結局今日も学校に行く。毎日休みがない…
「はあ、おはよ……って、え?」
教室に入ってからすぐに、違和感に気づいた。
あやがいない。
いつも気にしてくれていたあやが消えた。
鞄はあるから学校には来ている。
俺はすぐに準備してあやを探しに行った。
他の人たちに聞いてみて、色んなところを探した。
「おかしい、これだけ探してもいない」
そして、俺は諦めて教室に戻った。
すると、いた。だけど、あやの頬にアザがあった。
「あ、あや!?」
「っ!」
俺が声をかけるとあやは離れていった。俺を避けてるみたいだ。
「あ、あや!?何で避けてるの!?」
「黙れ!お前には関係ない!」
俺が声をかけてもこれだ。
朝では、あやと喋らなかった。
昼
何だかご飯が喉を通らない。いつもならこんなことがあってもどうともないんだけど、何だか今回は胸が痛い。胃が痛い。喉が痛い。涙が出る。
今日だけは、全然給食を食べれなかった。
「俺自身には全く関係ないんだけどな」
両の視界がぼやけた。そこから涙が流れてきた。泣いているのだろうか。
「………きっも」
あやがそう呟いた。
「え?」
俺は聞き返したが、何も返事が来なかった。
「はは、良い気味だよ」
ゆきなりが言う。やっぱりお前か。
「……ゆきなり、あやに何かしたか?」
「えー、りょーたと同じようにしただけだよー、ただそれだけ」
「…………おかしいって、精神が」
明らかにゆきなりの精神状態が狂ってきている。多分、もうゆきなり自身では治らない程……
「良いって、りょーたを虐めないんだったら」
「まぁね、最近りょーた良い反応ないんだもん!でも、あやは結構良い叫び声を出してくれるし」
「ゆきなり……あや………」
あやが朝に見かけなかったのはこういうことだった。なるほど、『あそこ』で虐めてたのか。
《ありゃりゃ、言わんこっちゃない》
「…………」
《え、無視?》
何かまたあの声が聞こえたが、無視した。
「手を合わせてください!」
もうごちそうさまの時間だった。
とりあえずは、俺たちの言い合いは中断となった。
昼休み
「はあ、ゆきなり、何であやを虐めてた?」
「えー、察してよー」
「あんたは察することができなんだよ」
変な雰囲気になった。
「………まあ、簡単に言うと、あやが『りょーたを虐めることをやめる代わりに私を虐めて』って言ってきたからね~」
「え、あや………?」
ゆきなりから驚きの言葉が出てきた。あやは俺のことを思ってゆきなりに虐められていたんだ。俺は後悔した。自分の醜さ、自分の弱さ、自分の生きてる価値を。
「………私は、りょーたが元気になれれば良いから」
「………」
俺の喉はもう発しようとしなかった。もう、そんな気力も残ってなかった。
「もうわかったでしょ、はい、もうおわり!」
ゆきなりがこの話を閉めようとした。
「ちょっとまて」
俺は反射的に言葉を発してしまった。
「………何?」
ゆきなりの圧が凄い。昔の俺なんか絶対泣いてる。でも、もう今は違う。
「……絶対に復讐してやる」
俺はもう命なんか考えてなかった。
「はは、まあ、やれるもんならやってみて」
ゆきなりは笑いながら消えた。
「………あや、一体どこで虐められていた?」
「え?えっと………理科室の入っちゃいけないところ」
「あー、やっぱりそうか」
理科室の入ってはいけない、そこには多分だが、硫酸やアンモニア水などがあるのだろう。俺もそこに入れられて袖を硫酸に浸けられたことがあった。
「もうゆきなりと関わんないで」
「そうしたいんだけど、関わらないことが難しいし……」
「そっかぁ…」
俺は頭を抱えた。
問題がまた増えた。
一体俺はどれを取れば良いんだ。
俺は……………
《……………た、りょーた!》
「!?」
「ど、どうしたのよ」
「あ、いや、何でもない」
急に例の声が聞こえてきた。
「そう?それじゃあ、私は教室に戻るから」
「うん」
そして、あやが消えた後………
「どうしたの?」
すかさず例の声に話しかけた。
《いや、困ってそうでさ》
「お前のせいでね」
俺は少しイラついた。
《まあ、ちょうど良いや、りょーた、私の名前、聞きたい?》
「今このタイミング?まあ、聞きたいけど」
俺はそう答えた。
《じゃあ、言うね、覚えてるかな~、小学5年生の頃》
「……は」
俺はそう言ってしまった。はっきり言って、そこまで覚えてないのだ。
《覚えてないのは無理もないよ!今思い出せば良いんだし!》
そう言うと、その声の人は息を吸って…
《二階堂 ララ、覚えてない?》
と言った。二階堂…ララ………
その言葉を聞いて数十秒後、ある記憶を思い出した。
それはゆきなりの虐めが今よりはましだけど、凄く過激でもう死にたいと思っていたときの事だ。助けてくれた、俺の初恋の人。だけど、何でか忘れていた。
「ら、ララ………?」
ようやく思い出して、俺は涙を流した。
《そこまでなる?まあ、感動の再開って感じ?》
ララはそう言った。
「ララ、何でこの学校に来なかったの?」
俺はその質問をしたかった。何故か記憶から消えていたし。
《それは………》
ララは言葉が詰まっていた。
「言いたくないなら言わなくて良い、そう言ってくれたじゃん」
俺は彼女に言われた言葉をそのまま返した。
《……………そうだね、ごめんね》
ララはそう言って、急に聞こえなくなった。
「え、ちょ、ララ!?」
俺は何度もそう言ったが、本当に聞こえなかった。
「…………一つの謎は解けた。でも、また謎が増える」
俺の謎は増えていくばっかりだ。
放課後
俺は少しだけ寄り道して帰ることにした。まあ、バレないくらいね。
すると、目の前に怪しいおばあさんがいた。その怪しい人が、
「おやおや、そこのお坊っちゃん、この薬はいかが?」
と言ってきた。
「いえ、結構です」
俺はキッパリと断った。
「あれ、これはね、謎が解ける薬なのだよ!買ってくれないか?」
「いえ、危なそうなので」
やっぱりキッパリ断った。
「そうかい」
すると、おばあさんは姿を消した。
「…………何だったんだ。」
そう思っていると、手には謎の瓶が握られていた。
「………何これ」
俺はそう言った。そして、その瓶をポケットの中に入れて家に帰った。
今日の日記
『あやがまさか自分から虐められようなんて……一体何を考えているんだろう…
ゆきなりは容赦なく虐めてくるし、やっぱり復讐した方がいいのかな?
俺のこの選択で被害者が増えるか増えないか選ばれる。もうそんなのはやだよ。
もういい、俺は、復讐を───
する?
どっちにする?
しない?』
第7話、おわり!
いや!第7話少し進展した!
転に入りかけてるぞ!よし!このままこの物語を分岐させる!
まあ、これ、第10話ぐらい続けるんだけど。
最終話は二つあると思ってくれ!