テラーノベル
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「はぁ、はぁ、はぁ」
いつも通りの練習をしているが、珍しく──
「まさかミラクル先輩と併走とはね!」
「適性距離も全く違うのに、あの2人は対応しているな!」
ミラクル先輩…とは、ケイエスミラクルの事。
珍しく併走している。いつとはピアノ練習しか会わなかった2人。
「はぁ…はぁ…ミラクル凄いな、俺のスピードに食らいつくなんて!」
ケイエスミラクルとは去年から仲良くなり、今も仲が良い。
「はぁ…はぁ…俺のスピード少し速かった?」
「全然大丈夫だよ。それにしても速いね!世界に行く相手と併走するの凄く光栄に思うよ!」
「ありがとう!嬉しいぜ!」
「トレーナー、ミラクル先輩と出会ってからフレイムも変わってるよね!」
「分かり合える友達がいて嬉しいだろうな」
「ミラクル先輩も嬉しそう!」
「フレイム、今日の練習メニューは終わりだから、その後のストレッチして上がってもいいよ」
「分かりました」
「ミラクル先輩も併走ありがとう!」
「こちらこそ練習に付き合ってくれてありがとございます」
「ところで、最近トラックで走ることが多くない?」
「実は、1度だけレースをする事になりまして、そのための練習です」
「レースに出るの?!俺絶対見に行くよ!」
「ありがとうフレイム」
ミラクルは再びレースに出走する事が決まっており、特別枠で1度だけレースをするのが可能になった。
「ミラクルの勝負服、実際に見てみたいな!」
「まだおれの勝負服見てないんだっけ?」
「画面越しでしか見た事がなかったから、実際で見た事はないんだ」
「じゃあ楽しみにしてて、かっこいいおれを見るの」
「ああ!」
トレーナー室
「あの二人仲良しだね!」
「フレイムがピアノ弾けるなんて思わなかったよ。それで知り合ったんだよな」
「…トレセン学園に入って良かったねフレイムは」
「そうだな…こんなに笑顔をみせることなんて中々ないからな」
幼少期のフレイムは、今とは全然違い、泣いてばかりいたけど、色々な人と出会って今のフレイムがある。
ワールドチャンピオンシップでもこういうことがあればいいね──
翌日 病院
「…このままだと、走るのは難しいでしょう」
「………」
診察室から出てきたミラクル。険しい表情をしている。
(フレイムに見せてもらいたいのに…なんで…
いや、フレイムならこう思う、奇跡は起きる、どんな状況でも──)
トレセン学園
「何この子?!スゲ〜きゃわいい!!」
コスプレ仲間のウマッターを見せていたフレイム。ヘリオスとも仲良くなっている。
「このコスプレさんヘリオスが推しで太陽のような存在だって言ってたよ」
「ウチが太陽?!スマイルかな?」
「そうなんじゃない?」
「その人ウチ会ってみたい!」
「海外行く前にイベントで連絡する」
「フレイム」
「ミラクル!検査終わったんだ!異常はなかった?」
「全然大丈夫だよ。いつでも走れる準備をしていいって言ってたよ」
(本当は…少し怪しいところがあって、走れるか分からないって言われたけど…フレイムの輝いた目、勇気を貰ってくれてるから──)
本当は異常が起きている。しかし、フレイムの笑顔は光を与えてくれている。
ミラクルもフレイムみたいに勇気づけて欲しいと思っている。仕方がなかった──
目覚めの園
ミラクルのステンドグラスが黒く染まり始めていた。
「彼女の原動力が無くなれば、フレイムが消え失せる…」
あの時戦った闇チリシィが動き始めていた。何か企んでいるかもしれない──
「…クル?ミラクル?」
「…──は!」
「ミラクル?急に反応無くなったからどうしたかなって」
「ごめん…なんでもないよ」
苦笑いで返すミラクル。フレイムに知られたら大変なことになるかもしれない。
(今は話す時じゃない…)
栗東寮
いつものようにフレイムはキーブレードのストラップを眺めていた。アルダンと少し似ていて、何時間でもキーブレードを見ていられるそう。
「今日もキーブレードで眺めているのかな?」
「小さい頃の癖だからドーベルに直せって言われてたんだよな」
「アルダン先輩とよく似てるね」
「万華鏡を何時間でも見られるのも凄いけどな」
