階段の上にちょこんと佇んでるソイツの尻尾には、ネズミ捕りが挟まっている
?「痛いですねぃ…痛いですねぃ…」
やけに低声でそう言うネズミ(?)はネズミ捕りごと尻尾をブンブン振りながら、
アゲハとジンペイの元に近寄ってくる
ネズミ捕りにチーズか仕掛けられてあるのを見て、アゲハは半目になる
アゲハ「これ、どう見ても罠だよね…?;」
ジンペイ「お前、こんなあからさまな罠にかかってんのかよ?」
?「ついつい大好物のチーズに手を出してしまったですねぃ……」
一瞬ショボンとするネズミ(?)だが、すぐにハッとなる
?「はっ!でもあなた方、ミーの言葉が分かるんですねぃ!」
アゲハ「まあ、一応ね。……ん~…これどうやって外そうかな?」
?「!助けてくれるんですねぃ!?」
ジンペイ「えー…今はそんなデブネズミよりも、優先する事があるだろ?」
ネズミ(?)のあだ名のつけ方が雑なジンペイに、アゲハは呆れる
アゲハ「いや、デブネズミって…;もう少し言い方あるでしょ…」
ジンペイ「例えば?」
アゲハ「え?…う~ん……ねず君?」
ジンペイ「いやいや、まんまじゃないか……;;」
?「そんな話はどうでもいいから助けてほしいですねぃ!」
ネズミ(?)にそう言われ、ジンペイは渋々といった様子で答える
ジンペイ「やれやれ。分かったよ、デブネズミ!アゲハも手伝って」
アゲハ「わかった」
アゲハとジンペイは、ネズミ捕りの端っこを片方ずつ掴み、精一杯の力を籠める
アゲハ/ジンペイ「「せ~の!!ぐぐぐ―――ッ!!」」
ジンペイ「ブハ~~ッ、ダメだ……」
アゲハ「ネズミ捕りって、意外に挟む力強いんだね…」
アゲハとジンペイの力を合わせてもビクともしないネズミ捕り。
そこで、ジンペイが何かを思いついた
ジンペイは、ネズミ捕りにジェットブーツを取りつける
どうやら噴射の勢いを使い、ネズミをネズミ捕りから解放する作戦の様。
取りつけ終えたジンペイは、ジェットブーツのスイッチを起動する
人間の力と違い、噴射の勢いは桁違いなのだろう
ものの数秒でネズミ(?)はネズミ捕りから解放された
しかし、肝心のジェットブーツは噴射の勢いであちこちの壁にぶつかりながら
ジンペイ「あーあ……」
ジンペイは残念そうにジェットブーツが落ちていったところを見つめた
そんな残念そうなジンペイと逆に、ネズミ(?)は嬉し涙を流しながら感謝する
?「ああっ!助かったですねぃ!ありがとうございます、ありがとうございます!
このご恩は死んでも忘れませんねぃ!!」
頭を下げるだけじゃ気が済まないのか、それともただ単にアゲハに抱き着きたいだけなのか、
ネズミ(?)はアゲハの足首にひしッと抱き着いた
アゲハ「そんな大袈裟な…困ってる人…じゃなくてネズミがいたら、放っておけないから」
?「ああ、そんな慈悲深いところも素敵ですねぃ…!」
そこに、完全に空気と化していたジンペイが声を上げる
ジンペイ「なあ…なんか地響きみたいなの聞こえねえか?」
アゲハ/?「「……え?」」
アゲハとネズミ(?)の一声とほぼ同時に、突然、揺れが強くなり始めた
ゴゴゴゴゴッと、鈍い揺れが塔の底から湧き上がってくる
「「「!?」」」
塔の天井からは砂埃や埃がパラパラと舞い落ちてくる
どうやら、2人も人が入ったのと、ジンペイが体をあちこちにぶつけたのと、
最後にジェットブーツが落ちたのがトドメだったらしい。
下から上にかけて、階段にビシビシとヒビが入り始める
ジンペイ「こいつぁ、ヤバそうだぞ!?」
アゲハ「早く上に行こう!」
アゲハのその台詞を合図にドカーンッ!!と盛大な爆音を鳴らして階段が崩れ始めた!
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