テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ひろぱってあだ名、かわいいですよね。
ハイ書きます。がんばります。
涼ちゃんはテレビを観ながらぽつりと
「アニバーサリー終わったら。ミセスを抜けようと思って。したらファンサ、うまくできなくなっちゃってさ。」
と言った。
がっしゃんごろごろビシャビシャ。
持っていたグラスを全力で落とす間抜けは俺です。
「大丈夫!?ガラスは?ケガしてない?」
おずおずと寄ってくる涼ちゃんの肩をつかむ。
「……何で?俺、なんかした?」
びっくりして涙が出てきた。
「どうして?元貴がなんかした?なんで?」
涼ちゃんは困った顔してから優しく笑って。
「……ごめん。びっくりさせたね。そんな……泣いちゃうとか思って、なくて……」
「やだ!!なんで!?」
俺の絶叫に涼ちゃんがびくりと肩を揺らした。
「……俺、だってやだよ!!でも……だから……若井には、話しておこうと……」
はらはらと涼ちゃんも泣いた。
ぐいと引き寄せて抱きしめると 涼ちゃんは俺の肩口に寄りかかってしゃくりあげはじめた。
聞かなきゃ。 話してくれたんだから。
「……ごめん。びっくりしただけ。ちゃんと聞く。話してくれてありがとう。」
ぽんぽんと背中をたたくとしゃくりあげる涼ちゃんが、ん、とうなづいた。
手伝いたがる涼ちゃんをソファに座らせて、俺はグラスと零れた炭酸水を雑巾で拭いた。改めてお茶を入れて涼ちゃんに渡し、ソファの隣に座る。
「……俺ね。キャパオーバーなんだ。制作はがんばれるし大好き。ライブも。ダンスも……中々ほめられないけど、好きだよ。」
訥々と話す涼ちゃんは穏やかで。
「……全部できてるじゃん。俺より広い範囲で制作に関わっててすごいなって思ってるよ。 」
訥々返す俺。
「……メンタルやっちゃいましてね。過呼吸だったり、朝、起きれなかったり。本当に真っ白になる時あって、かんじゃう、し。で、きない……こと、増えてく、ばっかで……」
涼ちゃんははらはらと泣きだす。
「……病院行った?」
背中をさする。華奢な背中。
「行った……ちゃんと診断してもらった。でも、対処療法しかないって。治るというか、付き合っていく、感じで……だから」
「……元貴には?言った?」
「……言ってないけど、バレてはいて。だから、元貴なりにケア、してくれてるんだけど。ありがたい。でも。」
俯いて唇をかむ涼ちゃん。
とりあえず背中をさすりながら続く言葉を待った。
「……元貴、忙しいし。申し訳ないし。てか元貴のこと好きだけど、よく、わかんなくなってて。最近の活動、ついてける、自信なくて。」
「……なんで自信がないの?すごくちゃんとできてる……っていうか。」
「元貴は褒めないのに?」
びっくりする強さと速さで思わず言葉を失う 。
「……若井はいつも俺を褒めてくれるよね。ありがとう。でも俺は……元貴には、認められてない気がする。」
「そんな訳ないだろ。元貴がどれだけ涼ちゃんを頼って」
「元貴は俺じゃなくていいって。気づいちゃったんだよ。俺が1番暇なのに、制作を支えることしかできないのに、具合なんか悪くなったら。俺……ミセスに迷惑だけはかけたくない。」
おずおずと箱ティッシュをとり涼ちゃんに渡す。涼ちゃんは涙をティッシュで拭いて鼻をかんだ。
「……聞いてくれてありがとう。ちょっとスッキリした。ごめんな、情けない年上で。」
「そんなことない。俺、気づくの遅くて……本当にごめん。」
頭を下げる。
「……若井は優しいよ。いつもありがとう。」
優しい涼ちゃん。でも違う。
これは俺が涼ちゃんに期待されてないんだ。
「……俺は涼ちゃんに辞めてほしくない。だから体調的なこととかは全力でサポートがしたい。楽器違うし具体的には何ができるかわからないけど。」
はっきり言うと涼ちゃんは少し驚いた顔をした。
思い切って続けた。
「2人が付き合ってると思ってたし、元貴は独占欲の塊だから、あまり口出せなかったけど。涼ちゃんが元貴に辛い思いさせられてるなら介入するよ。俺が言えることない?」
涼ちゃんが固まる。
「……な、んで?」
「安心して。10年以上近くにいる俺以外、気づいてないよ。2人とも隠すのうまいし。」
ちょっとスッキリした。固まるってことは。
「……セフレなだけで。付き合ってないよ。」
涼ちゃんの返事に、今度は俺が固まる番だった。
コメント
5件
好きなお話です❤️💛 セフレで驚きの展開です 続きも楽しみにしています
初コメ、失礼します🙏 私、このお話大好きで❣️ 💛ちゃん推しなので、♥️くんとのすれ違いや色んなものがぶっ刺さってます🤭💕 更新、ありがとうございます❣️ 続きも楽しみにしてます✨