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帝城での話が終わった翌朝、王都に戻りライル・エリーと合流した。

「これから皇国に行って報告するから、その前にみんなの意見や感想も含めて事前に話し合いたいのだけど…ミランちゃんはどうかな?」

「私ですか…そうですね。まず帝国は別大陸の人達が作った国であり、そこはこちらの大陸よりも文明が進んでいると思われます。魔族の国である皇国にない技術もあることから、恐らく別の大陸では人族の築き上げた文明の方がより高度だったのではと思いました」

「そうだね。同時期にこちらへと来たのなら、その可能性が高そうだね」

確かに……

帝国を作った人達の方が後から来たのならわからないよな。ただ、魔族の人達はこちらへ来た時には原始的な暮らしをしていたようだから、やはりミランの考えの方がしっくりくるな。

「じゃあ次はライルくん」

「俺もか?俺は鉄塔しか見てないからな…まぁ兵士を見た感じではこっちと大差ないからあまり気にならなかったな。

ただ、低いとはいえ鉄の塔を建てるってのはすごいことだと思ったぜ?足元は灰色の…なんていってたっけ?」

「コンクリートだ」

「そう、それ。コンクリートで固めれば斜めの地面にも建てられるみたいだしな」

成分や製法に違いがあると思うが、コンクリートと用途は同じだろう。

コンクリートの大きな原料であるセメントの原料は、石灰石・ねん土・けい石・ 酸化鉄・せっこう等だったはずだ。

偶然混ぜて出来るモノではないが、近いモノなら粘土と灰と砂くらいで作ることが出来る。

鉄塔を見た時足元にそれが使われていたけど、日本人の俺からすれば当たり前のモノ過ぎて見過ごしてしまっていたな。

暫く後でライルから質問されて、そこで気付いたくらいだ。

「そうだね。鉄塔の建設を行えるのは凄い技術だよね。私だと無理だもん。でも、兵士は普通だったのは良い報せだね!それなら戦争が起きても私達で何とか出来るからね」

「あの…そのコンクリートというものは、帝都では使っていなかったのですか?」

良い質問だ!さすミラ!!

「私は見てないなぁ。セイくんは?」

「俺も見てないぞ」

「ということは、帝国ではそこまで量を揃えられるモノじゃなかったのか、もしくは私達が知ってるコンクリートとは違い、長く持たないとか通常の建築には適さなかったとかだね」

そうじゃなきゃコンクリートで街を覆うよな?

なんなら国境にコンクリートの壁を並べるかもしれない。

俺なら慎重だからそうするな。

び、びびってねーしっ!?

「うん。コンクリートが何故そこにしか使えなかったのかはあんまり関係ないよね。恐らくコストの点だと思うけどね。次はセイくん」

「みんなが言ってくれたから特には……いや、一つだけ。

この事を知ってる帝国人はかなり少ないと思う。恐らく皇室の人と上位貴族の当主くらいだと思われる。…何が言いたいのかっていうと……」

「いいよ。そこまでセイくんが言えばみんなわかってるから」

くっ…すまねぇ皆の衆……

だって上から言われたことに従うしかない人達は仕方ないじゃん?

なるべく殺したくないんだよ。

「帝国を乗っ取るってことだよね!!さっ!みんなで帝国を潰すゾォーー!!」

「ノォォォオーーーッ!?」

「ごめん。冗談だよ」

やめろよ!聖奈さんがいうとそうは聞こえないんだよ!!

