(まさかこんなとこででくわすなんてっ!)
「え‥…あ、えぇ………あ、え?」
「お嬢様、落ち着いてください。カディルド様も急に出てくるのは大変宜しくありません。これからは気をつけるように」
「あ〜ごめんごめん。びっくりさせちゃったかな」
「びっくりどころではございませんがね……ハァ」
「…………」
私は停止していた。急に人が草木の間から出てきたこと。そして出てきたのがカディルドお兄様だったこと。
(腹黒っぽいカディルドお兄様とはできるだけ距離を置こうとしてたのに!!はっ……もしかしてこれが高速フラグ回収と言うやつか……?!)
と、頭はぐるぐる回っていた。
「お嬢様、少しは落ち着きましたか?」
「はっ!キャナ!……と、カディルドお兄様……」
「僕は次いでなんだね」
「この前、ドラズ様がお嬢様は親しくない方は苦手だと仰っていませんでしたか?」
「うん、言ってなかったよ?」
「いいえ、仰っておりました。きちんと私は一部始終全て聞いておりましたから」
「ふ~ん……」
(パーティー能登きのを一部始終を聞いていた……ならなぜ来なかった!!)
そう、圧をかけると、それを読み取ったのか。
「お嬢様が、どーゆー風に対応するか見ておきたかったので。でも、その判断は間違ってましたね。申し訳ございません」
「べ、別に謝れって言ったわけではないんだから……」
「ですが……」
聞かれたくはないので、小声で話す。
「と、とにかく、カディルドお兄様をどうにかしなきゃ……」
「畏まりました。カディルド様」
「何?」
相変わらずのイケメンスマイル、いや、似非の笑顔、略して似非スマイルとでも言おうか。そんな笑顔を向けてくる。
(私達は何か、試されているのか?)
そーゆー風にも考えてしまう。
「お嬢様は、お散歩の途中なのでここで失礼させていただきたいのですが?」
「なら僕も、一緒に……」
「げっ………」
「「?!」」
(あっ‥…しまった!つい口元が緩んで…!!)
「げ?っていった?……」
「い、言いましたね……。………まぁ、それほどカディルド様はまだ懐かれてないということでしょう。ではこれで」
「あっ!ちょっと!」
…………………。
「キャナ、お兄様にあの対応すごいね?」
「まぁ、慣れてますので」
「慣れ…かぁ……」
「やはりまだ慣れませんか?」
「うん、なれない。…………特にあの笑顔が……」
最後はボソッと呟いてしまった。
「???。お嬢様、最後なんと?」
「い、いや!なんでもない!早く戻ろう!」
「あ!お嬢様!お待ち下さい!!」
(………なんかやな予感がするが……忘れよう)
だが、この予感はフラグとして綺麗に回収される。