アルダンとフレイムはよく似た存在だ。
「俺さ…クラシックの頃の名って”炎の勇者”だったじゃん。俺あまり好きじゃなかったけどな」
「…昔の出来事だよね」
「…そうだな。菊花賞の時に曇りだったじゃん、最終コーナーに入った時に雲の間から日が差した瞬間…一気に光のラインが見えて…そこから加速してったんだ。光って暗闇のトンネルを抜け出す道標なものなんだって」
「かっこいいねフレイムさん…!」
光─
フレイムの道標が勝利への導き──
「…ふふ」
「…?」
「フレイムさんがキーブレード眺めているの可愛いなって」
「…やめろよ…恥ずいだろ」
ダイヤの言葉に火照ってしまったフレイム。コスプレで可愛いって言われていても、素の姿で言われるのは慣れていない。
──────
「……?」
目覚めの園──
「…ミラクル?」
空間にいたのはフレイムだけでなく、ミラクルもいた。
「ミラクル、ここが…」
ミラクルの姿が黒いフード姿へと変わった。ミラクルの様子がおかしい。
「…違う、ミラクルじゃない」
キーブレードを振り回し、フレイムに攻撃をするミラクルのフード姿。何とか対応しているフレイムは交わし続ける──
そう言ったのだが──
「…この世界は…おれが強い」
(ミラクルはそんな言葉言わねぇはず。操られているな)
「そうか…だったら…本気で行かせてもらうぞ」
フレイムの本気がキーブレードに宿り、アルテマウェポンを振り回した。
フード姿のミラクルの攻撃を全て防ぎ──
「うっ…!」
ダメージを与えることに成功した。
「ミラクル、どうしたんだ!友達だろ!」
「…とも…だち…」
「!!」
この場から消えた。一体なんで?
(あの姿は完全に何かを失っている…けどなんでだ?)
見当がない。今朝あって何も無かったが──
(…あの時か?!)
ヘリオスと話していた時に帰ってきたミラクル。その時少しぼーっとしていた時があったけど…
(いや、そんなわけないよな…心配ないよな…)
いつも通りに練習をしていたフレイム。チャンピオンシップに向けて調整を行っていた。4月上旬に本拠地のアメリカのトレセン学園に渡米する。
皆といる時間、ローマ達との練習も少ない。
(チャンピオンシップに出ているライバルは絶対強い。けど…まだ分からないな、全部で8戦を戦うことになっているからな──)
今シーズンから全8戦に減少することになり、ウマ娘達の体力やメンタル面に考慮することになっており、負担が少なくなっている。
昨シーズンは9戦を行っていたが、戦士達の意見も取り入れたルールとなった。
「はぁ…はぁ…」
「タイムは悪くないけど、最終コーナーの初めで出遅れてなかった?」
「出遅れている?」
「考え過ぎてるのかな?今日のフレイムちょっと様子おかしかったけど」
「…皆と離れるの寂しいから…ですかね?」
そう答えるが、本当はミラクルのことが気になっていた。
フレイムが見た夢と昨日のミラクルの様子がおかしかった。
けど──
「離れるの…少し寂しいです。フレイムさんに指導させてもらったり、キタサンと仲良くなったり色々ありましたけど、走る楽しさを知ることができたのもトレーナーとフレイムさんのおかげなので──」
嘘とは言いたいけど、これも本当の寂しさでもある。
「…けど、私もフレイムから教わりながらレースに挑んだ時も不安だったけど、フレイムが三冠取った時本当に凄かったもん!」
「俺も、ウマ娘レースとは関係ないけど、GTでまた大舞台に立てることもできたし、ローマやフレイムの走り姿も見て応援する人の視点を見て、自分も頑張ろうって思ったんだ!」
「トレーナー、ローマさん…!」
フレイムやローマも見てトレセン学園に入学する後輩もいる。来年度の入学率もフレイムの活躍によってローマの時よりもかなり上がったそう。
「フレイム!」
「ミラクル!今日もトレーニング?」
「うん、レースが近いからね。フレイムにかっこいい姿見せたいから」
「最近練習多いけど、ちゃんと休んでるの?」
「大丈夫だよ!」
ここ最近練習の多いミラクルだが、本人からは心配はなさそう。
「また併走いいかな?」
「もちろん!」
「トレーナー、ミラクルの練習最近多い気がする」
「同じだな、気持ちが高ぶって止まりきれない事になるな…」
