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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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草原草原

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いやあ、これはびっくりしましたね……! 祖父たちの軽いノリから始まったお見合い話が、まさか社長との邂逅に繋がるとは。辰巳さんが「イケメン」「ソロキャンプ」と言っていた時点で何かあるとは思いましたが、まさかジニアールの神谷社長本人だったとは。冴実さんが「社長……!」と呆然とする場面、すごく共感しました。ここまで積み重ねてきた「社長はイケメン」という社内の空気が、まさか祖父同士の縁で現実になるという構造が気持ちいいです。次が気になります。
「おう、そうしろそうしろ。たっちゃんの孫は男前だぞ?」
「おじいちゃん!」
「冴実にはもったいないけどな」
どうやら祖父は実際に会ったことがあるようだ。だからなのか悪ノリをして好き放題言っている。
さすがに聞き流せなくて、辰巳さんには背を向けながら祖父に対して顔をしかめた。
祖父としては、どこの誰だかわからない男性よりも友人のお孫さんのほうが安心感があるだけなのだろうけれど、勝手に話を進められるのは困る。
「冴実ちゃんはうちの孫じゃ不満かい?」
「いえいえ、そうじゃなくて。私なんかとくっ付けられたらお孫さんが気の毒だから。そのうち趣味を通じて素敵な女性と知り合うかもしれないでしょう?」
お孫さんは趣味仲間がたくさんいるだろうから、その気になればお相手はいくらでも見つかるだろう。祖父曰く、顔も整っているようだし。
「孫はまとまった時間ができるとひとりでキャンプに出掛けてるらしいんだ。女性と出会いなんかないよ」
どんな趣味なのかさっきから気になっていたけれど、アウトドアレジャーだとわかった。たしかに今はソロキャンプを楽しむ人も多い。
我が社もキャンプ用品を取り扱っているが、売れ行きは好調で年々右肩上がりだ。
「一度、実物を見てみてくれないか?」
「……実物って?」
「実は今日、孫をここに呼んだ。もうすぐ来る」
その言葉を聞いて、私はポカンと口を開けて固まった。
ちょっと待ってほしい。今すぐこの場を逃げ出さない限り、この流れだとこれから私はお孫さんと初対面することになる。
落ち着こう。辰巳さんが『うちの孫と結婚してくれたらいいのに』なんて言うからあわてたけれど、よく考えてみたら焦る必要はない。
あれは冗談だろうし、もしも本気で言ったのだとしても、私もお孫さんも互いにその気がないのだから大丈夫だ。
「いつも祖父がお世話になっています」とここは無難にあいさつをしておけばいい。
祖父同士が勝手に結婚の話を進めるなんて無理に決まっている。
「あのイケメンくんを生で見るのは久しぶりだなぁ」
囲碁に集中しているふりをしているが、祖父が会話に入りながら口元をニヤニヤとさせている。
早く勝敗がついたら帰れるのに、腕組みをしたまま一向に次の手を指さない祖父が恨めしい。
「お孫さん、今日はお休み?」
「土日は休みだ。雨だからキャンプにも行かんのだろう」
ここまで来たら、どんな人なのかこの目で見てみたくなった。
祖父がイケメンだと褒めまくっているのは単なるお世辞とは思えないので、だんだんとその容姿が気になってきたのだ。うちの社長とお孫さんでは、どちらがイケメンだろう?
そう考えてはみたものの、申し訳ないけれどうちの社長には敵わないと思う。
私が今まで目にしてきた男性の中で、社長の顔がダントツで整っていると言い切る自信がある。
普段から社内報やホームページの写真を眺めてうっとりとしている女子社員はたくさんいるし、決して私が社長を贔屓目に見ているわけではない。
それから五分も経たないうちに部屋の入口の扉が開き、ひとりの男性が入って来た。
黒のスリムなパンツと水色のリネンシャツを羽織った背の高い人だ。
「おお、こっちだ、こっち!」
辰巳さんが座ったまま片手を上げて男性に声をかけた。
傘立てに傘を置くためにうつむいていたので最初はわからなかったのだが、その男性が振り返ってこちらに顔を向けた途端、私はハッと息をのんだ。
「……え?」
視力が落ちたのだろうか。もしくは幻でも見ているのかと思い、右手の指で瞼をゴシゴシと擦ってみる。
「倫治さん、こんにちは。ご無沙汰しています」
「久しぶりに会ってもイケメンは健在だなぁ。あ、これは俺の孫の冴実だ」
今起こっていることが本当に現実なのかわからなくて、椅子から腰を上げたものの、しばし呆然と立ち尽くしてしまった。
「社長……」
我に返って咄嗟に会釈をすると、その言葉を耳にした辰巳さんと祖父が、なにを驚いてるのだと言わんばかりに私に視線を寄こした。
「ジニアールの神谷社長……ですよね?」
最後に確認するように男性に問いかけてみたら、彼も驚いた様子でコクリとうなずいた。
やっぱりそうなのかと目をパチパチさせていると、祖父が私の腕をトントンと叩いて合図を送ってくる。
きちんとあいさつができていなかったことにハタと気付いて背筋を伸ばした。
「香椎冴実です。おじい様にはいつも祖父がお世話になっております」
「神谷朝陽です……って、さすがに知ってるか。こちらこそ倫治さんにはお世話になってます」