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結生さんと別れた後
僕は暫く浮かれていた 。
初めて僕の話を聞いてくれて
初めてちゃんと名前を呼んでくれた人 。
嬉しさのあまり僕ばかり話してしまったことを少し後悔しているものの 、
優しく頷いてくれた結生さんに
愛情すら抱いていた 。
別れたばかりだと言うのにまた会いたくなってしまう 。
けれど玄関を開けた途端
それは束の間のものだったと分かる 。
「 だったら出てってよ゛!! 」
「 言われんでも出てくわ゛ボケ゛!!!」
そう言った知らない男が
ズカズカとこちらへ歩いてきて
僕なんかには目もくれず 、無意味に大きな音を立て
怒りを主張する様に出て行った 。
「 お母さん 、ただいま 。」
僕の存在に気付き
頭を掻きむしりながら僕を睨んで来る 。
「 … 帰ってきたの 」
白い目が僕を縛ってきて
身体が拒み動かなくなる 。
精一杯の声を振り絞り問う 。
「 今の人 、誰ですか 、? 」
この質問が吉と出るか 、凶と出るか 。
それはこの人の気分次第だった 。
「 見てわかんない?彼氏よ 」
「 … でも 、またあんたのせいで 、 」
「あんたが居なけりゃ私だって」
「あんたが居なけりゃあの人は私を選んで 」
「あんたが居なけりゃ … あんたが居なけれ゛ば!!」
そう言って僕の髪を引っ張って
身体を殴って
心を引き裂く 。
ごめんなさい 、ごめんなさいと繰り返して
ただボロボロにされて行く 。
抵抗することも出来ずに
ただ僕は体を丸めて小さくなることしかできなかった 。
お母さんの気が済んだのか
次は腕を引っ張って部屋へ連れていかれ
一人ぼっちにされる 。
ごめんなさい
お母さん
ごめんなさい
結生さん
僕は暫くここから出られそうもない
せっかく約束してくれたのに
申し訳ないなあ 。
次会った時謝ろう
そう思い眠りについた 。
あれから何日過ぎただろうか 。
部屋からは出れず 、結生さんにも会えない
実につまらない日々だった
僕はお母さんが嫌いじゃない 。
お腹を痛めて産んでくれて 、ここまで大きく育ててくれた 。
これは愛が無いと出来ないこと 。
僕は信じてる
お母さんはいつか僕に謝って 、涙を流して 、抱きしめてくれる 。
そして学校にも連れて行ってくれるはず 。
「 結生さんに 、会いたいなあ 。」
その時 、鍵の空く音がした 。
そこに居たのは綺麗におめかししたお母さんだった 。
「 大分痩せこけてるね 。まるで病人 。 」
「 ああ違う 、あんたは病気だったね」
「 アルビノも 、あんただと何も美しくないわ 。」
僕はアルビノだから
学校に行っても周りに馬鹿にされるという
お母さんなりの気遣いで行かせて貰えないらしい 。
僕は気にしないのにな 。
「 私当分帰らないから 、これで生活しな 」
そう言って投げてくれたのは500円だった 。
当分って 、今回はどれくらいかな 。
「 じゃーね 」
派手な音を立てて扉が閉められ
僕はまた独りになった 。
「 … どこに行こうかな 。」
宛もなく僕は外に出た 。
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コメント
5件
一つ一つの表現が頭の中で想像できちゃうくらいに綺麗で繊細で本物の小説みたいで大好きほんとに。 私が守ってあげます
わいが引き取る