その他のトレーナー達もミラクルの事を心配するような声が上がっていた。ローマもその情報を聞いている。
「ローマ…もしミラクルが──」
「また速くなってるな!最後ちょっと驚いたよ!」
「そう?ありがとう!」
「ミラクルのタイムは上がってはいるね。けど、無理もよくないからね」
「ありがとうございます。無理はしていないので大丈夫ですよ」
「そうだね…!」
「3人とも、今日は練習終えても大丈夫だよ」
スクーデリア トレーナー室
「……」
(フレイムのトレーナー室にはエントリーシートがあるはず)
誰もいないトレーナー室に入って来たミラクル。レースのエントリーシートを探している。
もう少しでレースが近づいているため、参加しようとしている。
(確か…)
「!!!」
部屋に現れたのはローマだった──
「ローマさん、レースにエントリーさせないってどうしてですか?無理をしていないはずですよ」
「確かに無理はしていない、けど…」
「フレイムにかっこいい姿は見せてあげないつもりですか?」
「……」
「…エントリーさせない理由が分かりませんよ。おれはなんにも──」
「…どうしてそれを?」
「私のトレーナー情報から聞いたの、ここ最近ミラクルの調子が変だって」
「フレイムには聞いてますか?」
「フレイムは聞いていないよ、不安が募るから言わないようにしてる」
仲良しのフレイムにもう心配をかけたくなかった。もうすぐチャンピオンシップに挑むためメンタルは良好にしておきたかった。
「…どうしてもフレイムに凄いところを見せたいんです!どうかお願いします!」
「…」
トレーナーもいない選択を任されてしまったローマだが──
「…エントリーはできないよ」
「…何故ですか?!おれの走りが良くないんですか?!」
「走りは良いよ、けど無理をしている!」
「ローマさんのせいではないんですよ!走って異常でも起きたら全部おれのせいでいいんです!」
「おれは出ます!!だから大丈夫です!」
エントリーシートを取ろうとした──
2人は取っ組み合いになりそうになった。エントリーシートをくしゃくしゃになりながらも取ろうとしたローマ。
(どうしたら…ミラクル先輩に伝わるか…!)
振り払われたローマは用具入れに激しくぶつかり、弾みで倒れ、用具入れの角がローマの頭部に直撃した──
「…ローマさん?」
「………」
ミラクルが何度も声をかけるも、返事がない───
ローマの頭部には…流血が──
「……ロ…マ…さん…」
ミラクルも異常が起きてしまい。意識がなくなった──
ダンスルーム
「1、2、3、4…」
その頃フレイムは──
「フレイムさん凄いね!キレが全然違う!!」
他のウマ娘達と一緒にダンスレッスンを受けていた。
この時気づいてはいなかった。
「フレイムさん凄いですね!リズムも合わせも完璧!」
「ありがとうございます、自分なりのリズムで刻んでましたので」
フレイムがダンス上手なのはもちろんコスプレのおかげでもある。
キャラクターの衣装を着ながらダンスをしたりするコスプレパフォーマンスといったものに参加している。更に独自のイベントも行っているそう。
「フレイム!大変だよぉ!!!!」
スタジオにヘリオスが入ってきた。かなり慌てている。
「どうしたヘリオス?」
「ローマとミラクルが…」
「…トレーナー!ルビーも!」
「フレイム、ローマが物置の角に頭を打ったみたいなんだ!」
「ミラクルさんもその場にいらしたと言われています!」
「…なんで?!?!」
憧れと友達がなんでこんな事になっているのか分からなかった。当然トレーナーも分からないという。
「けど、ローマは意識は不明だが、命に別状は無いが、ミラクルは危ないみたいなんだ」
「危ないって…」
「運動器疾患って診断が出て、治るか不明なんだ」
「運動器疾患って…」
病気の55%を占める能力を損なう疾患だという。
「…異常があったんだ、特別レースの参加は無理だ」
「…嘘だ…、トレーナー!何とかならないのか?!」
「ミラクルの事はあまり詳しくない、知っている人となると…幼少期から付き合いがある人じゃないと」
幼少期から知っている人…
そういえば…
「ケイちゃんの事は私が長く見ていてね」
あの時だ…!!
