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めちゃくちゃに遅れましたが、
お友達の誕生日記念のオメガバパロ帝日です。
今日誕生日知ったから…数ヶ月すぎてるけど許してちょ。
人を選ぶ内容なので、こちらで投稿させていただきました。
ちなみにタイトルは愛煙家Nico様が考えてくださったものを使ってます。
実質合作ですね。
この世の根底を占める、”第二の性”。
それは身体能力に大きな差を与える。
生まれつき優秀なα、平凡なβ、劣等なΩ。
そんな分類を、俺は嫌っていた。
同じ訓練を受け、同じ戦場に立っても、
息が上がるのはいつも俺の方。
αの連中は余裕の顔で、戦果を重ねていく。
それを才能だと、努力だとも呼ばない。
ふざけるな、と思った。
だが、俺は国だ。
戦の世に生まれた国にとって、性別など言い訳に過ぎない。
だから鍛えた。
他人よりも、人一倍、何十倍も。
平凡なりに、埋まらない差に足掻いた。
もし俺がαだったなら、
守れるものは、もっと多かったのだろうか。
意味の無い羨望から、目を背けながら。
そんな俺は今、震える手で紙を掴んでいる。
再会して数年、齢十四になった弟、日本から手渡された診断書。
内容は、日本の第二の性。
検査結果を見た時、背筋がゾッと震えた。
Ωは、狙われる。
αにとって、都合のいい存在だ。
脳裏を過ぎるのは、
戦場でも会議でも、下世話な笑みを浮かべるαたちの顔。
あいつらに、日本を差し出すつもりはない。
日本は、俺の大事な弟だ。
ならば、やることは一つしかない。
俺が護る
βでも、守らねばならぬものがあるのだと。
覚悟が、奥歯を噛み締めさせた瞬間だった。
代々βのみが生まれる家系での、突然変異。
その異常性はヒートの強さやフェロモンの性質にも現れていた。
医者は、日本のフェロモンには
“潜在的欲求を引き出す力”があると言った。
ただでさえ強く惹き付け、理性を壊すフェロモンに、拍車がかかる。
自制心の強い優秀なαすら、惹き付けてしまうという。
特殊故か、日本は強すぎるヒートや
フェロモンの放出を、自制できない。
だから俺は、常に危険に晒される日本の傍を離れなかった。
「兄さん……すみません。
いつも手を煩わせてしまって……」
「僕が自制できてれば……
Ωじゃなければ……ごめんなさい」
「いいんだ。これは、俺の意志でやってる事なのだから」
罪悪感に塗れた顔をする日本の頭を、
離さぬように撫でてやる。
βの俺は、Ωである日本のフェロモンの影響を受けない。
αだらけの環境で、日本を守れるのは、俺だけ。
それが、平凡なβであることの、唯一の誇りだった。
月日が過ぎ、独立した日本も、国の化身として、国際社会に身を投じた。
今日、会議の場には、各国の化身が揃っている。
ほとんどがα。
だが、その中でも特に優秀な者たちだ。
ヒートに当てられても、理性を失うことはない。
そう聞かされていた。
加えて、日本には最新の、即効性の抑制剤が用意されている。
不安はあった。
だが、以前よりは安全な状況。
——そのはずだった。
会議の最中、日本の指先が、僅かに震えた。
それに気づいた俺は、すぐに日本の元へ駆け寄る。
「日本」
呼びかけるより早く、日本の身体が崩れる。
「……っ」
抑えきれない熱が、一気に溢れ出した。
甘く、重い匂いが、部屋に広がる。
——まずい。
「早く、飲め」
日本を支え、口元に抑制剤を押し当てる。
だが、飲み込んだはずのそれは、何の反応も示さなかった。
「……なぜだ」
その瞬間だった。
空気が変わった。
騒めきが止み、視線が、一斉に日本へと向く。
呼吸が荒くなり、喉が鳴る音。
理性の皮を被ったαたちが、ゆっくりと距離を詰めてくる。
「来るな!!」
声を張り上げる。
だが、誰も聞いていない。
「寄越せ」
誰かが、そう呟いた。
「日本が求めているのは、俺たちだ」
近づいてきた腕を振り払う。
だが、力が違う。
掴まれた腕に、骨が軋む感触が走った。
——離せ
日本を守るのは、俺だ
それなのに、萎縮した身体は言うことをきかない。
圧倒的な力。
第二の性は、ここでも俺を嘲笑う。
その間にも、日本は震える手を伸ばし、無意識にαたちを求めている。
「やめろ……!」
——その光景に、記憶が引きずり出された。
焼け焦げた空。崩れた街。
俺たちを打ち負かした連中が、日本を囲み、連れ去る。
他国の腕の中で、怯えたように振り返る、小さな背中。
立っているのがやっとの身体。
それでも、日本の方へ、宙を切る手を伸ばした。
——奪うな
その言葉は、潰れた喉に堰き止められる。
抵抗する力は、もう残っていなかった。
第二の性を、言い訳にする気はなかった。
だが…あの日ほど、自分の無力さを呪ったことはない。
その無念が、同じ姿で俺たちに襲いかかっている。
嫌だ
奪うな
俺の日本を…奪うな!!!
全身を蝕む強い憎悪。
黒炎に焼かれた理性。
思考が押しつぶされ、本能だけが残る。
その後、何があったか。
そんなこと、記憶には残されていなかった。
気づいた時には、冷たい地下室にいた。
泣き腫らした目で眠る日本を、ボロボロの腕に抱えて。
俺が、護る
αからも、他国からも、そして…運命の番からも
もう二度と、日本を傷つけないように。日本を奪われないように
肌蹴たシャツの奥、熱に濡れた項が視界に入る。
αがそこに噛み付けば、番の契約になる。
…愚かだと、自分でも分かっている。
これは救いではない。日本の選択肢を奪う行為。
なのに、一番嫌っている存在のやり方をなぞってまで、縋りつこうとしている。
……大事な国一つ守れない俺には、これがお似合いだ。
思考が途切れ、本能が牙を突き立てる。
ただ、日本を護らなければならないと、それだけを。
少しして、鼻につく血の香り。
視線を落として、初めて気づく。
正面の視界に映る、首筋の噛み傷。
俺は今日、
護国の誓いを、君の首筋で立てた。
コメント
4件
このタイプの帝日は初めてですがとりあえず癖にぶっ刺さりましたね。 最後の噛み跡は日本さんに日帝さんがつけたものでしょうか。「潜在的欲求を引き出す力」、日帝さんは心の奥では日本さんの番になりたかったのかも知れませんね…
あれ?何でだ?いいねを押す手が止まらねぇ