「ん……」「日和」
そう優しく名前を呼ばれ意識がハッキリとした。背中で感じていたはずの熱は向きを変えて胸の辺りに感じる。
顔をあげると優しく見つめてくる洸夜と目があった。
「あっ……ごめ、出ますっ!」
急いで布団から出ようとするが身体を四肢で抑え込められ動けない。
「ちょっと、なにすんのよっ」
「日和が俺から離れて行こうとするのが悪い」
「な、なに言ってんのよ。ほら、どいて。なにか食べて薬も飲んだほうがいいよ」
「じゃあキスして」
「……は?」
ナニイッテンノコイツ? 淫魔だからキスすると元気がでるとか?
「日和がキスしてれたら元気になる」
真っ直ぐに日和を見てくる。洸夜は本気で言っている。キス、すれば元気になるのだろうか……精気が足りないってやつなのかな……?
「い、いつも勝手にしてくるんだから勝手にすればいいでしょう……」
「ははっ、素直じゃないところも凄い可愛い」
顎を持ち上げられ近づく洸夜の唇。少し触れただけで火傷するかと思った。熱い唇。
唇の隙間から流れるよに入ってきた柔らかな舌はやっぱり熱い。舌を絡め取られ溶かされる。口の中すべてをこの男は溶かそうとしているんじゃないかと思わせるくらい隅から隅まで舐め回された。
舌だけではなく吐く息さえも燃えるように熱い。洸夜の熱い息が日和の身体の中に自然と入り込んでくる。口の中だけではなく、身体のなかさえも溶かしにかかってきた。熱く、上がる心拍数。ドキドキが止まらなく、長距離を走ったように息が上がり苦しい。
「……日和の唇冷たくて気持ちよかったけど、すぐに熱くなっちゃたな」
「なっ、何いってんのよ。げ、元気はでたの……?」
「あぁ、すっごい元気でた。痛いくらいに」
「痛い?」
太腿あたりに感じる熱い熱。ま、まさか、こいつ……
「わりぃ、これはどうしても仕方ない。こんなに日和が近くにるんだからこうなるのは当たり前だろ? 本当は抱きたいけど、ちょっと無理そうだわ。もう少し寝る……だからまだここに居て」
ふざけたことを言っているのに、いつもと違って弱々しい声。高熱が辛いんだろう。日和は無言で俯き身体をピタリと洸夜に合わせた。
洸夜は嬉しそうに寄り添う小さな身体を優しく抱きしめた。
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