フレイムは駆け足でミラクルの事を知っている係の人に向かった。
「すみません!ミラクルを知っている担当の方はいらっしゃいますか?」
「ミラクル…?あぁケイちゃんね、ちょっと待ってて」
顔を覚えていおり、すぐに呼びに来てもらった。
「あらフレイムさん…」
「ケイエスミラクルさん、あなたは何もしなくていい。…大丈夫。私達がついていますからね」
ケイエスミラクルは体が弱く、走ることも出来なかった。
けど、担当医は諦めず治療を続けた。
「ケイちゃん!絵本読んでたの? あら、可愛い白鳥」
「今日はな、手作りバナナスムージーを作ってきたんだぞ〜!食べやすいように柔らか〜くしてきたんだ」
「両親共にケイエスミラクルさんを見守って、無理のない範囲にトレーニングを行っていたんです」
「──いいですよその調子!!無理のない範囲でペースをあけましょう!!」
「何度も命を落とす事もありましたけど、2度の奇跡が起きて、無事にトレセン学園に入学ができたんです…けど──」
「どうかお願いします!!」
ウマ娘を担当するトレーナーが中々見つからず、ミラクルは焦りを感じていた。このままではデビューができなくなるかと──
あの子は速すぎて、止まれないんじゃないかって? 走る姿を見てけど、正直ゾッとしたよ あれは…とても危ういんだ。
ミラクルの走法や気持ちが強すぎて、止まれない。 それでも──
《ケイエスミラクルが1着でゴールイン!!!!》
(初めて勝利した瞬間は凄かった。それでも走った)
「フレイムさんと初めて会った時、ピアノが上手で、他の曲を弾けるようになりたかったんですよ」
「あの時いい友達がいて良かったなって思いましたよ。自覚している性格が所々似ていたので」
「ただ…やっとトレセン学園に入った時、トレーナー達はゾッとする速さを感じて、止まらないのかなって見え始めて…」
「…併走させていた時も速くて、薄々感じてはいたんです。最強の俺から1歩も引かない速さだったので」
「…初めてメジロフレイムさんに会った時、本当にケイエスミラクルさんと似たような性格だったので、姉妹かと思う時があったので、いい友達に出会えて良かったねって思っているんです
──けど、3度目はもう」
「3度目…?」
「…それが」
栗東寮
「…」
ケイエスミラクルの事で頭がいっぱいらしい。
「フレイムさん?」
「……」
「フレイムさん!」
「…!!!。すまない、考え事してて」
「ミラクルさんの事?」
「…あぁ。3度目はもう無いかもって言われてさ」
「3度目?」
「今まで回復したことも奇跡だって言ってたけど、症状は悪化して、命の危険が迫ってるらしい」
「…フレイムさんと気の合う友達ですよね」
「昔仲良かった友達が今も行方不明だから、心配で…」
「…見つかるといいね」
心配してくれてるローズに感謝している。
「………」
…厶!…イム!…フレイム!!
「…! シオン?」
「目を覚まさなかったのよ!大丈夫?」
「大丈夫だけど……!!!!!」
フレイムの視界が闇──
闇───辺りが闇になっている
「これって?!」
「何かが始まろうとしている予兆なのかしら?!」
「予兆?」
「邪魔が来たようね…」
「…闇チリシィ!」
闇チリシィと更に──
「…ミラクル?」
「お前さんのお友達かい?残念だけどもう手遅れさ…!」
「手遅れ?」
「…これを見たまえ」
見せたのは───
「…エントリーはさせないよ!!」
「…何故ですか!!ローマさんは全然悪くないのに!!」
あの時争った2人だった。後に──
「おれは出ます!!だから大丈夫です!!」
エントリーシートを巡って争ったあの瞬間を見てしまった。
「…っあ!!!!」
「フレイムさん?!」
見たくなかった 見たくなかった あの二人が争うところを見たくなかった。
「…お前の跳ね馬さんがこの娘に負傷させるとは…なんと醜い」
「…れ」
「聞こえん」
「…黙れ」
「…なんだ?!」
フレイムから聞いたことがない大声を発した。シオンも驚いていた。
フードを被ったミラクルにキーブレードを振り回そうとした…が
フレイムの動きを止めた。
「フレイムさん!操られているんです!あなたの友達はそんな事を望んではいなかったのよ!!!」
「何言ってる?傷を負わせたのは彼女じゃないか?」
「貴方の望みはなんなの?」
「…守護者さんの生きる道標を塞ぐ為さ」
俺は…なんの為に生きている? それは何なの? 俺って一体───
フレイムちゃんを見ると、勇気を貰えるの!!
