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第一章「愛惜の情」

《プロフィール》

《氏名》伊集院 透美 (いじゅういん とおみ)

《別名》伊集院 カルラ

《出生日》5月22日

《趣味》ビールとタバコ、散歩

《職業》探偵

《事業名》カルラ探偵事務所(自営)

この世には、ある定理が存在すると私は思う。神という者は平和を願い人間を無知、無力のまま世界に産み落とした。だが人間は神の想像を越えていた。それはあまりに哀れで。人間は殺人欲に満ちていき人間を殺すために刃、弓矢、薬、爆弾、銃を作った。そうなっちゃならないのだ。人を殺してはいけないのだ。そして今の光景を目にした神はこう言った『平和を皆の手の元に。』


1998年10月16日

一つの家に目線が向く。明かりは着いておらず2階の寝室のクローゼットの中には髪の短い金髪の少女が体を震わせ泣き声を我慢しながら小さく開いた隙間から部屋を見るような形で座り込んでいる。その目線の先には父が立っており母は体を滅多刺しにされ倒れ込んでいた。父はというと腹を切り刻まれていても立って少女を守ろうとしていた。父の目の前に歩み寄る者は鬼の仮面を被り黒のフード付きのロングコートに黒のスーツを着た化け物だった。化け物の手には長包丁を持ち瀕死の父へと歩み寄る。だが化け物は約3歩前の場所に立ち止まった。

「はぁ。」化け物は仮面の中で深いため息を吐いて長包丁を手放した。父が安心しきったその時一発の銃声が家中を轟く。その銃弾は父の心臓を貫いた。

「パパぁ!!」

父はクローゼットに隠れている少女に目線を向け少しニヤつき地面に崩れ落ちる。だが化け物は止まらない。続いて少女が隠れているクローゼットを開ける。するとそこには少女の姿、形は存在しなくそこには服がたくさん散乱しているだけだった。そう確信すると化け物はその場を後にし姿を消した。一方、姿を消した少女はというと体型を利用し散乱した服の中に潜り息を潜めていた。赤茶色の瞳は涙とともに金色へと変わる。それはまるで黄色のビー玉のように。あの後も化け物を特定することは出来なかった。


2018年6月24日

雷の音で私は目が覚め飛び起きる。毎晩のように幼き頃のトラウマを夢で見る。それは恐怖かトラウマか憎悪か。冷や汗が頬を伝っていく。一つの涙と共に。

私は汗を洗い流すために布団を後にし朝風呂に入る。鏡に映る私の姿はあの頃のままだ。あの頃の幼げな子供のままだった。その姿を見ると重いため息が出るだけだ。

髪と体を洗い10分ほどお湯に浸かり風呂を上がった。体を拭き、用意していた服を着て洗面台で髪を整えた。場所を変えたとしても見えるのは一緒である。私は姿を見ながらため息を吐き昨日脱ぎ捨てたカーキのコートを着て玄関の方へ歩み厚底ブーツを履き外へ出た。

私はキジン街の外は好きだ。

この街は人や車は一切なく曇り空に風は靡く。まるで真夜中のような静けさだった。壁のように列なす大勢の市民やうるさいガキもいない。

私はこの街に合っている。

私は歩道橋の真ん中まで行きタバコに火をつけ道路を見ながら手すりに寄りかかる。タバコの箱を見ると『You Are Lost』という銘柄らしい。普通のタバコより少し細長く私に合うタバコだ。それを吸い見る景色はいつも通りでいつも通りの静かな1日である。けれどいつも通りという言葉には『飽き』という言葉が付き物である。

タバコの側面には『You Are Lost』という言葉が書かれていた。その言葉を火が燃やし灰にする。私は吸った煙を吐くと共に深いため息を吐いた。

やることは無いかと考えた後、一つの案に行き着いた。

「あっ。」(あの居酒屋やってんのかな?)

私行きつけの居酒屋がある。その店の営業時間はバラバラで私はそこで飲めると考えたらいてもたってもいられず、一瞬でタバコを吸い終わり。小型の持ち歩き灰皿に入れ、とてつもない速さで居酒屋へと走った。その速さはまるで獲物を見つけたチーターの様に。


《数分後》

私は呼吸を荒くしながら歩いていた。人間の全力疾走というものは思っていた以上に保たないものである。あの後、走りと歩きを繰り返しながら今の地点まで来たのであろう。しぶとさはゾンビ並である。

私はここから居酒屋まで近いことを知り歩いていくことを決め、一回深呼吸をすると息の乱れは収まりまたタバコを口に咥え吸い始めた。脳内には『今日何を話すか』、『何を飲むか』、『何を食べるか』を想像するとニヤけが止まらない。店で頼むのはいつも通りのテキーラ一杯とブルーチーズの蜂蜜漬けである。私は満面の笑みである。なんたってその時間こそ至福の一時だがより一層彼女の興奮は止まらないのである。

