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俺は目を覚ますと白いベッドに横たわっていた。
当たりを見渡すとどうやら病室らしい。
俺はこの状況に戸惑っていた。
少ししてノックが聞こえた。
看護師らしき人物が入ってくると、驚きながらも
「ようやく目が覚めましたか?」と言われた。
「あの、俺はどうしてここに?」
俺は戸惑いながら尋ねたが、
看護師は慌てて
「先生にすぐ知らせますね」 と言って去っていってしまった。
しばらくして、30前後と思われるの女医 が入ってきた。彼女は困惑している俺に優しく微笑んで話しかけてきた。
「結希さん、お疲れ様です。私は田中と申します。混乱してしまっているでしょうが、少し質問させていただいてもいいですか?」
「はい。」
俺は少し緊張しながらも答えた。
田中先生はしばらく俺と対話を続け、そして言葉を選ぶようにして伝えてきた。
「結希さん、信じらないかもしれませんが、あなたは交通事故に巻き込まれ、半年もの間、意識不明でした。」
俺は驚きと同時に理解できない感情に包まれた。「半年も? さすがにそれは…」 信じられない。
「いえ、本当のことなんです。そして、残念ながら、あなたは記憶障害を起こしているようです。ご家族の方にもお伝えしてあります。」
田中先生は慎重に告げた。
確かに、家族のことや自分のことはわかるが、
学校や友達と言った記憶が一切ない。
結希は深いため息をつき、部屋の中でぼんやりとした表情になる。
「俺はこれからどうなるんですか?」
と俺は尋ねた。
「あと1ヶ月ほどはこの病院にいてもらいます。でも、少しずつ思い出していくこともあるかもしれません。気長に取り組んでいきましょう。」
田中先生は優しく微笑んで言った。
田中先生が去った後、俺は一人で部屋の中に取り残された。
考え込む中、扉が再び開かれ、見知らぬ女の子が現れた。
「あの、どちら様でしょうか?」
俺は戸惑いながら尋ねると、女の子は少し悲しげな表情を浮かべるも、すぐに微笑みながら自己紹介を始めた。
「僕は名前は凛。結希くんのこと、ずっと待ってたの。なんてったって、君と僕は恋人同士だったんだから。」彼女の言葉は、俺にとってはまるで異次元の出来事のように響いた。
俺は彼女の言葉に戸惑い、困惑していた。
彼女の言葉が頭の中で何度も響く。
「あの、凛さんでしたっけ?」
「恋人同士だったって…本当なんですか?」
俺は戸惑いながら尋ねた。
すると、彼女は微笑みながら
「そうだよ。君と僕は恋人同士だったんだ。覚えてない?」
「…すみません。思い出せそうにないです。」
「そっかぁ。分かってはいたけど、正面から言われるとすこし悲しいなぁ。」
彼女は寂しそうに言った。
「それはそうと、敬語なんて使わなくていいんだよ?覚えていないとはいえ、恋人同士だったんだからさ。」
「あぁ、うん。確かにそうだね。」
「それと、凛さんじゃなくて、凛って呼んでね。僕もゆうくんって呼ぶからさ。」
「ゆうくん…?」
「うん。ゆうくん。」
俺は自分の呼び名に戸惑いつつも、頷いた。
「分かった。ゆうくんでいいよ。 そういえばさっき、ずっと待ってたって言ってたよね。」
凛は微笑みながら、「うん。ずっとゆうくんのことを待ってたんだ。毎日お見舞いに来てたんだよ?」彼女は少し自慢げだった。
「でも、俺、何も覚えてないんだ。学校や友達のことも…凛のことも。」俺は自分の状態を正直に伝えた。
凛は少しの時間黙ってから、やさしく微笑んだ。「それは大丈夫。ゆっくり思い出していけばいいから。だから、今は無理せず、一緒頑張っていこうね。」
そう言って凛は俺に近づき、寄り添い、俺の手を取った。手のぬくもりが俺の心に優しさを届けるように感じた。