(…キタサン?)
フレイムさんの勇気が私を励ましてくれるの!
(…ダイヤ?)
決めた道を曲げないのがいいところよ!
(…クラウン?)
その勇気…尊敬してる…僕もそうなりたいって
(…グラン?)
俺が目指していた道は間違っていなかったの?────
「…ソラ?カイリ?リク?」
「どうしたんだフレイム?もう終わりか?」
「…え?」
「いい友達いるじゃん!こんなにも沢山」
「…そうだな、そうだよな!」
「友達がそんな事になっても、そのうち償うはずさ!」
ピカァァァァァン!!!!
(ミラクル、今助けるぜ!)
キーブレードを振り───
「…え?!」
「…なぜだ?なぜ私に…?!」
(大丈夫だ!俺が救う!!)
ミラクルの肩に手を置き、救うと誓った。
「シオン!」
「…フレイムさん!」
「…やれ!あの2人を倒せ!!」
「……」
ミラクルはキーブレードを出し──
「……!」
「…なぜだ?なぜボクに!!」
「…繋がりを持っているからだ。どんな時でも、必ず!!」
3人の青い光を放った先をチリシィの心臓に命中し、塵となって消えた。
「…ミラクル。犯した出来事は俺は許せるはずじゃないけど、生きてる事さえ幸せだと思え!!」
数日後
ミラクルは容態が安定し、無事に目覚めた。
フレイムはローマとミラクルのいる病院に向かった。
「…2人とも!」
「フレイム、来てくれたの?!」
「ミラクルも目覚めて良かった」
「心配かけてごめんね、お見舞いありがとう」
「…それと、ミラクル、どうして黙っていた?」
「…どうしても、フレイムに恩返しがしたくて」
「?」
ミラクルは起きた出来事を反省している。ローマを怪我させ、自分も容態が悪化して──
天罰がくだったようだった。
「フレイムの走りを見ていると…凄く勇気を貰えるの。あの時の三冠だって凄かったし、有馬記念も…本当に凄かった。まるで自分を見ているようだった」
「…ミラクル」
「けど…おれはトゥインクルシリーズを離れて、勇気を貰ってばかりだった。その時フレイムに出会って、ピアノも凄かったし、本当に楽しくて…けど、フレイムがワールドシリーズに行くことになって、過去の傷を背負いながら走ってて、おれもレースで恩返しがしたかった…したかったのに…」
特別レースで走る事で、ミラクルは速いって驚かせたかったが、容態が悪化し、走れなかった。
「どうしても…フレイムに…勇気を…」
「…その勇気は、急がなくても大丈夫。俺が本当にダメになりそうになった時にすればいい。少しずつでも、何年先でも…!」
「……──うん!」
(良かった…)
「それと、ローマさん、なんであの時言わなかったんですか!」
「…いや、まさかそんな事になるとは思わなかったから」
「…ったく」
「あぁぁ〜!!!ミラクル目覚めた!!!!」
ヘリオス、さらにはルビーも来てくれた──
「ミラクルさん、容態が安定して良かったです」
「あはは、心配かけてごめんねルビー」
「ローマも元気で良かった!」
「無事に治って来るから、退院は今週中かな」
「すっかり仲良くなってるね」
「そうだな。そうだ!ミラクルにはこれをあげようと思って」
フレイムが渡した物は──
「手作りバナナスムージー、食べやすいように柔らかくした」
「…───ありがとう!」
幼少期に食べたバナナスムージーを作って来たフレイム。
「…美味しい!」
「ホントか?!良かった!!」
「…フレイム、おれが元気になったら…また走ろうよ!」
「…もちろん!今度は勝負服着て走ろうな!!」
「うん!」
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