明らかに永美の書いた張り紙。
しかも、怒っている。
私はスマホを置いて、少し考えようと思った。
「あ、でも…」
寄付に関して、忘れないうちにやっておかないと。
それに、元のスマホは充電しないと使えない。
電源を入れないまま、元のスマホを充電する。
そして私は、パソコンを持ってホテル内にある【ビジネスセンター】へ行く。
ここにはパソコンもあるけれど、それは私も持っている。
必要なのは、プリンター、コピー機、そしてファックスも。
――ファックスって…
寄付先のひとつが指定しているのだから仕方ないけど…
――よし、これであとは訪問だね
「あ…」
ビジネスセンターを出たところで、安西というスタッフに出会う。
彼の向きから、客室へお客様を案内したあと持ち場へ戻るのだろう。
「一ノ瀬様、先ほどは失礼いたしました。こちらをご利用でしたか。お困りごとはございませんか?」
「いえ、大丈夫です。あ、ファックスの原稿…」
取り忘れた、と気づいて、私は両手でパソコンを抱えたまま中へ戻る。
私より早く、安西さんがサッとコピー機から紙を取り
「問題ございませんか?」
と他人のものではないか、と私に見せてくれた。
「はい、これです」
私はデスクに置いたパソコンの上に、その他の用紙と一緒にそれを重ねると、部屋へ戻る。
それから、まだ半分くらいしか充電出来ていないスマホを持って電源を入れた。
「あぁぁ……」
口を開いたまま固まるのも仕方ない。
正子叔母さんたちからのメッセージの数が半端ない。
永美も…
――読むより電話が早いな
永美は私と同学年。
私は一浪して入学したから、永美はひとつ年下だけど、年下だとは感じたことのない友達だ。
“菊?菊だよねっ?あんた、今、どこにいるの?何やってんのよっ”
スマホ越しに唾が飛んできそうな勢いの永美。
その声に、なつかしさと
――友達がいる
という心地よい感覚を取り戻す。







