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ここで聞くと気まずいが聞く。 あいつは元気か?
無機質な機械音声が真っ白な部屋に響く。「これから質問と行動の選択与えます。この質問や行動の選択に間違った場合死にます。なお対象外の回答や選択をした際も死にます」俺を含めた部屋にいる20人は、ある者は震えていたが、ある者は冷静に質問を聞いていた。「要するに質問を間違えずに、行動を間違えずにすればいいんだろ?簡単じゃん!」一人の男が口を開くと、「そうだ!」他の者が次々と口を開いた。
「では、最初の行動です」音声が部屋に響く。すると床の一部がせり上がり、せり上がった床の四面が開き棚が出てくる。そこには4本のナイフがあった。すると天井からまた音声が響く。「次に名前を呼ぶものはナイフを1本だけ取りなさい。柊 伊吹、浅間 翔太、久世 真宵、井崎 慶次、以上」
俺の名前があった。俺は少し躊躇いながら、ナイフを取った。他の者も同様に取る。そして機械音声が部屋に木霊する。「先ほどの4人は持ったナイフで4人のうち1人を殺しなさい。制限時間は1時間」
俺は思わず「は?」と声を漏らす。他の者も同じ反応だ。俺は咄嗟にナイフを構える。
また機械音声が響く。「ルールを説明します。1時間以内に4人のうち3人生きている人がいれば、その3人はゲームを続行出来ます。しかし、1時間以内に1人死ななかった場合、主催者が選んだ人間一人が死にます。」
「なんだよそれ!」
「そんなの理不尽じゃねぇか!」と皆が口々に叫ぶ。「おい、とりあえず誰かを殺しに行くしかねぇだろ」
「そうね、」
そう言って他の人たちもナイフを構える。
「待て」一人の男が口を開いた。「制限時間は1時間だ、それまでに作戦を立てよう。こういう時こそ協力性は必要だろう?」男は落ち着いた様子で話す。
「そうだな」
「じゃあまず自己紹介をしよう。俺は柊だ、よろしくな」俺が名乗ると続けて他の人たちも名乗った。
一通り自己紹介が終わったところで作戦会議が始まった。
「死んだふりというのはどうでしょう?」亜希さんが提案する。
「確かにそれはいい案かもしれねぇ」「しかし、部屋にはおそらく監視カメラがあります」「監視カメラ?」
「はい、おそらくですが、あの機械音声が言っていました。ゲームだと」
「つまり、監視されているってことか」
「はい、なので死んだふりはやめた方がいいと思います」
「じゃあどうすんだよ!」武安さんが声を荒らげた。
すると久世さんが口を開く。「あの……私いい作戦を思いついたんですけど……」
「どんな作戦だ?」俺は聞く。
「えっとですね……まず私が柊さんに壁際に追い込まれるふりをするんですよ、そしてカメラの死角で刺したふりをすれば死んだふりが出来るんじゃ無いでしょうか?私演技には自信ありますし……」
「なるほどな、じゃあやってみるか」俺は久世さんの案に賛成する。そして行動に移すことにした。
~59分30秒後~
「えっと……柊さん壁際まで来てくれますか?」久世さんが上目遣いで言う。その仕草はとても可愛らしく、思わずドキッとしたが、すぐに気を取り直した。「分かった」
俺は言われた通りに久世さんを壁際に追い込む。そして久世さんに抱きつくようにして押し倒すと、ナイフを振りかざすフリをする。「うあぁぁぁ!!!!!」俺は思い切りナイフを久世さんの顔を横に刺す。
