狙ってるな」
〇〇「あとさ」
止まらない。
〇〇「撮影の時も」
〇〇「ずっと近くにいてくれて」
〇〇「さりげなくフォローしてくれたり」
きょも「気遣いできる人だね」
〇〇「うん」
〇〇「それでこの前」
〇〇「リップのCMで一緒だった時も」
少し思い出して、
〇〇「距離近いシーンあって」
ジェシー「ほう」
〇〇「その時に」
〇〇「“緊張してる?”って小声で言われて」
慎太郎「優男すぎ」
〇〇「で」
〇〇「“大丈夫、俺いるから”って」
樹「……はい終了」
ジェシー「強すぎる」
高地「それはキュンするね」
〇〇「……するよね?」
少しだけ不安そうに聞く。
きょも「すると思う」
素直に答える。
〇〇「……だよね」
少し安心した顔。
でも——
〇〇「でもさ」
トーンが落ちる。
〇〇「なんか分かんなくて」
〇〇「これが“好き”なのか」
〇〇「ただキュンしてるだけなのか」
静かに言う。
〇〇「優しいから」
〇〇「そう見えてるだけなのかなって」
樹「まぁそれはある」
現実的。
慎太郎「でも好きになるきっかけってそんなもんじゃね?」
ジェシー「うん、最初はな」
高地「時間と一緒に変わるよね」
きょも「うん」
きょも「ドキドキが続くかどうかかな」
〇〇「……」
考える顔。
その間——
北斗は一言も喋らない。
ただ、
ずっと聞いてる。
北斗「……」
箸も止まってる。
北斗(……そんなこと言われてんのかよ)
心の中で小さく思う。
〇〇は気づかないまま、
さらに続ける。
〇〇「あとさ」
〇〇「昨日も」
少しだけ声が小さくなる。
〇〇「泣いちゃって」
ジェシー「え?」
慎太郎「なんで」
〇〇「分かんなくなって」
〇〇「そしたら」
〇〇「抱きしめられて」
静かに言う。
空気が一気に重くなる。
樹「……」
ジェシー「……まじか」
高地「……そっか」
きょも「……」
少しだけ真剣な顔。
〇〇「“大丈夫だから”って」
〇〇「“無理しなくていいよ”って」
〇〇「ずっと言ってくれて」
〇〇「……優しかった」
最後は小さく。
その言葉が、
そのまま空気に落ちる。
北斗「……」
何も言わない。
でも——
さっきまでより、
明らかに空気が変わってる。
少しの沈黙。
誰もすぐに言葉を出さない。
〇〇「……ごめん」
小さく言う。
〇〇「なんか重いよね」
ジェシー「いや」
首を振る。
ジェシー「全然」
慎太郎「むしろちゃんと聞きたい」
高地「大事な話だしね」
樹「うん」
きょも「話してくれてありがと」
優しいトーン。
〇〇「……」
少しだけ表情がゆるむ。
でも、
まだ迷ってる顔。
樹「でさ」
少し前に体を乗り出す。
樹「お前はどう思ったの」
〇〇「……」
言葉が止まる。
〇〇「……嬉しかった」
正直に。
〇〇「安心もした」
小さく続ける。
〇〇「でも」
〇〇「そのあと」
少し息を吸う。
〇〇「なんか怖くなって」
ジェシー「怖い?」
〇〇「うん」
〇〇「このまま流されるのが」
静かに言う。
慎太郎「……あー」
樹「なるほどな」
高地「ちゃんと考えてるんだね」
〇〇「……うん」
きょも「いいと思う」
きょも「ちゃんと考えるの」
〇〇「……」
少しだけ頷く。
その時——
樹がちらっと北斗を見る。
樹「で」
空気を少し変えるように、
樹「もう一人の方は?」
ジェシー「そっちも気になる」
慎太郎「長い方な」
〇〇「……」
少しだけ間。
〇〇「……変わらない」
ぽつっと。
〇〇「ずっとそのまま」
高地「安心できる感じ?」
〇〇「うん」
〇〇「一緒にいて楽で」
〇〇「何も考えなくていい」
きょも「いい関係だね」
〇〇「……でも」
また少し曇る。
〇〇「それが“好き”なのか分かんない」
ジェシー「難しいな」
慎太郎「でも大事だろそれ」
樹「逆にそれ失うの怖いタイプだな」
〇〇「……うん」
小さく頷く。
その会話の間、
北斗はずっと黙ってる。
北斗「……」
視線はテーブル。
でも全部聞いてる。
〇〇「……ねえ」
ふと顔を上げる。
〇〇「みんなだったらどうする?」
ストレートな質問。
ジェシー「俺?」
慎太郎「俺はドキドキ取るかも」
ジェシー「俺もそっち派」
樹「俺は楽な方」
樹「長く続くし」
高地「どっちも大事だから難しいね」
きょも「……俺は」
少しだけ考える。
きょも「一緒にいたいって思う方かな」
〇〇「……」
その言葉に少し反応する。
〇〇「一緒にいたい……」
小さく繰り返す。
そして——
無意識に、
ちらっと横を見る。
北斗。
北斗は気づかないふり。
北斗「……」
スマホを触るフリ。
でも、
その一瞬の視線はちゃんと感じてる。
〇〇「……」
また視線を戻す。
まだ答えは出てない。
でも、
少しだけ何かが動き始めてる。
重いままじゃない、
でも軽くもない、
そんな空気が部屋に残る。
〇〇「……あ、待って」
