テラーノベル
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ひろぱらない、ひろぱります、ひろぱ、ひろぱれど、ひろぱれない……←ひろぱ五段活用
俺は深呼吸してから聞き直してみた。
「……セフレって?」
涼ちゃんはおずおずと
「あ!セフレって、いわゆる身体だけのお付き合いなんだけど。」
とか言ってくる。ちげーよ!
「意味はわかるのよわかりたくないけど。
え?あなたたち何?付き合ってないの?」
なんかびっくりしすぎて我ながら母親みたいな話し方しちゃった。
「……なんか若井、お母さんみたい。」
「母親にセフレがいるなんて話する息子はそうはいねーだろ。いーのよそれは。ていうかなんでそんな……」
ほんとにこの子は。
あんなに!めちゃくちゃ!元貴に好かれててなんでセフレとか思うんだ?
「セフレだよ俺なんか。元貴に普通の時に好きとか、それこそ付き合ってとか。言われてないもん。 」
あれ?声に出てたかな?
「顔に描いてある。何言ってんのって。 」
「ご、ごめん。なんでその……やっちゃう前に好きって言ってくれないのとか……確認など……?」
何故か無駄に俺が恥ずかしい。おかしいだろ。
「だって俺……元貴を好きだし。元貴はセックスうまいし。他の男の人は知らないけど。」
!? なんか爆弾が2つきたぞ……!?
「……とりあえず涼ちゃんにはエッチって言ってほしかったわ……」
アホみたいな感想からまず述べる。
「付き合ったらエッチなんじゃないかな?俺と元貴はセックス。運動?」
……元貴、うまいんだ……てかお前どんだけ激しく涼ちゃんを……やめよう。
「元貴はセックスの時だけ俺を好きって言う。だから、身体で応える俺が好きなだけで。気軽に抱ける俺がちょうどいいだけで……俺の話、聞かないし。」
タイミング悪くブブブと鳴る俺のスマホ。
みたら元貴からのラインで。
「涼ちゃんに手を出さないでね。」
見なかったことにする。が。
「元貴でしょ。俺が今日家に来てもいないよって言ったから。」
「ちくったのお前かい!てか……そんな行き来もしててなんですれ違って」
あ。涼ちゃんが据わった目をしている。
「行き来してない。知らない間に元貴が俺の部屋の合鍵持ってた。俺は元貴の家の合鍵いらないっていったから持ってない。」
こわいこわいこわい。元貴……どういうこと……。
「なんかこう……今わかることはコミュニケーション不足なのかなって……」
「身体以外がね。」
「自分で言うんかい!」
涼ちゃんはくしゃっと顔をくずして。
「……元貴に大事にされてるって、前まで信じられたのに。ファンのこと大好きなのに。こんな……若井にも迷惑かけて。俺……本当におかしくなっちゃったのかな……?」
またはらはら泣き出した。
とりあえずわかったことは。
涼ちゃんは自信がなくて。
ものすごく傷ついているということ。
横からそっと華奢な肩を抱く。
「……仕事は、ファンサもだけど制作とか、俺ができること変わる。どんどん頼ってしい。……元貴とのことも、とりあえず俺にしてほしいことある?」
「……聞いてくれただけで十分。誰にも話せてなかったからすごく楽になった。ありがとう。」
涼ちゃんがちょっと寄りかかってきた。かわいい……あぶね殺されるわ。
「……恋愛は他人が入ったほうがこじれるから、そっとするつもりだったけど。明日からはあまりに元貴がおかしかったら介入するからね。俺は先に涼ちゃんの相談聞いたから、涼ちゃんの味方だから。 」
涼ちゃんがだはーと笑った。
「若井は元貴の右腕なのに。だめだよ。」
「いんや、お忘れみたいですが俺は涼ちゃんの左腕でもあるからね。」
「利き手じゃん。これ若井?」
涼ちゃんが上げた左手を俺は掴む。
「貸して。『涼ちゃん泣かないで!てかオレ冷たくない?冷え性すぎない?』」
優しく左手を握ってアテレコする。
「はは!まじか!若井、ありがとー。」
ぎゅっと抱きつかれた。
……うわいい匂いするじゃん。がんばれ理性。
「涼ちゃんが思うより俺は涼ちゃんが好きだよ。だから頼ってくれてありがとう。」
平静を装ってぎゅっと抱き返す。
「……ん。がんばる。」
元貴は涼ちゃんを愛してるよって、言うか悩んで言わなかった。
多分涼ちゃんは、元貴から言われなきゃ納得できないから。
恋愛でつけられた傷は、つけた人が手当てしないといけないから。
明日からどう動こうか。考えなきゃ。
静かに目を閉じた。
コメント
2件
💛ちゃんの左腕になった💙、可愛すぎます❣️笑 そして、ちょっぴり💛ちゃんに理性が揺らいでるとこも😇 💛ちゃんが🔞を使い分けるとこもクスッとなりました🤭 いつも素敵なお話、ありがとうございます❣️