「うぉっ、着いた。」

色んな考え事をしているうちにいつの間にか店の前に着いていた。今日は通常通り営業しているようで私は驚きを隠せなかった。この街は何が起こるか予測不能だ。

私はまだ咥えているタバコを(せめて今吸ってるやつともう一本だけ。)と思い店の壁に寄りかかりタバコを吸い終えもう一本を吸い始めた。私の異能は人一倍の肺活量と洞察力と五感である。タバコも全力で吸えば1分もかからない。でも私は一本を味わい堪能したいがためにゆっくり吸う。その味はまるでミステリー小説のミステリーの部分と等しく味わい深い物だった。

私はいつも通り吸い殻を小型灰皿ケースに入れ居酒屋のドアを開け中へと入っていった。居酒屋の名前は『居酒屋CARURA』と記されていた。

居酒屋の中に入るといつも通りの顔ぶれが揃っていた。ガタイのいいバーテンダーが一人とアルバイトらしき人物が二人居た。店内を見る限り滅多にお客は来ないみたいなのである。外を歩く人間もおらず働いているか一晩飲み歩いた人が路上で寝転んでいるかのどちらかである。この街には、そういう人間が多く存在する。まぁ所詮、私にはどうでもいい事だがね。私の仕事は依頼されるまで飲み休み続けるそれだけだ。

 私が来店したことを店員が知ると皆が口を揃えてこう言った。

「いらっしゃいませ!姉御!!」

考えている物を消し飛ばす勢いで挨拶の言葉が駆け抜けていく。それに私は腰を抜かした。

「どう致しましたか?」

バーテンダーが私に聞いたが私はすかさず答える。

「なんでもない。いつものをくれ」と私はバーテンダーに注文しいつもの席へと進んだ。

数分するとグラスいっぱいに注がれたウォッカと大好物のブルーチーズのはちみつ漬けが出てきた。

私の仕事は至って簡単さ。犯人を見抜き逮捕するただそれだけ。だがやり方が気に食わなかったり不快だと思ってしまう分からず屋ばかりだ。体力、洞察力があったとしても誰かが必ず死ぬ。それが世の中さ。殺人はなっちゃいけないんだ。許せないんだ。

 長い間、バーテンダーと世の中のことであったり売り上げや最近来たお客のことを話した後に私は酔いつぶれてカウンター席でうつ伏せになった状態で眠りについてしまった。

 すると。

チャリン。

「いらっしゃいませ!」

店に入る扉を開けた音が店内に響き渡り店員はお客に向かって挨拶をする。

そのお客は身を覆うほどのコートを着ており顔はフードで隠れていた。そのコートは二種類の

要素を取り込んでいる。口元を隠すような感じのモッズコートと和服の要素があるトンビコートの感じがある正しく『異質』であり『不気味』であった。

 そのお客は寝ている私の元へと歩み寄り耳のそばで囁くように一言言い放った。

「ある依頼をしたい。殺人が起きて次の予告が出ている。断ることは出来ないはず。伊集院カルラ様。」

 私はその声を聞き飛び起きた。低音の男性の声。私の事を知る人間はたったひと握りでついさっきまであった『不気味感』というものは変化をしており目の前にすると『威圧感』に変わった。こういう奴に出会うのは私からにしても初めてだった。

 バーテンダーは謎の男の雰囲気の変化に気が付き、近くにあったフルーツナイフを手に取りカルラの耳元の近くにあった男の頭をカウンターテーブルに押し付けコートの首の裾を刺した。

「あらら。このコート、オキニだったのにぃ。」

 男はとても残念そうな声で言った。

「残念だったね。そのコートは弁償不可さ。私はそんな誰かの守護神的なことはしないもんでね。私は探偵なんだボディーガードでは無い。」

「フッ、恐れているんじゃないか?『目の前で大切な人が死んだら。』ってね。」

 コートの男に私の図星をつかれ正直怖くなった。『人間皆同じ』というが本当はそうでも無いとコートの男を見て思った。私は人という者にとてつもなく恐怖感を与えられた。

「姉御!!大丈夫ですかい!!この小童をこのまま切り刻みましょっか!?」

「いや!そのまま気を失わせろ!!事情聴取がまだだ!!」

「了解!」

「まさか、僕の気を失わせようとしているのかい?」

 彼は首の裾を指していたバーテンダーの手をつかみゆっくり押し戻していく。謎の男より2倍ほどあるバーテンダーの握力を遥かに超えてるのであるのだ。

「いやぁ探偵さん。僕はね殺しに来たんじゃなくて依頼をしに来たんです。」

「誰も死んでないんだろう。」

「いえ。もう四人も死んでます。」

「ん!?なんで早くに言わなかったんだよ!!」私はとても驚きを隠せず急いで代金を払いその男と共に居酒屋を出た。早く言わない事ももちろんそうだが私の知らないところで殺人という行為が既に4回も行われていること私はとても許さないのだ殺人という行為を。

 そういう奴は因果応報に裁かれるまで私は追い続ける。

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