ふっと顔を上げる。
さっきまでの空気を自分で感じ取って、
〇〇「やば、重くなりすぎた」
少し笑う。
ジェシー「まぁな」
慎太郎「いい流れではあったけどな」
樹「で?」
〇〇「空気変える」
にやっとする。
その顔で——
北斗の方を見る。
北斗「……なに」
嫌な予感。
〇〇「最近あった北斗との話していい?」
ジェシー「きた」
慎太郎「絶対おもろい」
樹「暴露か」
北斗「やめろ」
即止める。
〇〇「いいじゃん!」
無視。
〇〇「この前さ」
話し始める。
〇〇「夜、普通に一緒に寝てて」
ジェシー「はい情報量」
慎太郎「もうおもろい」
樹「続けろ」
北斗「……」
止める気配ない。
〇〇「で、私寝相悪いじゃん」
樹「知ってる」
〇〇「でさ」
〇〇「朝起きたら」
少し笑いながら、
〇〇「北斗の腕、完全に枕にしてて」
ジェシー「うわ」
慎太郎「密着じゃん」
〇〇「しかも」
〇〇「めっちゃ抱きついてたらしくて」
樹「“らしくて”ってなんだよ」
〇〇「北斗が言ってた」
全員の視線が北斗へ。
北斗「……」
無言。
ジェシー「マジ?」
慎太郎「やば」
〇〇「でね」
まだ続く。
〇〇「離そうとしたらしいんだけど」
〇〇「私が“やだ”って言ったらしくて」
ジェシー「無意識最強」
樹「えぐいな」
〇〇「全然覚えてない」
普通に言う。
高地「かわいいね」
きょも「それは困るね」
笑いながら。
北斗「……」
小さくため息。
〇〇「あとさ」
止まらない。
〇〇「この前ソファで寝てた時も」
〇〇「北斗の服ずっと掴んでたらしくて」
慎太郎「依存してるじゃん」
〇〇「違うって!」
ジェシー「いやしてるって」
樹「無自覚が一番怖い」
〇〇「だって無意識だもん!」
北斗「……」
横で静かに聞いてる。
でも——
少しだけ視線が逸れる。
〇〇「でさ」
さらに追い打ち。
〇〇「起きたら北斗めっちゃ固まってて」
ジェシー「想像できる」
慎太郎「絶対動けないやつ」
〇〇「“離せって”って言われた」
ちょっと笑う。
樹「お前強すぎ」
高地「微笑ましいね」
きょも「いい関係だねほんと」
その一言。
北斗の表情が一瞬だけ動く。
〇〇「でしょ?」
悪気なく返す。
〇〇「なんか家族みたいで楽」
さらっと言う。
空気が一瞬だけ止まる。
樹「……おい」
ジェシー「それは」
慎太郎「刺さるやつ」
高地「……」
きょも「……」
少しだけ静かになる。
北斗「……」
何も言わない。
でも——
その言葉は、
しっかり届いてる。
〇〇は気づかないまま、
普通に笑ってる。
さっきまでの重さは消えたけど、
別の意味で、
空気が少し変わる。
テーブルの上はほとんど空。
最後の一貫もなくなって、
紙皿とパックだけが残る。
〇〇「……食べた」
満足そうに背もたれにもたれる。
ジェシー「腹いっぱい」
慎太郎「動けん」
樹「でも片付けな」
高地「やろうか」
きょも「手分けしよ」
北斗「……ああ」
自然と全員立ち上がる。
14:30。
ゆるい空気のまま片付け開始。
〇〇「これまとめるね」
パックを重ねていく。
きょも「ゴミ袋どこ?」
北斗「キッチン」
きょも「了解」
すっと動く。
高地「拭くやつある?」
北斗「そこ」
指さす。
慎太郎「俺運ぶわ」
ジェシー「じゃあ俺も」
樹「珍しく働くじゃん」
ジェシー「うるさい」
軽く笑いながら動く。
〇〇はテーブルの上を片付けながら、
ふと北斗の方を見る。
北斗はシンクで皿を流してる。
〇〇「……」
少しだけ見て、
また手を動かす。
きょもが横に来る。
きょも「手伝うよ」
〇〇「ありがと」
自然に並ぶ。
ゴミをまとめながら、
きょも「さっきの話さ」
少し小さめの声。
〇〇「……うん」
きょも「焦らなくていいと思うよ」
〇〇「……」
少しだけ手が止まる。
〇〇「うん」
きょも「ちゃんと考えてるし」
きょも「大丈夫だよ」
〇〇「……ありがと」
少しだけ笑う。
その距離。
また少し近い。
北斗はそれを横目で見る。
北斗「……」
何も言わない。
でも、
さっきより少しだけ手が止まる。
樹「おーい」
空気を戻す声。
樹「終わったぞこっち」
慎太郎「ゴミまとめた」
ジェシー「完璧」
高地「早いね」
〇〇「こっちも終わり」
最後の袋を結ぶ。
きょも「ありがとう」
〇〇「ううん」
北斗がシンクから戻る。
北斗「……終わり?」
〇〇「うん」
目が合う。
一瞬だけ。
〇〇はすぐ視線を逸らす。
北斗も何も言わない。
樹「よし」
手を叩く。
樹「次なにする」
ジェシー「ゲーム?」
慎太郎「あり」
高地「いいね」
きょも「やろう」
〇〇「やる」
すぐ乗る。
さっきの空気を少しだけ引きずりながら、
また新しい流れへ進んでいく。
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さいこー!!!!