「帝国がもう少し近ければ良いけど、これだけ離れていると管理が難しいからね…残念」

うん。そうじゃない。

話し合いの結論は出た。

といっても皇国がどうするか?どう思うのかが大事なんだけどな。






「良くやってくれた。皇国を代表して感謝申し上げる」

ここは皇国の例の20畳程の会議室だ。

魔族の人達の前で俺…といっても、聖奈さんが殆ど報告をしてくれた。

そして俺達に一通り感謝と労いの言葉を伝えた後、皇帝は殆どの魔族に退席を促した。





残ったのは俺達に皇帝、皇太子に大臣数名。

ナタリーさんは退室していったがもう未練はない。

というか、何かアクションを起こしたら後が聖奈とミランが怖い。

「本題に入りたいが良いか?」

「もちろんです」

皇帝の問い掛けに聖奈さんが応える。

俺に至っては『本題…?さっきまでのは?』である。

「帝国のこの後の行動をどう予想する?」

「それについて、議論の余地はないでしょう。帝国が何もしなければそれでおしまいな訳ではないのです。あちらに他にも未知の技術があれば、皇国に脅威は残り続けます。

ですので、先ずは帝国が諦めない方向で準備すべきと愚行致します」

「……セーナ殿は王妃と伺っている。ならばほぼ同格。その様な下からの言葉は・・」

「立場ではなく、人として目上の方に向けた発言ですのでお気になさらぬよう」

「……」

聖奈さんのこの口調はプレッシャー凄いんだよな…こちらが間違えた発言をしたら地獄まで落とされそうで……

頑張れ皇帝!

「…わかった。では、何を準備する?」

わたくしの国ではないのでなんとも…」

「大臣達はどう考える?」

聖奈さんはスルーした。

報告はするが、他国へ簡単に助言を求めるなっ!って感じか?

「…これまで通り、戦争に備えるべきかと…」

それがしも…」

急に振られた大臣達は右往左往して、ロクな答えを出せなかった。

「戦争の準備というがいつまでだ?戦争の準備といえば我が国では戦時中と同じくらい物資も資金も掛かる。長くは続けられまい?」

兵を一箇所に集めるということは食糧も集めなくてはならない。

兵も普段は別の仕事もある。

それが出来ずに、さらに家庭があれば家のことすらできない。

予備兵も含めれば農業や産業にも支障は出るだろう。

「そ、それは…」

こちらから帝国に攻める事も出来ず、これまで通り向こうの動向にビクビクするしかない。

大臣達の顔にはそう書いてある様に思えた。

「はぁ…わかったであろう?魔族とは個々に強くはかりごとには向いていない。

出来れば助言を貰えないか?」

皇帝はもはや俺ではなく聖奈さんに向けて発言している。

うん。人を見る目があるよ。俺が保証する。

……クソがッ!!

「それについての助言はありません。これまで通り帝国に密偵を送るくらいしか方法はないでしょう。

あちらも大国。何かことを成そうと思えば行動を隠すことは難しく、時間も掛かります。

小国家群のことですよね?気掛かりなのは」

帝国に張り付いていても張り付かれていても小国家群を平定することは叶わない。

それをどうするのか……

「そうだ。無駄な血を流すのを良しとすることは出来ぬ」

「そうですか。私としては踊らせておけばいいと思いますが、カイゼル様は違うと」

俺も戦争はやめさせたいけど、ガゼル達みたいなそこでしか生きていけない奴らもいるからな。

「皇国にとってあまり歓迎しない方法であれば、策がはあります」

「なんだそれは?」

「アーメッド共王国と同盟を結び、二国で平定に向かうということです」

聖奈さんの言葉には流石に大臣達が黙っていなかった。

反論は主に、アーメッド共王国が強くなり過ぎれば、大国に挟まれるこの国の未来は厳しいものになるという反論がほとんど。

「国を運営するとはそういうモノです。実際の敵国、仮想敵国、潜在的な敵国、友好国のフリをした敵国。全てを敵と考えて行動しなくてはなりません。

そうでなければいつか足元を掬われます。

皇国は小国を平定した後、どうされるつもりでしょうか?」

「…覇道の道を行くつもりはない」

「そうでしょう?では問題ないのでは?どんな友好国でも時代が変われば敵国になり得ます。今の問題を解決できずに先を見るのは愚考かと思いますが?」

聖奈さんは厳しいよな…自分にも。

「わかっていただけましたでしょうか?」

場は静まり返った。

「ご理解いただけた様なので、別の案をご提案しますね」

「「「は…?」」」

これには流石の魔族達も呆気に取られていた。皇帝も。

「?私は策が一つだけとは申してませんが?」

わかってやってやがる。

この人見た目とは正反対にヤバい性格だからな。

「そ、それは?どんなものだ?」

聖奈さんの口からは予定通りの言葉が紡がれた。


ここまで上手く踊らせることができるのなら、代わってもらわず俺が言えば良かった……

〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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