「きゃああああああ!!」久世さんが叫ぶ。「どうだ?」ちょうど1時間が経った。すると機械音声が響く。「ゲーム失敗です。主催者が選んだ人間一人が死にます」「え?」俺は思わず声を漏らす。そして天井から声が響く「久世 真宵、ゲームオーバー」その声が木霊した瞬間、久世さんの頭が弾け飛んだ。俺はその場に崩れる。俺の体と辺りには久世さんだったモノが飛び散ってこびり付いている。「く、久世さん?久世さん!!」俺は必死に叫ぶが返事はない。「おい、嘘だろ?」他の人達は呆然と立ち尽くしている。「うあああぁぁぁぁ!!!」俺は叫びながら久世さんの肉片を掻き集めて必死に戻そうとする。「く、狂ってる…」井崎さんがポツリと呟いた。
「おい、柊!お前のせいだぞ!元はと言えば久世がこんなこと言うからだ!」井崎さんが俺の胸ぐらを掴むと思い切り殴りつけてきた。「ぐはっ」俺は地面に倒れこむ。「やめなさいよ!」亜希さんが制止するが止まらない。他の者たちも次々と俺に殴りかかってくる。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
そして数時間後……そこには血だらけになった俺が倒れていた。
「はぁ……はぁ……」俺は何とか意識を取り戻した。「大丈夫?酷い目に遭ったね」亜希さんが心配するように俺を覗き込む
「あぁ……なんとか……」俺は立ち上がろうとしたが、足に激痛が走り地面に倒れこむ。「無理しちゃダメよ!まだ怪我は治ってないんだから」俺はさっきの久世さんが死んだ瞬間が脳内でフラッシュバックする。
「うっ……」吐き気が襲う。「大丈夫?もう少し休む?」俺は静かに頷く
「えぇ、久世さんは残念でしたがまだ生きてる人たちで頑張りましょう?ね?」「そうだな……そうするしかないよな……」俺は静かに目を閉じる。
そして5時間後、俺の体はやっと治り動けるようになった。「もう大丈夫なの?」亜希さんが声をかける。「ああ、それよりも…少し腹が減って…」俺は腹をさすりながら亜希さんに伝えた。「ええ、私もよ」亜希さんは少し笑いながら答えた。すると怒声が飛ぶ。「おい!主催者とか言うやつ!飯とかねぇのかよ!」すると声が聞こえた。さっきの機械音声では無い。人の声だ。「飯ならそこの角に転がっているだろう?調味料や調理器具は渡してやろう。まぁせいぜい美味く食うことだな、『久世 真宵』を」「なっ!?」俺は絶句した。「……くそっ……」俺は拳を握りしめる。すると亜希さんが口を開いた。「落ち着いて柊君、きっとなんとかなるわ。とにかく今は現状を把握しましょう?」
「……そうだな……とりあえず状況を確認しようか」「えぇ」そう言って俺たちは部屋の角にある段ボールを見た。中には調理器具などが入っていた。「本当に、久世さんを…」俺は泣きそうになるのを必死で堪える。「はっ、食えばいいんだろう?生肉食べるわけでもねぇ」井崎がそう言い放ち久世さんの方へ歩いて行き久世さんの体を先ほど持ったナイフで解体して床に散らばった肉片を掻き集めて一緒に袋に入れて亜希さんと俺の前に袋を投げ捨てる「ほらよ、調理くらいできるだろ。せめて美味く作れよ」そう言って離れる。「本当に、やるしかないのね…」亜希さんは久世さんの腕を袋から取り出す
「久世さん、ごめんなさい……」俺は久世さんの一部を取り謝る。そして調理を始めた。
「……いただきます」そう言って俺たちは久世さんの肉のスープを食べ始めた。「うっ……」亜希さんは泣きながら食べていた。俺も泣きながら食べる。「へっ、なかなか美味いじゃん」井崎とその取り巻きはスープを美味そうに食べる。他にも吐き戻すものや食べようとしない者もいたが全員が空腹に耐えかねて久世さんを平らげた。「これで、もう私たち戻れないわね…」亜希さんは調理器具を片付けながら俺に言う。「そう、ですね…」俺は泣きそうなのを必死に堪えながら答えた。また、いつ、誰が死ぬかはわからない。俺たちは恐怖のゲームへ取り込まれるのだった…