結婚してどちらかが死ぬまでいっしょにいたい? 好きだと言われる前にプロポーズされてしまった……
以前にも僕とは死ぬまでの長いつきあいになると似たようなことを言われたことがある。でもそのときは恋人になっただけでもこんなに苦労させられているのに、結婚なんてしたら寿命が縮まるだけだと思って聞かなかったことにしてしまった。
いつだって僕は逃げてばかりだった。でもいつも逃げずに真正面から僕にぶつかってくる彼女を見て、僕も彼女のように生きられたらなとずっと感じてもいたんだ。
「プロポーズか。なるほど。それは意表を突かれた。夏梅君と恋人になりたいといっても、さすがに私はまだ夏梅君にプロポーズはできない。それを見越してプロポーズしたのだろうけど、それならそれで私はあなたに言いたいことがある」
意表を突かれたと言いながら、彩寧さんも引き下がるつもりはないようだ。しかも、彩寧さんの反論は僕の立場を考えてくれた、かつ理路整然としたものだった。
「私も鬼じゃない。ビッチだから幸せになる資格がないとも、結婚する資格がないとも言わない。でもあなたが夏梅君と結婚したいと口にするのは図々しいよ。だって、夏梅君の立場になって考えてみなよ。ヤリモクの男たちに求められるままにアブノーマルなセックスを繰り返してきた恥知らずなビッチを結婚相手として引き取らされるなんて、どんな罰ゲームなの? 僕はどうしてよりによってこんなメンヘラビッチと結婚してしまったんだろう、ってときどきどうしようもなく後悔してはため息をつくことになるでしょうね。それから、真面目な夏梅君は陸たちみたいな過激な行為が絶対にできないだろうし、そういうプレイに慣れたあなたを性的に満足させられるとも思えない。きっと彼は激しい無力感や劣等感にも苦しむことになる。お願いだから彼を解放してあげて! あなたは自分と同類の経験豊富なチャラ男と交際でも結婚でもすればいいんだよ。それか十歳以上年上の男とか。それだけ年が違えば、結婚相手がビッチでも我慢してくれるんじゃない?」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!