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**第3話: 剣士への第一歩**
アルヴィルの町で情報を集めた後、智也と啓太は今後の行動について話し合っていた。異世界で生き抜くために何が必要かを考え、二人はまず自分たちの武器を手に入れることに決めた。
「テニスで培ったスキルを活かせる武器がいいよな…」と智也が言うと、啓太も同意する。
「動きの素早さとか反射神経を考えると、やっぱり剣が一番かもな。」
二人は早速、町の中心部にある武器屋を目指した。石造りの建物の中に入ると、壁一面に様々な武器が並んでいるのが目に入った。剣、槍、斧、弓…どれもが重厚な作りで、戦いに使われてきたことを物語っていた。
「いらっしゃい。何かお探しか?」
武器屋の店主は、筋骨隆々の中年男性で、鋭い目をしていたが、どこか親しみやすい雰囲気もあった。
「剣を探しているんですが、初心者向けのものはありますか?」
智也が尋ねると、店主は棚の一角を指差した。
「そこの棚には、軽量で扱いやすい剣が揃っている。まずはそこから試してみるといい。」
智也と啓太はその棚に向かい、何本かの剣を手に取ってみた。智也が選んだのは、細身でバランスの良い長剣だった。重すぎず、しかししっかりとした感触があり、握ると手に馴染む感じがした。
「これがいいかも。テニスのラケットと少し似てる気がする。」
啓太もまた、同じく軽めの剣を選んだ。それは少し短めで、片手でも扱いやすそうな剣だった。
「よし、これにしよう。俺たちの動きに合いそうだし。」
智也と啓太はそれぞれ選んだ剣を手に、店主に会計を済ませた。初めての武器を手に入れた二人は、興奮と緊張が入り混じった表情で、店主にお礼を言って店を出た。
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「まずは、この剣に慣れよう。」
二人は町の外れに広がる草原に向かい、そこで剣の練習をすることにした。草原には柔らかな風が吹き抜け、青々とした草が一面に広がっている。ここなら思い切り動けると、二人は剣を抜き、構えを取った。
「テニスのスイングを思い出して…振ってみよう。」
智也がそう言いながら、剣を軽く振ってみる。テニスのラケットと比べると、やはり重さやバランスは違うが、動き自体は似ている感覚があった。スイングの軌道や体の動きは、テニスの経験が生かせそうだと感じた。
「意外と、いけるかもな…」
啓太もまた、同じように剣を振ってみた。彼の剣は短めで軽いため、片手で素早く動かせる。それに、テニスのスピンショットを打つような感覚で剣を扱えることに気付いた。
「やっぱり俺たち、剣に向いてるかもな。」
智也が笑顔で言うと、啓太も同じように笑った。
「うん、これなら戦える気がする。でも、もっと練習しないとな。」
二人は草原でしばらく剣を振り続けた。風の音と剣が空を切る音だけが響く中で、次第に動きがスムーズになっていくのを感じた。剣の重さやバランスに慣れ、テニスで培ったスピードと反射神経を活かしながら、様々な動きを試していった。
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夕暮れが近づく頃、二人は汗だくになりながらも、満足感を感じていた。
「今日のところはこれでいいか。また明日も練習しよう。」
智也が剣を収めながら言うと、啓太も頷いた。
「うん、剣に慣れてきたら、次は実戦を考えよう。」
二人は剣を手に入れ、初めての練習を終えた。まだまだ初心者だが、自信を少しずつ取り戻していくのを感じていた。元の世界に戻るためには、この異世界で強く生き抜くしかない。そう心に決めた二人は、再び町へと歩き出した。
夕日に照らされる草原を後にして、智也と啓太は新たな冒険に備える決意を新たにしていた。彼らの物語は、まだ始まったばかりだった。